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073改善料

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問題が無いことを確認した所で、再び、荷物を降ろす作業を再開したのだが

「アーネスさん、これはスゲー。今までより楽に荷物を降ろす事ができますぜ。
 坊主、滑車に魔道具でも仕込んだのか。」
「違いますよ。動滑車を使って力を分散させただけです。」

滑車が軽くなった事に驚いた従業員に、拓が説明をしたが全く伝わらなかった。
直ぐに、アーネスが下に下りてきて同じ様に荷物を降ろして、この滑車を試してみた。

「拓、これは2つの滑車を組み合わせただけなんだな。」
「そうですよ。その分、長い綱を使う必要が有りますけどね。」

アーネスは暫く考えると

「拓、この技術をうちの商会で買い取らせてくれないか。」
「売って俺が使えなくなるのは困るかな。この技術は自由に使ってもらって構いませんよ。」
「そうか。なら、後で技術料でなく、改善料を払わせてもらう。」
「それは助かるな。本格的に使うなら動滑車が外れないように細工をした方が良いですよ。」

拓はゲートを開いて紙を取り出すと、縄が外れない動滑車の絵を描いた。
アーネスは暫く絵を眺めて、サイズや材料について細かく記載すると

「直ぐにこの滑車を作るように依頼を出してきてくれ。
 全ての倉庫に設置した滑車の分と、予備を3つだ。何に使うかは言うなよ。」
「分かってますよ。坊主、いや拓はスゲー発明家だな。尊敬するぜ。」

従業員は興奮したまま、倉庫から走り出していった。
残りの作業をアーネスとゴンで終らせた後、

「アーネス小父さん、訪ねてきた目的を話したいけど良いかな。」
「あぁ、そうだったな。
 ゴン、降ろした荷物を裏の馬車まで運んでもらえるか。
 手の空いている従業員を使って乗せておいてくれ。」

倉庫にアーネス、拓、ガラの3人になった所で

「ポーションの目処が立ったので、小父さんへの渡し方を決めたいと思って。」
「その事か。テント代の半分を滑車の改善料とするのはどうだ。」
「助かるけど、それは、貰いすぎだよ。」
「そんな事はない。この技術は使えるからな。基本だから応用もし易い。」

拓はアーネスに3段、4段に組んだ滑車について説明をし、
縄だけで4段の滑車と同じ構造になる方法を教え、実際に輪にした部分に自分の体を預け自力で引き上げたりしてみた。

「応用し易いとは思ったが、拓は面白い位に広げるな。」
「縄だけのは、野外で木に登るときに使えるよ。
 使う力は体重の4分の1で良いから、子供でも可能だしね。
 で、ポーションの納品方法についてだけど・・・」

ポーションについては、毎週20個づつ銀貨2枚でアーネスが購入し
残りは、拓の空間魔法で保存し春にまとめて買い取る事になった。
拓は、今月分としてゲートを開いて20本のポーションを取り出してアーネスに渡した。
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