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080香水
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次の日、拓が香水の調合を行っているとアーネスがやって来た。
それも、ニヤニヤした顔をして・・・
「聞いたぞ、聞いたぞ。
女性に香水をプレゼントするなんて、拓もやるな。
で、どんな香水にするつもりなんだ。」
部屋に匂いが立ち込めるので、アーネス邸に退避したフォスターからでも聞いたのだろう。
本当に子供の様なところがある。
拓が幾つかの試作品を渡し香りを嗅ぐと、ニヤツキ顔は潜め真顔に・・・
「拓、この香りのベースには何を使っている?」
「ペンデルトン領の森で見つけた花だよ。
良い香りがするから、エキスを抽出して保管してある。」
「この香りを嗅ぐと、普通に売られている香水だと若い子には甘ったる過ぎる気がするな。
念のために聞くが、これを商品として販売する気はあるか?」
「その気は無いよ。知り合いにプレゼントするだけ。」
それを聞くと、アーネスは元のニヤツキ顔になり
「困ったら相談しろよ。俺がアドバイスしてやるからな。」
それだけ言って、帰っていった。
「ガラ、アーネス小父さんは何しに来たと思う?」
「拓さんが心配なんじゃないか。
気軽にプレゼントとは言うが、クリスティーヌさんは侯爵令嬢だしな。」
拓は「そうなのか」と分かっているのか分からない返事をして作業を続けていた。
次の日の午後、クリスティーヌが香水の確認をしに訪ねて来ると、アーネスやミーシアまで同席していた。
「クリスティーヌのイメージで3種類作ってみた。
ベースはサーシャにあげた香水だから、外してはいないと思うけど
違っていたら言って。出来るだけ調整するから。」
拓はそう言って3種類の香水をサーシャに渡す。
それぞれの香水を紙に付けて香りを嗅ぐと、黙って考え込んでしまった。
ミラー婦人やミーシアが香水を嗅ぐと
「あら、素敵な香り。サーシャさんのとは違うけど、スッキリして良い感じね。」
「良い香りですね。3種類とも違うけど、クリスティーヌ様に似合いそう。」
なかなか良い反応をしてくれる。
「どうした、クリスティーヌ。何か意見が有るなら言ったらどうだ。」
アルバート侯爵が、考え込んでいるクリスティーヌに声を掛けると
「3種類とも気に入って、どれにすれば良いのか決められないのよ。」
そう言って、それぞれの香水の香りを嗅ぎ直していた。
「それなら、3種類を気分によって使い分ければ。」
拓がそう言うと、クリスティーヌが驚いたように拓を見る。
「3種類とも貰っても良いの?どれも素敵な香りよ。」
「別に香水作りを仕事にする気は無いから。
あげる相手もサーシャとクリスティーヌ位しか居ないから問題ないよ。」
クリスティーヌは拓から3種類の香水を貰ったが、今度は舞踏会の日にどれを付けるのかで悩み始めた。
拓もそこまでは付き合いきれず、悩むクリスティーヌをそのままにし
皆にケーキと紅茶を用意して、貴族の生活や舞踏会についてアルバート侯爵に伺っているのだが
礼儀作法から始まり、地位による対応の仕方、話す内容にも決まりごとがあり
とても肩が凝ることだけを理解した。
「そんな決め事を貴族の子は10代から覚えているのですか。」
「礼儀作法は家でも学校でも教わるからな。誰しも一通りは身に付けている。」
拓はサーシャやクリスティーヌですら、そんな事を理解している事に驚きを隠せなかった。
貴族という家柄は、伊達では無いのだろう。
香水で悩んでいる姿からは、そんな風には全く見えなかった。
それも、ニヤニヤした顔をして・・・
「聞いたぞ、聞いたぞ。
女性に香水をプレゼントするなんて、拓もやるな。
で、どんな香水にするつもりなんだ。」
部屋に匂いが立ち込めるので、アーネス邸に退避したフォスターからでも聞いたのだろう。
本当に子供の様なところがある。
拓が幾つかの試作品を渡し香りを嗅ぐと、ニヤツキ顔は潜め真顔に・・・
「拓、この香りのベースには何を使っている?」
「ペンデルトン領の森で見つけた花だよ。
良い香りがするから、エキスを抽出して保管してある。」
「この香りを嗅ぐと、普通に売られている香水だと若い子には甘ったる過ぎる気がするな。
念のために聞くが、これを商品として販売する気はあるか?」
「その気は無いよ。知り合いにプレゼントするだけ。」
それを聞くと、アーネスは元のニヤツキ顔になり
「困ったら相談しろよ。俺がアドバイスしてやるからな。」
それだけ言って、帰っていった。
「ガラ、アーネス小父さんは何しに来たと思う?」
「拓さんが心配なんじゃないか。
気軽にプレゼントとは言うが、クリスティーヌさんは侯爵令嬢だしな。」
拓は「そうなのか」と分かっているのか分からない返事をして作業を続けていた。
次の日の午後、クリスティーヌが香水の確認をしに訪ねて来ると、アーネスやミーシアまで同席していた。
「クリスティーヌのイメージで3種類作ってみた。
ベースはサーシャにあげた香水だから、外してはいないと思うけど
違っていたら言って。出来るだけ調整するから。」
拓はそう言って3種類の香水をサーシャに渡す。
それぞれの香水を紙に付けて香りを嗅ぐと、黙って考え込んでしまった。
ミラー婦人やミーシアが香水を嗅ぐと
「あら、素敵な香り。サーシャさんのとは違うけど、スッキリして良い感じね。」
「良い香りですね。3種類とも違うけど、クリスティーヌ様に似合いそう。」
なかなか良い反応をしてくれる。
「どうした、クリスティーヌ。何か意見が有るなら言ったらどうだ。」
アルバート侯爵が、考え込んでいるクリスティーヌに声を掛けると
「3種類とも気に入って、どれにすれば良いのか決められないのよ。」
そう言って、それぞれの香水の香りを嗅ぎ直していた。
「それなら、3種類を気分によって使い分ければ。」
拓がそう言うと、クリスティーヌが驚いたように拓を見る。
「3種類とも貰っても良いの?どれも素敵な香りよ。」
「別に香水作りを仕事にする気は無いから。
あげる相手もサーシャとクリスティーヌ位しか居ないから問題ないよ。」
クリスティーヌは拓から3種類の香水を貰ったが、今度は舞踏会の日にどれを付けるのかで悩み始めた。
拓もそこまでは付き合いきれず、悩むクリスティーヌをそのままにし
皆にケーキと紅茶を用意して、貴族の生活や舞踏会についてアルバート侯爵に伺っているのだが
礼儀作法から始まり、地位による対応の仕方、話す内容にも決まりごとがあり
とても肩が凝ることだけを理解した。
「そんな決め事を貴族の子は10代から覚えているのですか。」
「礼儀作法は家でも学校でも教わるからな。誰しも一通りは身に付けている。」
拓はサーシャやクリスティーヌですら、そんな事を理解している事に驚きを隠せなかった。
貴族という家柄は、伊達では無いのだろう。
香水で悩んでいる姿からは、そんな風には全く見えなかった。
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