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093ドライ製法
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先ずはフォスター、ジル、ロイも参加して料理作りを行うことになった。
拓が皆に教えるので、未だ小さいアンリはガラと組んでもらう。
生地を捏ねて形にするのは楽しく、せっかくなので色々な形を作ってみた。
星や木、もしかすると魔獣らしき形が並ぶ。
それを焼くのは拓が行い、その間にクッキーに挟むバタークリーム作りなのだが
「アンリ、味見し過ぎると挟む分が無くなるよ。」
アンリだけでなく、ニックとジョン、更にロイまでが無駄に多く味見をしていた。
そんなロイを見ていた拓は
「一応、大人用は、そこにラムレーズンを加えますがロイさんはどうしますか。」
「ラムレーズンか。勿論、加えたい。」
アンリは干し葡萄にし、他はラムレーズンを加えることにする。
拓が、ラムレーズンの入った瓶の蓋を開けると、周囲にラム酒の香りが広がる。
ジルとロイが味見と言って食べ始めたが、
「そこまでですよ。早くバタークリームに混ぜてください。」
直ぐに拓に止められて、お菓子作りに戻された。
この行為をフォスターが笑っていたが、昔同じ事をして拓に止められていたのは秘密だ。
後は少し置いて馴染ませたら、クッキーに挟んで出来上がり。
皆、直ぐに食べたがっていたが、もう昼の時間になっていた。
拓としては、先に昼食にして午後のおやつにとして食べたらどうかと思っていたが
「何だか待ち切れなさそうですね。少し食べてみましょうか。」
子供達が自作のお菓子を目の前にして、待ち切れないのは仕方がないとしても、ジルとロイまで同じ状態なのはどうなのだろう。
昼食も皆で作る予定だったが、お菓子作りが終わりマッタリとしていたので、拓とガラでパスタ料理を出してみた。
このパスタは、拓が水属性の魔法で乾燥させたのをお湯で戻したもの。
ガラだけでなく、フォスターやアーネスにも試食をしてもらい好評だったが、何も知らない第3者が食べたらどうなるか実験をさせてもらう。
大好評だった。誰も乾燥パスタを使用していると気付く者は居なかった。
「これなら他人と一緒の旅でも、不味い料理を食べなくて良さそうだな。」
「拓さんは、そんな事を考えていたのか。確かに、これなら保存も出来て問題ない。」
「フリーズドライ製法ならぬ、魔力ドライ製法ってところか。」
「フリーズドライ?」
「記憶の腕輪にあった古の技術かな。」
他の人に聞こえない声で拓とガラが実験の成功を喜んでいた。
記憶の腕輪は、拓が身に着けている魔道具で、古の知識等が記録されている。
ただ、フリーズドライ製法は拓の元の世界での食品を乾燥させる技術で、記憶の腕輪は関係ない。
食事も終わり、アンリが遊ぼうと張り切りだすと
「待って、拓さん、俺の宿題を教えて。」
ジョンがカバンから教科書とノートを取り出した。
拓はすっかり忘れていて、教科書を見ると薬草学だけでなく、数学まで…
せっかくなので、とりあえず教科書の内容を記憶の腕輪に読み込んでおく。
そして、出された宿題を見てみるが、数学は拓の元の世界での小学生レベル
薬草学もそれほど難しい質問では無さそうだが、何処で躓いているのか聞いてみた。
「この問題なんだよ。薬草を調べてみたけど、効能の違いが良く分からなくて。」
問題はどれも毒に対する薬草で、確かに同じ毒に効果が有るのだが
「根本的に働き方が違うんだよ。
初めのは毒を体外に排出する働きが有って、次のは、体内の毒自体を無効かする。
最後のは、事前に服用することで、体内に毒を吸収し難くするんだ。
特に最後のは使い方を間違えると全く効果が無いから注意が必要。
もう少し詳しく働きを説明すると・・・」
「拓さん、今ので十分だよ。そうか、そんな違いが有るのか。」
そう言うと、ジョンは拓の言った事をそのまま解答欄に書いていた。
他にも薬草について色々と聞かれ、薬草学のとっかかりを話したが、ジョンはそれだけで十分としてしまった。
数学については躓いていた所を少し教えただけで後は自分で解くことが出来ていた。
そんな感じで宿題は終わったのだが、
「ジョン様、薬草学については後で復習をしないといけませんよ。
