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164お人好し1

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暫くして、アーネスとゴンがペンデルトン領にやって来た。
ヘンデリック侯爵と魔力の球を的に当てて点数を競うゲートボールの状況や売り上げを確認し、今回は侯爵から大量の食糧を購入する。

「拓殿も一緒に行くと聞いているが、彼の空間魔法で収納してもらわないのか?」
「今回は、商業ギルドから受けた依頼ですので、拓を頼ることはしません。
 その代わり、移動中の食事は拓にお願いするつもりです。」
「はっはっは、彼の料理は美味いからな。
 さて、食料の準備は出来ているが馬車への積み込みはどうする。」
「先に、こちらで販売する荷物を下ろすので、その後にお願いします。」

アーネスはヘンデリック侯爵との打ち合わせを終えると、ここでの作業を開始した。
アーネスとゴンは拓の所の客室に泊まり、ゲートボール場の状況確認や他の商人へ荷物の売却をを行った。
今回乗って来た馬車は前回より大きく、馬は2頭立て引かれている。
荷台にはヘンデリック侯爵領で売る大量の商品を載せてきたが、今は全てここで入手した大量の食糧になっていた。

「アーネス小父さん、この大量な荷物を何処に運ぶつもり?」

食料の殆どは穀物で、わざわざ王都に運ぶ価値は無い物だった。

「今年、森サソリが大量発生し食料不足の領地が有ってな。
 その領主から食料の依頼が商業ギルドに来たんだ。
 俺がペンデルトン領に来る予定が有ったんで、請け負った訳だ。」

森サソリは雑食で、畑を食い荒らす魔獣だ。大量発生すると畑だけでなく人も襲う。
1カ所で大量に食料を調達する訳にもいかないので、辺境地まで来るアーネスは丁度良かったらしい。
儲けは殆ど無く、辺境地からの輸送は危険が伴うがアーネスは受領していた。

「アーネス小父さんって、お人好しだね。」

話を聞いた拓はそう言いながらも

「ヘンデリック侯爵、日持ちする野菜を手に入れられますか。
 アーネス小父さんが収納したことにして、俺が追加で運びます。」

アーネスの事を言えない行動をする。
ただ、まだ収納量に余裕が有るが、その辺を隠すために量は抑えていたが・・・


出発の日、サーシャ達が見送ってくれた。
この冬、サーシャは舞踏会デビューをするために、王都へやって来る。

「そう言えば、サーシャのエスコートって誰がやるの。」
「そんな事は聞くまでもない、私に決まっているだろう。」

拓の問いに答えたのは、サーシャでなく兄のオーヘン。
シスコンの兄は、当然の様にドヤ顔だ。

「拓とガラには、サーシャも色々と世話になっているからな。
 王都の珍しい所を案内してやろう。」

拓とガラはオーヘンの誘いに礼を言い、皆に挨拶を済ませると馬車に乗って出発した。

「俺も王都に行ってみたいな。」

拓を見送りながら、ユンクが残念がっていると

「なら、ユンクも王都へ一緒に行ってみるか。
 ヘルガからユンクも魔導士としての実力はなかなかと聞いている。
 トウ、バン、ジャンと一緒に護衛をしてみないか。」
「本当ですか。是非、やらせてください。」

ヘンデリック侯爵の王都への誘いに、2つ返事で答えていた。
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