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087料理

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直ぐに夕食を作る時間になり、3人が今までどんな料理を作ってきたのか確認すると・・・スープと硬いパン。
スープと言っても、適当に肉と野菜を入れ味付けは塩だけみたいだ。
テントや寝床はロイとジルがソリで運んでくれたのだが服や食料は自分達で用意したらしい。
食事は泊まるのとは別のテントの中で行うが、それでも寒いのでスープが中心になる。

「じゃあ、食事は俺が作るから、手伝ってもらえないか。」

拓はそう言うと、肉や野菜を取り出すと3人に下ごしらえをしてもらう。
その横で、拓は小麦粉を捏ねて、生地を作っていた。

3人が持ってきた魔道コンロと鍋を使い
肉や野菜を炒めた所に水を張り、調味料を使って味付けをする。

「凄く良い匂いがする。」

鍋をかき混ぜているアンリが、スープの匂いに食欲を刺激されていた。
匂いに釣られて、ダイフクがガラのバックの中から這い出て鍋の方へ近づいていく。

「もしかして、このスライムは従魔なのか。」

ダイフクを見たジルが用心してガラに問うと

「そのスライムはダイフク。俺の従魔ですよ。」

ガラの代わりに拓が答えていた。
拓がダイフクを抱き上げるのを見て、ジルは肩の力を抜いた。

「拓は闇属性の魔法も使えるのか。」
「まぁ、一応は。といっても初級魔導士なので大した事は出来ませんけど。」
「いや、初級魔導士だろうと2属性の魔法を使えるのは凄いことだ。
 しかし、スライムを従魔としている魔導士は初めて見た。」
「そうですか。ダイフクは可愛いし、とても役に立ってくれますよ。」

ロイは拓に感心しながら、ダイフクを少し突いてみた。
拓はダイフクにもう少し待つように言い聞かせると、ゲートを開き魔道具のコンロとフライパンを取り出し、捏ねた生地を使ってピザを作る。
鍋が丁度良い具合に煮込んだ所で、焼きたてのピザを皿に載せる。

「じゃあ、暖かい内に頂こうか。」

拓の言葉で、子供達とダイフクが一斉に食べ始めた。
拓は「「「美味しい」」」と嬉しそう食べる子供達に、追加でピザを焼いていた。
食後、紅茶を入れて、クッキーを出すと

「このキャンプで初めてまともな食事が出来ました。
 拓さんは、料理も得意なんですね。」
「一応、薬剤師を目指していて、調味料についても勉強しているから。」
「拓さんは薬剤師を目指しているのか。
 アーネス商会に居れば、色々と勉強になりそうですね。」
「そうだな。いろいろと勉強になる事が多いですよ。」

ニックと拓が話していると、

「拓さんって凄い。何でも出来るのね。」

アンリが尊敬の眼差しで拓を見ている。
そう見られて拓もまんざらでもなく、ゲートを開いて空になった皿にクッキーのお代わりを乗せる。


拓の様子をアーネスは眺めていた。

「ガレド商会の総会は10日後か。」

アーネスが呟くと、

「付き合って頂き、本当に有難うございます。」

ジルとロイがアーネスに頭を下げる。

「気にしなくて良い。
 こんな事でも無ければ、拓が冬キャンプを体験する事もないだろうしな。」
「しかし、拓殿は大丈夫でしょうか。」

ロイが心配するが、アーネスが頭を掻いて溜息を吐く。

「拓が、あんな話を聞いて黙っている男じゃないからな。
 ガラ、大変だと思うが拓の事は任せる。」
「任されました。正直心配ですが、拓さんらしいです。」

アーネスに言われ、ガラは剣の柄を握りしめた。

******

離れた所からアーネス達を見ている人影が有った。

「どうやら、護衛が増えたみたいです。どうしやすか。」
「大人2人に子供1人か。その程度、問題ない。監視を怠るんじゃないよ。」

空には三日月が出ている。
しかし、後3日もすれば新月。
暗闇になれば、相手が2人増えようと行動を移すのに問題にならない。
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