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0512人の関係

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拓とガラもアークと一緒に町に戻り、ワイルドベア討伐、素材の売却代を受け取る事にした。

「そういえば、ガラって冒険者としての登録はどうなってる。」
「俺のは既に抹消されているな。」
「なら、ガラも冒険者登録をし直そうか。」
「俺は奴隷だぞ。そんな事をする必要は無いだろう。」
「いや、せっかく一緒に魔獣を討伐したのに勿体無いだろう。」

そういう事では無いのだが、ガラは拓の好意に甘える事にした。

「なぁ、ガラは拓の奴隷なのか。」

今の2人の話を聞いて、ジークが聞いて来る。

「言っていなかったが、そうだ。」
「いや、特に言う必要は無いが少し驚いた。」

ガラもジークが、驚くのは無理も無いと思っている。
ガラ自身、こんな奴隷は居ないと思っているからだ。
しかし、ガラが奴隷だと知っても、アークの態度は変わらなかった。

「拓がガラを仲間として扱っているからな。
 しかし、拓がこんな感じで良かったよ。」

ジークに言われても拓には何が良かったのか分かっていない。
ガラが心配になるのは、他の奴隷がどの様に扱われているかを拓が知った時、どう感じるかだった。


一行はギルド会館に入ると、先ずはガラの冒険者登録を行い
それから、ワイルドベアの討伐、素材の売却を行った。
拓は受け取った金を2等分にしてガラに渡す。

「拓さん。こういうのは、拓さんが全て受け取るものだ。」
「それじゃ、冒険者登録した意味が無くなるよ。
 俺の仕事の分は俺が受け取るけど、これは冒険者としての収入だから。
 大丈夫、食事代を要求したりしないから。」

拓は自分が面白いことを言ったと思っているのか一人で笑っていたが、
ガラは、奴隷が冒険者である主人のサポートをして金を受け取るという状況に戸惑うだけだった。
拓もガラとの間の温度差を感じて笑うのを止めると

「自分の自由になる金は有ったほうが良いよ。
 欲しいものが有れば、自分の物として買えばいい。」

拓はそう言うと、ゲートを開いて袋を取り出し、そこに受け取った金を入れてガラに渡すと
ガラは受け取った袋を持って、身動きせずに只立っていた。
それを見ていたジェニファーは

「本当に面白い関係よね。
 良し、私が2人に美味しいものをご馳走してあげるわ。
 付いてらっしゃい。」

そう言ってギルド会館を出ると、拓と浩司を店まで連れてきた。

「ここのケーキが美味しいのよ。
 高いから、たまにしか来れないけど、きっと2人も気に入ると思うわ。」

そこは、以前2人がヘルガに連れてきてもらった店だった。
拓とガラがメニューを見ると、使う果物の関係か一部ケーキの種類が変わっていた。

「ジェニファーの奢りか。何を食べようかな。」
「何を言っているのよ。私が奢るのは拓ちゃんとガラさんだけよ。皆は自分で払うのよ。」
「え~、何だよケチ臭いな。」
「ケチとは何よ。大体、おごって貰おうという考えの方がケチ臭いじゃないの。」

皆はジェニファーとニコラスの会話を聞き流しながら自分の注文を選んでいる。
アークにとっては、何時もの事らしい。
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