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176準備

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アーネスの方では、山サソリの肉を広める準備が進められていた。
繋がりのある貴族や金持ちからは既に注文が入ってきている。
更に広めるために、食事会を開こうとロマニュ子爵と調整を行っていた。

「アーネス小父さん、俺達もその食事会に参加することは出来るの。」
「何だ、料理作りを手伝ってくれるのか。」
「そっちじゃなくて、食べる方なんだけど。」

拓が参加できないかと聞いてきたが

「流石に拓が入るのは無理だな。その代り、出す料理は一通り用意する。
 なんたって、一番の功労者だからな。」

拓には食事だけで我慢してもらう。
会場を押さえ、200人が招待客として呼ばれた。
ロマニュ子爵一行がやって来て、アーネスと挨拶をした後、わざわざシレーヌが拓の所へ挨拶に寄ってくれた。
相変わらずの金髪縦髪ロールがしっかりと決まっている。

「こんにちは、拓様。」
「こんにちは、シレーヌさん。俺は一般市民なので様は付けないでくれませんか。」
「分かりました。これからは拓さんと呼ばせて頂きますわ。」

拓とシレーヌが話していると、後ろからフォスターが顔を出した。

「えっ、もしかしてフォスター魔導士ですか。」

フォスターを見たシレーヌが驚いていた。
貴族だとしても、まだ15歳ならフォスターの顔は知らないと拓は思っていたのだが

「俺の爺ちゃんなんだけど、シレーヌさんはどうして爺ちゃんを知っているの。」

拓の言葉に更に驚いているシレーヌだったが、直ぐに落着くと

「失礼しました。
 私も魔導士なもので、フォスター魔導士の事は人物画で存じ上げております。
 シレーヌ・ロマニュと申します。」
「これはご丁寧に有難うございます。フォスターです。
 ロマニュ領では、拓がお世話になりました。」

拓はシレーヌとお付きの方と一緒に家に招待し、お茶とケーキを出すことにしたのだが
家に居たドクスを見て、再び驚いていた。

「どうして、ドクス魔導士まで?」
「爺ちゃんの知り合いで、俺も色々とお世話になっているんだ。」

シレーヌにとって2人の偉大な魔導士と会ったことは衝撃過ぎて、暫く落ち着かずにいた。
落ち着くのを待って話しをしていると、シレーヌが拓の魔法指導について褒めまくるのでフォスターが指導の内容を尋ねると

「薬作りの補助をしていた時は、論理的に話されていましたが
 私への指導では直感的な表現を使われ、相手に合わせて説明方法を変えて下さいました。」

シレーヌの説明で、フォスターは状況を理解した。
横で得意がっている拓に注意しておかないと、後で恥をかくことを。

その後、アーネスと打ち合わせを終えたロマニュ子爵が、フォスターの家に立ち寄ってくれたのだが
娘と同じ様にフォスターとドクスの姿を見て驚いていた。
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