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092報酬

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「早速だが、今回の盗賊討伐についての報告をさせてもらっても良いだろうか。」

挨拶が終わるのを待って、騎士団の報告が始まった。
騎士団の検証の結果、退治した盗賊はかなり広い範囲で残虐行為を働いていて懸賞金が掛けられている者も3人居た。

 盗賊退治:金貨26枚
 懸賞金:金貨120枚

盗賊退治は基本、1人頭 金貨2枚になる。
そして、メッサリナについて捜索はしているが全く足取りが掴めていないらしい。
王都内での捜索は出来ているが、雪で周囲の村まで捜索範囲を広げることが出来ずにいた。
盗賊の持ち物を調べたが、今回の件についての手掛かりは全く得られていない。
ガレド商会にも調べを行ったが、何も得られなかったそうだ。
報告を終えると、騎士の2人は帰っていった。

今回、子供達への襲撃を指示した人物が居続けるというのは危険だと思ったが、

「私を当主の座から落とそうとした者は分かっております。
 しかし、その者達には、もはや行動を起こす力は在りません。
 それに、もう王都から居なくなりましたので。」

ヨーゼフが既に手を打っていた。
やはり大商人ともなると、温厚そうに見えて一癖二癖在るのだろう。
最後に、時間が取れず挨拶に来るのが遅くなった事を詫びた。そして

「今回の盗賊退治につきましては、こちらは護って頂いた立場です。
 先ほどアーネス殿とも話しまして、退治料、懸賞金は拓殿とガラ殿で受け取ってください。
 後、こちらは今回助けて頂いた事に対するお礼です。」

袋が差し出され、中を見ると白金貨が2枚入っていた。
拓がどうしたものかとアーネスを伺うと、頷いているので

「有難く、受け取らせて頂きます。」

そう言って、受け取ることにした。
ヨーゼフ達が帰ると、ガラが自分が受け取った金を拓に渡そうとするが

「それは、ガラの分だよ。自分の欲しい物に使いなよ。
 盗賊討伐料も2人で折半だね。」

ガラは少し考え、拓に保管してもらうようにお願いしていた。
銀行に預ける手段も有るが、銀行はその街でしか下すことが出来ない。
拓やガラの様な別の町で生活している者にとっては、空間魔法で収納するのが一番安全だった。

次の日、拓は朝食を食べた後、またベットでゴロゴロして過ごす拓をゴンが呼びに来た。

「店の方に拓さんのお客様が来られましたよ。」

直ぐに着替えて店の奥の部屋に行くと

「ニック、ジョン、アンリ。遊びに来てくれたんだ。」

3人の他に、護衛のジル、ロイが居た。
どうしようかと思っていると、ガラがアーネスに小屋に呼んでいいか聞きに行ってくれた。
店の人が気を利かせて飲み物を用意してくれていたので
拓がゲートを開いてバターサンドクッキーを取り出し皆に勧めた。

「美味しい。もしかして、拓さんの手作りですか。」

ニックが嬉しそうに食べながら聞いてくる。

「そうだよ。ジルさんとロイさんもどうぞ。」

追加で取り出し皆に配る。
暫くして、ガラがアーネスから家で遊ぶ許可を取ってきたので、小屋の方へ移動することにし

「さて、何をしようか。」

拓が3人に聞いてみると

「だったら、さっき食べたお菓子を作ってみたい。」

アンリの言葉に、ニックとジョンが頷いている。

「良いよ、後ついでに昼ごはんも作ろうか。」

何をするか決まったと思った所で、ジョンが

「あの、拓さん。後で薬草学について教えてもらえませんか。」

そう言って取り出したのは、学校で使っている教科書だった。

「お兄ちゃん、それって冬休みの宿題でしょ。」

アンリに言われ、困った顔をするジョン。

「学校の宿題か。それは自分で勉強しないと。
 まぁ、分かる所が有れば、ヒントや指摘位はしてあげるよ。」

拓にとっても学校で教わる内容に興味があり、少し見てみたかった。
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