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065依頼

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朝早くから屋敷の人達に見送られ、拓達の乗った馬車は出発した。
馬車での移動中、ダイフクは拓の膝の上で大人しくしている。

王都まで2週間は掛かるので、移動の間に馬の扱いを教えてもらう事にした。
運転席ではガラがゴンから操作の仕方を教わり、それを拓が後ろから見ている。
半日もするとガラは馬車の操作を覚え、ゴンから「筋が良い」と褒められていた。

その日は広場での野宿となるが、夕食の準備は拓が行う。
と言っても、材料の下準備は済ませてあり鍋物を用意しただけなのだが

「拓さん、美味いです。
 大将から拓さんの料理は絶品だと聞いていましたが、こんなに美味いとは思わなかった。」

ゴンは拓の料理をあっと言う間に食べ、直ぐにお代わりを貰っている。
最後の〆にオジヤを作ると

「拓さんが女なら、俺絶対に口説いていますよ。
 将来、嫁さんに料理のコツを教えてやってください。」

そんな事まで言ってくる。

「お前は、彼女も居ないのに結婚なんてできないぞ。」
「だから将来なんですよ。家に帰ってこんな料理が食べれたら幸せじゃないですか。」

アーネスから直ぐに突っ込まれていた。
野外だが、賑やかな食事を済まし、夜は交代で見張りをしながら寝るのだが
拓は順番は最後で、同時に朝の食事当番でもあった。

「拓、交代の時間だ。」
「お早う、アーネス小父さん。寝る前にちょっと良いかな。」
「何だ。今話した方が良いのか。」
「出来ればゴンさんが居ない内に。
 前に造って貰ったテントなんだけど、追加で頼むとすると金と時間はどの位掛かる。
 最低3個、欲を言って6個。」
「そうだな。あれはテントと言うより小屋だからな。1つで金貨十数枚か。
 冬は鍛冶屋は仕事が少ないからな6個でも2ヶ月有れば十分だろう。」
「俺のポーションを卸すから、テントを購入できないかな。」
「拓のポーションか。別に良いぞ。まとめて作るのなら値引きも出来る。
 ポーションが1つ銀貨2枚として、800個でいけるだろう。」

高品質のポーションを800個も作るのは普通では在り得ない数だが
アーネスが拓の力量を知っているからこそ言える話だ。

「王都に着いたら直ぐに依頼をしてやる。
 ポーションは居る間に作れば良い。」

アーネスは約束すると、自分のテントに戻っていった。

「ガラと王都観光もしたいしな。今から作っておこうか。」

拓のポーション作りは場所を選ばない。
複数の魔法を使えば、材料と器が有れば作ることが出来る。
拓は見張の時間を使ってポーションを作ることにした。
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