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142剣

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トウが案内してくれた武器屋は、町の外れにあり奥が工房になっている。
以前、ガラの武器を購入した店より、高価な武器が売られているらしい。

「いらっしゃいませ。トウさん、お久しぶりですね。
 今日は、何をお求めですか。」

店に入ると、女性が対応してくれた。

「今日は、俺のじゃなく、こちらのガラが使う剣を見に来た。」

トウがガラを紹介すると

「始めましてガラさん。ニコと言います。
 この工房で細工師として働いています。宜しくお願いしますね。」

ニコが自己紹介をし、どんな剣が欲しいのか聞くと、大剣の置いてある場所まで案内してくれた。
ガラは幾つかの剣の持った感触を確かめ

「剣を振ってみたいが、場所は有るだろうか。」

3本の剣を持って裏庭に案内してもらった。
ガラが剣を振って感触を確かめている間、
拓はニコに剣について教えてもらっていたのだが、なかなか奥が深い。
素材の配合が少し変わるだけで、全く性能が代わるらしい。
拓は剣の素人だが、王都のゼレフ工房で見た剣と比べるとイマイチに感じる。

「ニコさん、今ガラが振っている剣より上の物はないのかな。」

拓がたずねると、後ろから

「何だ、俺が作った剣が気に入らないのか。」

背後から、野太い声が

「あっ、スミスさん。拓さん、こちらは工房で剣を打っているスミスさん。
 こちらは、ヘンデリック侯爵の紹介で来た拓さんです。」

ニコが紹介してくれるが

「そんな事より、さっきの台詞の意味を聞かせろ。」

睨む様に拓を見るスミスに、拓はゼレフ工房で見た剣の事を話し、
自分の持っている包丁セットを見せた。

「・・・ゼレフ工房か、確かに良い道具を作りやがる。
 これは拓が手入れをしているのか。」
「そうですが。問題でも有りましたか。」
「いや、良く手入れがされていると思ってな。拓は料理人なのか。」
「いえ、薬剤師です。料理は好きですが、プロまでは目指していません。」
「剣を振っているあいつも薬剤師なのか。」
「いえ、ガラは俺と一緒に森に入って薬草採取を手伝ってもらっています。」
「つまり、護衛か。」

スミスが少し考え、ガラが今まで使ってきた剣を確認し始めた。

「この剣も良く手入れがされているな。
 しかし、何故この剣を使っていた。お前には釣り合っていないだろう。」

ガラはアンデットの呪いの事は隠しながら、今まで腕に力が入らなかった事を説明すると
スミスに今までの剣を振る様に指示されていた。
最後に木剣でトウと打ち合いをさせると、ガラに幾つか質問をし店の奥から1本の剣を持ってきた。
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