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110ダークサーペン
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暗闇で時間の感覚は無いが、次の日も洞窟の探索を行った。
何故かダイフクはカバンの中に入るのを嫌がり、拓の頭の上に乗っている。
「俺達が行動している間、ずっとカバンに入っていたからな。」
拓は自分の頭の上に乗ったダイフクを撫でながら歩いていた。
洞窟の奥へと進むと、アクラットも見かけなくなる。
「止まって。」
先を歩いていた拓はそう言うと、前に出した足を後ろに戻す。
拓が踏もうとした場所に、大きな岩を投げると「パリン」と音がして岩が穴の中に落ちて行った。
拓が適当に岩を放り投げると簡単に床が割れて崩れていく。
「どうやら、薄い岩の下は空洞で水が溜まっているのか。」
光を当てると、水面がキラキラと反射する。
「拓さん、あそこに苔が生えているぞ。」
ガラが明かりで示した場所には、確かに苔が生えていた。
直ぐに拓がロープを取り出し、自分に結び付けると反対側をガラに渡す。
頭に乗っているダイフクもガラに渡そうとしたが、拓から離れる気は無いらしくそのまま連れて行く。
「待ってくれ、こんな所を降りるのは危険だ。止めた方が良い。」
下に降りようとする拓を、ガラが慌てて止めるが
「翼の腕輪が有るのを忘れてないか。」
拓が、自分の腕に着けた腕輪を見せる。
本来なら、危険な可能性が有るのなら、奴隷のガラが降りるべきなのだが
呪いの掛かった腕では自分の体を支え続けるのも厳しい。
主人と言うより拓を危険に晒させる自分が情けなかったが、今は拓をしっかり支える事が重要だと気持ちを切替える。
ガラは自分の腰にロープを巻き付けた。
「拓さん、準備完了だ。」
「何かあったら、直ぐに引き上げて。」
翼の腕輪を発動させたのだろう。
拓が穴の中へと降りていくが、ロープを支えるガラは殆ど重さを感じる事が無かった。
岩壁の出っ張りに手を掛けながら、拓は簡単に苔の場所まで移動。
「ガラ、この苔が玄翁だ。」
拓が大声でガラに伝えて、玄翁の採取を始めたのだが、光の魔道具が照らす水面が波打つ・・・
ガラがロープを引き上げるのと同時に、拓が居た場所を狙って巨大なダークサーペンが水の中から襲い掛かった。
「ガラ、助かったよ。水の中まで考えていなかった。」
拓が間一髪で穴から上がると、ロープを外した。
上に登れば安全だと思っていたが、拓の探索魔法に穴から登ってくる巨大な生物が引っかかる。
「ガラ、逃げるぞ。俺を背負って走れ。」
ガラが拓を背負うと、翼の腕輪を発動させて洞窟を走り抜ける。
まさに飛ぶように走っているのだが、その後ろを巨大ダークサーペンが追い付いてくる。
「これでどうだ。」
拓が銃をとりだし、痺れ薬やトリモチを放ったが全く効果が無い。
「ガラ、もう少し進むと分岐点の有る広間に出る。
そこまで、全速力で走って。」
拓はガラに指示を出すと、油の入った瓶を取り出し口に布を詰める。
広間に出ると、布に火をつけ幾つも有る穴の中の1つに瓶を投げ入れると割れて少しの間油が燃えて炎が上がった。
明かりの無い広間に巨大ダークサーペンが入ってくると、拓が火炎瓶を投げ入れた穴の方へと進んでいった。
その巨体が穴の中へと消えて、暫くすると
別の穴に明かりが灯り、拓とガラが姿を現す。
「今のは一体、どういうことだ。」
「話は後だ。直ぐにこの場を離れよう。」
ガラは拓を背負い、翼の腕輪で軽くなった状態で走り出した。
幾つもの分岐点を進み、初めにテントを張った広間で一休みすることにした。
テント型の小屋の中で、食事をとりながら拓が何をしたのか話し始めた。
「この暗闇のなかで、ダークサーペンとは熱を探知して獲物を見つけているんだ。
だから、さっきは俺達の周囲を冷たくし、他の穴を温めることで別の所へ誘導したんだよ。」
拓の説明に、ガラは「成程」と頷いている。
「しかし、肝心の玄翁は取り損ねたか。」
拓が残念がっていると、
「それよりも、拓さんが怪我をしないで良かった。
