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143一文無し

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「親方、その剣って・・・」

ニコが思わず声に出してしまったが、素人の拓が見ても今までの剣と違うのが分かる。
ガラが剣を振ってみると、今までのよりも手に馴染んでいる。

「ガラ、その剣はどんな感じ?」
「これは凄い。さっきの剣とは全然違うぞ。」

拓が聞いて見るとガラは気に入った様で、何度も振って剣を試していた。

「それなら、ゼレフ工房にも引けを取らないはずだ。
 白金貨3枚。ガラが買うつもりなら取っておいても良いぞ。」

白金貨3枚。
トウも剣を確認すると、拓に小声で「親方は物凄い値引きしてくれているぞ」教えてくれる。
ガラも掘り出し物だと思うが所持金が半分にも満たない。
金を稼ぐとしても、奴隷として自由に活動する訳にはいかない。
主人が拓だとしても、奴隷の立場でそれを望むのは無謀だ。
残念ながらガラが断ろうとした時

「買います。その剣を買います。ありがとうございます。」

拓が購入宣言をする。ガラが止めようとするが

「現金が不足しているので、来月まで待ってください。」
「待ってくれ、拓さん、流石にこれだけの物は・・・」

拓はガラが話すのを辞めさせ、スミスと支払いに付いて話しを進めると

「拓、足らない分は私が貸そう。」

ヘルガが提案してくれ、金を借りる形で剣を購入。
結局ガラは金を払っていない。手持ちの金の分だけでも支払おうとしたが、

「今回はガラの完治祝い。それに今後の俺達の行動に直接関係するから。
 その金は、何か個人的な事に浸かったら良いよ。」

拓が受け取ることは無かった。
そして借りた金の返済は、ヘルガの要望で薬という形で返すことになった。

「ガラ、何時もより薬草採取の量を増やすから協力を頼むよ。
 ただ、これで無一文だから、明日から倹約生活するからそのつもりで。」

拓は笑っているが、ガラは気が気ではない。
剣、そして呪いの治療と拓がガラに使っている金額は凄いことになっている。

どう考えても、身分不相応の金の掛けられ方だ。
その結果、無一文になるなんて申し訳なかった。

「ガラって、拓に愛されているわよね。」

シルビアにからかわれても、ガラは言い返す事も出来ない。
自分の立場が情けなくて仕方がない。
何時もと違う反応のガラに

「その剣に見合う自信も無いなら、身を引いた方が良いわ。
 その方が私も楽しみやすくなるし。」

シルビアが言葉を続けると、 

「俺が毒牙から拓さんを守る。」

拓をシルビアから守るのに剣は必要ないが、とにかくガラは復活した。


その後は、ガラはスミスから剣の手入れ方法について説明を聞き、拓は包丁の手入れ方法を教えてもらった。
その場でスミスに教わりながら拓が包丁を研いでみると、切れ味が数段上がっていた。
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