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063一流の男
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次の日の朝、ドアをノックする音がして拓が出ると
「拓、おはよう。これ、ルドルフ料理長から焼きたてのパンよ。」
サーシャがマリーと一緒に朝食を届けに来てくれた。
直ぐにアーネスを呼んで紹介する。
「お初にお目にかかります。
私は、商人をしていますアーネスと申します。
拓がお世話になっています。」
「始めましてアーネス様。ペンデルトン家のサーシャと申します。
こちらこそ、拓さんには、いつもお世話になっています。」
サーシャは、少しアーネスと話して屋敷に戻っていった。
そして、サーシャを見送ると朝食を食べながらアーネスは
「素敵なお嬢さんじゃないか。成程な。」
そう言って、ニヤつきながら拓の事を見ている。
「何だが、下世話な事を考えているみたいだけど、違うから。」
「いやいや、拓の事をオッサン臭いと思っていたが、若い、若い。
しかし、侯爵令嬢か・・・人生、色々と思い通りには行かない事もあるが
その時は、俺が酒を奢ってやるからな。」
「だから、なんでそうなるの。」
拓の言葉を「まぁまぁ」と聞き流しながら、終始アーネスは拓かからかって笑顔で食事を続けていた。
拓はヘンデリック侯爵に冬の間、アーネスと共に王都に行くことを伝え、ガラ、アーネスと共に町に買出しに来ている。
先ず購入したのは2人でも十分に寝れるサイズのベット。
拓のテントで使う為の物だ。
「旦那。このベットを運ぶのに、別途料金が掛かりますがどうしますか。」
「いや、運ぶ必要は無い。俺がそのまま持ち帰る。」
アーネスがゲートを開いて、空間魔法で収納した。
「俺はこれでも上級魔道師でな。商人をやっているアーネスという。」
「まさか、鮮血のアーネス…」
驚く店主に満足したアーネスが、得意げに拓の方を見るが、拓はガラと一緒に他の商品の物色をしていた。
次に向かったのは岩の加工の依頼。
拓が事前に用意していた岩をアーネスがゲートを開いて取り出すと
「凄い、上級魔道師なのか。」
職人達が驚いているので
「まぁな。俺は商人をしているアーネスという者だ。」
「まさか、鮮血のアーネス・・・」
この反応に満足したアーネスが、今度こそはと拓の方を見るが
石職人の親方と岩の加工内容について話をしていてアーネスの事を見ていなかった。
その後、市場で大量に食材を仕入れに来たのだが
「拓、新鮮な果物を王都まで運んでもらっても良いか。」
「空間魔法の収納は問題ないけど、ゴンさんはどうします。」
「販売目的で仕入れる訳じゃないから、そこは上手くやる。爺様も居るからどうにでもなるしな。」
そうと決まればと、王都で売っていない果物や野菜を大量に買い始めた。
買った果物や野菜をアーネスがゲートを開いて収納していく姿を見ていた店主から
「もしかして、あんた鮮血のアーネスかい。」
「そうだが。俺の事を知っているのか。」
「いや、この町に来ていると聞いてな。やはり一流の男は風格が違うねぇ。」
アーネスが横目でチラッと見るが、ガラと売っている食材で何を作るかの話で盛り上がっていた。
その後は、珍しい果物や野菜だけでなく、王都でも普通に買える物まで買い始めた。
「この辺は王都でも買えると思うけど。」
「この食料は非常時用で拓が持ってくれ。有るだけで気持ちに余裕が出来る。
ゴンは俺が最も信用している部下だが、いざという時の判断は拓に任せる。
移動の際に使わずに済んだら、拓が食べればいい。」
最後にアーネスが砂糖を購入すると
「旅の間に、小腹が空いたら食べれる菓子が有ると良いよな。
ゴンの奴、大酒飲みの上に甘い物が好きなんだ。」
とゴンの為と言いながら、拓に渡していた。