下手すすれば、命を落としていたんだぞ。」
ガラにとっては、拓の無事が何よりも大切な事だった。
何故かダイフクはカバンの中に入るのを嫌がり、拓の頭の上に乗っている。
「俺達が行動している間、ずっとカバンに入っていたからな。」
拓は自分の頭の上に乗ったダイフクを撫でながら歩いていた。
洞窟の奥へと進むと、アクラットも見かけなくなる。
「止まって。」
先を歩いていた拓はそう言うと、前に出した足を後ろに戻す。
拓が踏もうとした場所に、大きな岩を投げると「パリン」と音がして岩が穴の中に落ちて行った。
拓が適当に岩を放り投げると簡単に床が割れて崩れていく。
「どうやら、薄い岩の下は空洞で水が溜まっているのか。」
光を当てると、水面がキラキラと反射する。
「拓さん、あそこに苔が生えているぞ。」
ガラが明かりで示した場所には、確かに苔が生えていた。
直ぐに拓がロープを取り出し、自分に結び付けると反対側をガラに渡す。
頭に乗っているダイフクもガラに渡そうとしたが、拓から離れる気は無いらしくそのまま連れて行く。
「待ってくれ、こんな所を降りるのは危険だ。止めた方が良い。」
下に降りようとする拓を、ガラが慌てて止めるが
「翼の腕輪が有るのを忘れてないか。」
拓が、自分の腕に着けた腕輪を見せる。
本来なら、危険な可能性が有るのなら、奴隷のガラが降りるべきなのだが
呪いの掛かった腕では自分の体を支え続けるのも厳しい。
主人と言うより拓を危険に晒させる自分が情けなかったが、今は拓をしっかり支える事が重要だと気持ちを切替える。
ガラは自分の腰にロープを巻き付けた。
「拓さん、準備完了だ。」
「何かあったら、直ぐに引き上げて。」
翼の腕輪を発動させたのだろう。
拓が穴の中へと降りていくが、ロープを支えるガラは殆ど重さを感じる事が無かった。
岩壁の出っ張りに手を掛けながら、拓は簡単に苔の場所まで移動。
「ガラ、この苔が玄翁だ。」
拓が大声でガラに伝えて、玄翁の採取を始めたのだが、光の魔道具が照らす水面が波打つ・・・
ガラがロープを引き上げるのと同時に、拓が居た場所を狙って巨大なダークサーペンが水の中から襲い掛かった。
「ガラ、助かったよ。水の中まで考えていなかった。」
拓が間一髪で穴から上がると、ロープを外した。
上に登れば安全だと思っていたが、拓の探索魔法に穴から登ってくる巨大な生物が引っかかる。
「ガラ、逃げるぞ。俺を背負って走れ。」
ガラが拓を背負うと、翼の腕輪を発動させて洞窟を走り抜ける。
まさに飛ぶように走っているのだが、その後ろを巨大ダークサーペンが追い付いてくる。
「これでどうだ。」
拓が銃をとりだし、痺れ薬やトリモチを放ったが全く効果が無い。
「ガラ、もう少し進むと分岐点の有る広間に出る。
そこまで、全速力で走って。」
拓はガラに指示を出すと、油の入った瓶を取り出し口に布を詰める。
広間に出ると、布に火をつけ幾つも有る穴の中の1つに瓶を投げ入れると割れて少しの間油が燃えて炎が上がった。
明かりの無い広間に巨大ダークサーペンが入ってくると、拓が火炎瓶を投げ入れた穴の方へと進んでいった。
その巨体が穴の中へと消えて、暫くすると
別の穴に明かりが灯り、拓とガラが姿を現す。
「今のは一体、どういうことだ。」
「話は後だ。直ぐにこの場を離れよう。」
ガラは拓を背負い、翼の腕輪で軽くなった状態で走り出した。
幾つもの分岐点を進み、初めにテントを張った広間で一休みすることにした。
テント型の小屋の中で、食事をとりながら拓が何をしたのか話し始めた。
「この暗闇のなかで、ダークサーペンとは熱を探知して獲物を見つけているんだ。
だから、さっきは俺達の周囲を冷たくし、他の穴を温めることで別の所へ誘導したんだよ。」
拓の説明に、ガラは「成程」と頷いている。
「しかし、肝心の玄翁は取り損ねたか。」
拓が残念がっていると、
「それよりも、拓さんが怪我をしないで良かった。
下手すすれば、命を落としていたんだぞ。」
ガラにとっては、拓の無事が何よりも大切な事だった。
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