異世界薬剤師 ～緑の髪の子～

141今後の予定

次の日、ガラの呪いが解けた事を知ったヘンデリック侯爵が祝いの場を開いてくれた。
サーシャやユンク、ヘルガ、ナターシャ、ヨハンまでも一緒に喜んでくれた。

「ガラ殿の腕の呪いが解けて良かった。おめでとう。」

ヘンデリック侯爵の言葉で、食事が始まった。

「ガラさんの腕は、もう完全に治ったの。」

サーシャが心配して聞いてくる。

「もう、完全に力が出る様になりました。とは言っても未だポーションを飲んでいますが。」

何故かと不思議に思うサーシャに

「力が戻ったからと言っても、完全に治った確証は無いから。
　念のため１０日位は飲み続けてもらうかな。」

拓が説明をする。
一応、ドクスの見立てでは問題ないが、念には念を入れる。
今日も、ガラはポーションを１０本飲んでいた。
熱も痛みも感じないが・・・

「アンデットの呪いを解くなんて、ドクス魔導士は凄いですね。」

ユンクは相変わらずドクス、シルビアの前では食事も食べずに２人の話に耳を傾け、色々と話しかけている。
ユンクには未だ拓の保有魔力や空間魔法について話していないので、ドクスは笑って話を胡麻化していた。

「しかし、ガラはこれから戦い方を見直さないといけないな。」
「パワー系に戻ったとなると、剣を変えるのが先か。」
「そうだね、今の剣は軽過ぎるだろうし。」

トウ、バン、ジャンに言われて、拓は呪いが解けた後の影響まで考えていなかった事に気が付いた。
ガラは武器を自分の金で買いたいと言うので

「それなら、明日にでも買いに行こうか。
　その腕に慣れて貰わないと、町の外に出辛いからね。」

ガラの金と言えば、以前の盗賊の討伐や、ガレド商会当主のヨーゼフさんから貰った金がそのままになっている。
拓も細かい金額は覚えていないが、白金貨も有るので問題ないだろう。
それならと、ヘンデリック侯爵が剣を買う時にトウが同行するように指示を出してくれた。

「話は変わるが、アルバート侯爵から遊びに来ないかと誘いが来た。
　拓殿とガラ殿も誘う様に言われているんだが、どうだろう。
　ドクス魔導士、シルビア魔導士も如何でしょうか。
　アゼルド領は美しい湖や温泉も有り、気に入って頂けると思います。」

出発は３週間後、出来れば２週間前、遅くても１週間前には返事が欲しいとの事だった。
食事会も終わり、拓、ガラ、ドクスが小屋に戻ると

「拓、アルバート侯爵ってどんな貴族だ。」

ドクスが聞いてくるので、拓は会った時の話をし

「貴族としては分からないけど、家族揃ってサーシャの事を本気で心配してくれる人達ですよ。
　一応、爺ちゃんにも紹介したけど、普通に接していたかな。
　何度か一緒に食事もしたけど、爺ちゃんもアーネス小父さんも受け入れていたと思う。」

拓の感想に、ガラも頷いていた。

「フォスターさんとも面識が有るのか。
　なら、一度行ってみるか。
　そういう事ならシルビアも来るだろうな。」

そうして、全員でアゼルド領に遊びに行くことになった。


次の日、早速ガラの剣を買いに行こうとすると

「何で、ヘルガさんとシルビアさんが居るの。」

屋敷ではトウさんの他にシルビアとヘルガが待ったていた。

「ガラが買う時に、値切る人間が居た方が良いだろうと思ってな。」とヘルガ
「面白そうだからに決まっているじゃない。」とシルビア

２人とも完全に暇つぶしみたいだ。
ただ、シルビアが武器に興味が有るのが意外だった。

「シルビアさんって、宮廷魔導士３位の立場だったんですよね。」

拓の問いに、シルビアが頷く。

「そうすると、魔獣が襲ってきても簡単に倒せたりするの。
　爺ちゃんは、ワイルドベアを簡単に倒していましたよ。」
「ある程度は戦えるけど、生産職なんだからフォスターさんと比べないでよ。
　そもそも、あの人を比較対象にする事自体が間違っているわ。」

呆れるような感じでシルビアが拓に答え、隣でヘルガが頷いている。

「う～ん、爺ちゃんってそんなに凄いのか。
　そうだ、ガラが新しい剣を使いこなせる様になったらギルドの依頼を受けてみようか。」
「良いかもな。簡単な依頼を受けてみれば、拓さんのズレも修正できそうだし。」

ガラは笑いながら了解してくれた。