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166山サソリスープ

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「デウスです。この度は、ありがとうございました。」

騎士団長が挨拶すると、アーネスが代表して自己紹介し食料を運んできた商人だと名乗ると

「ありがとうございます。
 魔獣の処分と怪我人の対応も有るため、改めて挨拶に伺わせて頂きます。」

そう言って、戻ろうとするシレーヌとデウスに対し

「待ってくれませんか。
 怪我人にポーションを提供するので、森サソリを解体して俺達に引き取らせてください。」

拓が提案する。

「有難い提案ですが、宜しいのですか?あの肉は苦くて食べれるような物ではないですのよ。」

シレーヌはそう言うが、拓が問題ないと言って対応してもらう事にした。
全員で、騎士団達が休んでいる所に行くと結構怪我をしている人が多かった。
怪我をしている人にポーションを配り、落ち着いた所で森サソリの解体を始めてもらう。
欲しいのは身と殻の部分。
解体自体は簡単に出来るので、騎士団達が全員で行うと直ぐに大量の身と殻が手に入った。
残りの部分はアーネスが全て燃やした。
体内の魔石については決めていなかったが、シレーヌが拓に渡そうとするが辞退していた。
欲しいのは、あくまでも食材だった。



シレーヌは拓と同じ15歳だったが、雷属性の上級魔導士のため戦力として討伐に参加していた。
手に入れた身と殻はアーネスとシレーヌが出来る限り収納し、残りは兵士達が運んでくれた。
時間は遅かったが、ゴンと合流しそのまま領主の屋敷に向かい馬車の食料や拓の運んできた野菜を下ろすと
今回手に入れた山サソリの身と殻を積んでもらう。

「これから宿に向かうわけだが、拓、馬車の荷物はどうする。」
「そうだな、肉だけ自分の空間魔法で収納して、殻は馬車に乗せてもらえますか。」

盗む人も居ないだろうと、アーネスの持っている肉も含めて全て拓が収納し直し
馬車の積み荷は殻だけにして宿泊所へと向かった。

泊まるのは綺麗な宿だったが、

「申し訳ございません。食料不足の為 食事は抑えた物になってしまいます。」

残念ながら、普段の料理は食べれない。その代り、サービスとして格安で個室を用意してもらっている。
早速夕食を食べたが、腹が膨れる様に色々と頑張った料理だった。
食後、拓はホテルの支配人に外で火を焚く許可を取り、鍋や魔道具のコンロを取り出し作業を始めた。
ガラ、アーネス、ゴンにた山サソリの殻を砕いて炒った後、屑野菜と一緒に煮込んでもらう。
その間に、拓は緑色の液体を作り適当な大きさに切った山サソリの肉を漬けていた。

「拓さん、その液体は何だ。」
「これが山サソリを食べる為の秘密の液体。効果は上手く行ってのお楽しみ。」

ガラの持っているマジックバックに入る大きさの瓶に入れて、ガラの保管してもらってもらう。
そうしているうちに、殻を煮込んでいる鍋から良い香りが漂い始めた。
掬った黄金色の液体に塩で軽く味付けして皆で味見をすると

「「「美味い」」」

具も何もないスープだったが、皆お代わりをし全部飲み干してしまった。

「出来るだけこの殻を砕いてしまおう。拓はそれを炒って保管しておけば良い。」

パワー系3人の作業はサクサクと進み、その夜のうちに全ての殻を砕き終わっていた。
炒る方が時間が掛かるため、残りは後日にする事にした。
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