異世界薬剤師 ～緑の髪の子～

178食事会

ロマニュ子爵主催の食事会が始まった。
集まったのは貴族や金持ち・・・ガレド商会のヨーゼフも呼ばれている。

「今日はどんな料理が出てくるのか楽しみだね。」

拓達は食事会には出れないが、会場の横の部屋で同じ料理を食べさせてもらう。

「拓さん、僕達まで誘ってくれてありがとうございます。」

ニックが礼を言うと、ジョン、アンリも頭を下げる。
せっかくなので、拓はヨーゼフの子供達も呼んで皆で食事をする事にした。
勿論、サーシャ達も一緒にいる。

「爺ちゃん達は会場で食べれるのに、こっちで良かったの。」

フォスター、ドクス、シルビアの３人は食事会に招待されていたが、それを断り拓達と一緒に食事をすることにしていた。

「食事を楽しむなら、こっちの方が良いだろう。それに儂等はもう宮廷魔導士ではないからな。」

フォスターがそう言うと、ドクス、シルビアも頷いていた。
３人は貴族達との食事会は好きではなく、本気でここでの食事を楽しみにしていた。
暫くすると、山サソリを使ったコース料理が運ばれて来た。

「綺麗な盛り付けよね。」
「貴族を相手にしているだけの事はあるわね。」
「領地の料理人が工夫を凝らしていますから。しかし、これは更に磨きが掛かっていますわ。」

サーシャ、クリスティーヌ、シレーヌの貴族から見た評価も上々だった。
拓は自分の分を少し取り分けダイフク用にと用意した皿に乗せてから、自分も料理を楽しんでいた。

「拓は、この料理を作れるのか。」
「近いものは作れるけど、ここまでの物は難しいかな。」

ドクスは拓の答えに少し残念がっていたが仕方がないだろう。

「ドクス魔導士。私の領地で山サソリ料理が色々と開発されているので
　良ければ、今度　案内させて頂きますわ。」

シレーヌに言われて、ドクスだけでなくシルビアまで案内してくれる様にお願いし

「愉しみだわ。遺跡の調査での私の出番は終わったし、寄らせてもらうわね。
　アーネスさんはペンデルトン領にどうやって行くつもりかしら。」

どのタイミングで伺うか考え始めていた。
その後の料理も美味しく、食事会は大成功に終わり
アーネス、ロマニュ子爵は貴族達からの依頼や契約で何日間も忙しく身動きが取れない状態が続いた。
そして、盛況過ぎて在庫が足りなり、拓の保管している分を渡す事になるほどの事態になっていた。


山サソリの件は一段落付き、後は貴族の舞踏会の準備を行うと思っていたが

「特に買い揃える物は無いわね。」
「私は去年のが有るから必要ないわ。」
「私は領地の事を考えると、贅沢を言える状態ではありませんので。」

と３人のご令嬢は買い物をする必要もないみたいだった。その代り

「私だけが買い物をするのね。」

シルビアが買い物をする。
ドクスがアンデットの呪いの依頼を受けた時、開催する貴族から是非とも舞踏会に参加して欲しいと頼まれてしまい、シルビアに同行を依頼していた。
その貴族にはシルビアも世話になった事も有り、仕方が無いと依頼を受け入れていた。
この２人、お互いに口は悪いが意外と仲が良い。

ドクスと２人で買い物に出かけると思っていたが、

「拓も付き合ってよ。選ぶときドクスの意見だけだと心配だわ。」

確かにドクスは服装に無頓着で、女性の服を選ぶセンスが有るとは言い難い。
アンデットの呪いの件が関わっている事も有り拓も付き合うことにし、当然ガラも同行する。
サーシャ達は買う必要は無いが、一緒に行ってウィンドウショッピングを楽しむみたいだ。

更に護衛が付いて大人数での行動となった。