流石に、今のでは拓殿の答えを丸写ししただけになりますから。」
ジルに注意をされていた。
拓が皆に教えるので、未だ小さいアンリはガラと組んでもらう。
生地を捏ねて形にするのは楽しく、せっかくなので色々な形を作ってみた。
星や木、もしかすると魔獣らしき形が並ぶ。
それを焼くのは拓が行い、その間にクッキーに挟むバタークリーム作りなのだが
「アンリ、味見し過ぎると挟む分が無くなるよ。」
アンリだけでなく、ニックとジョン、更にロイまでが無駄に多く味見をしていた。
そんなロイを見ていた拓は
「一応、大人用は、そこにラムレーズンを加えますがロイさんはどうしますか。」
「ラムレーズンか。勿論、加えたい。」
アンリは干し葡萄にし、他はラムレーズンを加えることにする。
拓が、ラムレーズンの入った瓶の蓋を開けると、周囲にラム酒の香りが広がる。
ジルとロイが味見と言って食べ始めたが、
「そこまでですよ。早くバタークリームに混ぜてください。」
直ぐに拓に止められて、お菓子作りに戻された。
この行為をフォスターが笑っていたが、昔同じ事をして拓に止められていたのは秘密だ。
後は少し置いて馴染ませたら、クッキーに挟んで出来上がり。
皆、直ぐに食べたがっていたが、もう昼の時間になっていた。
拓としては、先に昼食にして午後のおやつにとして食べたらどうかと思っていたが
「何だか待ち切れなさそうですね。少し食べてみましょうか。」
子供達が自作のお菓子を目の前にして、待ち切れないのは仕方がないとしても、ジルとロイまで同じ状態なのはどうなのだろう。
昼食も皆で作る予定だったが、お菓子作りが終わりマッタリとしていたので、拓とガラでパスタ料理を出してみた。
このパスタは、拓が水属性の魔法で乾燥させたのをお湯で戻したもの。
ガラだけでなく、フォスターやアーネスにも試食をしてもらい好評だったが、何も知らない第3者が食べたらどうなるか実験をさせてもらう。
大好評だった。誰も乾燥パスタを使用していると気付く者は居なかった。
「これなら他人と一緒の旅でも、不味い料理を食べなくて良さそうだな。」
「拓さんは、そんな事を考えていたのか。確かに、これなら保存も出来て問題ない。」
「フリーズドライ製法ならぬ、魔力ドライ製法ってところか。」
「フリーズドライ?」
「記憶の腕輪にあった古の技術かな。」
他の人に聞こえない声で拓とガラが実験の成功を喜んでいた。
記憶の腕輪は、拓が身に着けている魔道具で、古の知識等が記録されている。
ただ、フリーズドライ製法は拓の元の世界での食品を乾燥させる技術で、記憶の腕輪は関係ない。
食事も終わり、アンリが遊ぼうと張り切りだすと
「待って、拓さん、俺の宿題を教えて。」
ジョンがカバンから教科書とノートを取り出した。
拓はすっかり忘れていて、教科書を見ると薬草学だけでなく、数学まで…
せっかくなので、とりあえず教科書の内容を記憶の腕輪に読み込んでおく。
そして、出された宿題を見てみるが、数学は拓の元の世界での小学生レベル
薬草学もそれほど難しい質問では無さそうだが、何処で躓いているのか聞いてみた。
「この問題なんだよ。薬草を調べてみたけど、効能の違いが良く分からなくて。」
問題はどれも毒に対する薬草で、確かに同じ毒に効果が有るのだが
「根本的に働き方が違うんだよ。
初めのは毒を体外に排出する働きが有って、次のは、体内の毒自体を無効かする。
最後のは、事前に服用することで、体内に毒を吸収し難くするんだ。
特に最後のは使い方を間違えると全く効果が無いから注意が必要。
もう少し詳しく働きを説明すると・・・」
「拓さん、今ので十分だよ。そうか、そんな違いが有るのか。」
そう言うと、ジョンは拓の言った事をそのまま解答欄に書いていた。
他にも薬草について色々と聞かれ、薬草学のとっかかりを話したが、ジョンはそれだけで十分としてしまった。
数学については躓いていた所を少し教えただけで後は自分で解くことが出来ていた。
そんな感じで宿題は終わったのだが、
「ジョン様、薬草学については後で復習をしないといけませんよ。
流石に、今のでは拓殿の答えを丸写ししただけになりますから。」
ジルに注意をされていた。
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