拓が森で暮らしていた時、アーネスは必ず砂糖や果物を渡してケーキを作ってもらっていたので今更の話なのだが・・・
「拓、おはよう。これ、ルドルフ料理長から焼きたてのパンよ。」
サーシャがマリーと一緒に朝食を届けに来てくれた。
直ぐにアーネスを呼んで紹介する。
「お初にお目にかかります。
私は、商人をしていますアーネスと申します。
拓がお世話になっています。」
「始めましてアーネス様。ペンデルトン家のサーシャと申します。
こちらこそ、拓さんには、いつもお世話になっています。」
サーシャは、少しアーネスと話して屋敷に戻っていった。
そして、サーシャを見送ると朝食を食べながらアーネスは
「素敵なお嬢さんじゃないか。成程な。」
そう言って、ニヤつきながら拓の事を見ている。
「何だが、下世話な事を考えているみたいだけど、違うから。」
「いやいや、拓の事をオッサン臭いと思っていたが、若い、若い。
しかし、侯爵令嬢か・・・人生、色々と思い通りには行かない事もあるが
その時は、俺が酒を奢ってやるからな。」
「だから、なんでそうなるの。」
拓の言葉を「まぁまぁ」と聞き流しながら、終始アーネスは拓かからかって笑顔で食事を続けていた。
拓はヘンデリック侯爵に冬の間、アーネスと共に王都に行くことを伝え、ガラ、アーネスと共に町に買出しに来ている。
先ず購入したのは2人でも十分に寝れるサイズのベット。
拓のテントで使う為の物だ。
「旦那。このベットを運ぶのに、別途料金が掛かりますがどうしますか。」
「いや、運ぶ必要は無い。俺がそのまま持ち帰る。」
アーネスがゲートを開いて、空間魔法で収納した。
「俺はこれでも上級魔道師でな。商人をやっているアーネスという。」
「まさか、鮮血のアーネス…」
驚く店主に満足したアーネスが、得意げに拓の方を見るが、拓はガラと一緒に他の商品の物色をしていた。
次に向かったのは岩の加工の依頼。
拓が事前に用意していた岩をアーネスがゲートを開いて取り出すと
「凄い、上級魔道師なのか。」
職人達が驚いているので
「まぁな。俺は商人をしているアーネスという者だ。」
「まさか、鮮血のアーネス・・・」
この反応に満足したアーネスが、今度こそはと拓の方を見るが
石職人の親方と岩の加工内容について話をしていてアーネスの事を見ていなかった。
その後、市場で大量に食材を仕入れに来たのだが
「拓、新鮮な果物を王都まで運んでもらっても良いか。」
「空間魔法の収納は問題ないけど、ゴンさんはどうします。」
「販売目的で仕入れる訳じゃないから、そこは上手くやる。爺様も居るからどうにでもなるしな。」
そうと決まればと、王都で売っていない果物や野菜を大量に買い始めた。
買った果物や野菜をアーネスがゲートを開いて収納していく姿を見ていた店主から
「もしかして、あんた鮮血のアーネスかい。」
「そうだが。俺の事を知っているのか。」
「いや、この町に来ていると聞いてな。やはり一流の男は風格が違うねぇ。」
アーネスが横目でチラッと見るが、ガラと売っている食材で何を作るかの話で盛り上がっていた。
その後は、珍しい果物や野菜だけでなく、王都でも普通に買える物まで買い始めた。
「この辺は王都でも買えると思うけど。」
「この食料は非常時用で拓が持ってくれ。有るだけで気持ちに余裕が出来る。
ゴンは俺が最も信用している部下だが、いざという時の判断は拓に任せる。
移動の際に使わずに済んだら、拓が食べればいい。」
最後にアーネスが砂糖を購入すると
「旅の間に、小腹が空いたら食べれる菓子が有ると良いよな。
ゴンの奴、大酒飲みの上に甘い物が好きなんだ。」
とゴンの為と言いながら、拓に渡していた。
拓が森で暮らしていた時、アーネスは必ず砂糖や果物を渡してケーキを作ってもらっていたので今更の話なのだが・・・
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