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047策士

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一度は落ち込んだサーシャも元気になり、
今ではヘルガの所で、魔法について勉強をしている。
拓が渡した本に興味を持ち、魔力を見れるようになれるか訓練中だ。

「もし能力に目覚めて冒険をしたいと言い始めたら俺の所為か。
 サーシャってドジっ子だから、失敗したかな。」

拓は失礼な事を言いながらも、元気になった事は喜んでいた。


暫くすると、ヘンリーは騎士として、ヨハンは魔道師の為の特別な学校に通うため王国へと旅立った。
そして拓は、いつも通りマイペースに生活をしている。
今日から、薬草採取の為に前回よりも長く森に入る。
ガラもトウ、バン、ジャンから剣を習い今の腕力でもある程度は戦える様になり、少しは護衛として役に立てる様になってきた。

「出来るだけ大量に薬草を採取して、ポーションの余裕分を作っておきたい。
 野外での料理や、ドライ食品を作って見せているから長く森に居ても問題ないし。」
「拓さんが公開したことで、行動が楽になるな。」
「全て計算通り。策士と呼んでくれても良いよ。」
「・・・」

ガラは口には出さないが、ある程度は計画的に動いているが、今回のはたまたまだと思っていた。
ハッキリ言ってしまうと、拓は計画を立ててもどこか抜けていていて、運で何とかなっている気がしている。

「やはり、冬に向けての蓄えの為か。」
「冬になったら薬草の採取も出来なくなるからね。
 後、時間が出来たら調べたいことも有るから。」
「もしかして、ギリス教か。」
「ガラって察しが良いね。」
「……」

一緒に居て分からない訳が無いと思うが。
ガラから見ても、やはり拓は何処か抜けている。
ギリス教は、この世界での最大の宗教で、国と対等の力を持っている。
むしろ、国に関係なく信者が居るので、国以上なのかも知れない。

拓は緑の髪の子が『呪いの子』と信じられている事を疑問に思っていたが
そもそもは、ギリス教の教えに
緑の髪の子は災害を呼び、不幸を招く
という言葉が有るためだ。
そして実際に、緑の髪の子は大震災が起きた時にしか生まれてこない。
大震災が起きた町や村では、緑の髪の子が生まれたと必ず言われる。

「教会って何をやっているんだろうね。」

と拓は教会自体に興味を持ち始めている。
ガラとしては、無茶な事はしないで欲しいが、拓が動くのなら体を張って守ろうと考えていた。


目的の森に着くと、先ずはゲートを開いて3つのテント型の家を取り出し繋いだが

「もっと大きなゲートが開ければ一発なのに。
 それに、数週間も篭るならもっと部屋が欲しいな。」

拓が広い部屋を欲しがるのは、ガラは自分の体が大き過ぎるのが原因かと心配になる。
自分の様な大男が部屋で一緒に寝泊りしていれば、嫌になっても仕方ないだろう。

「入って直ぐに居間より1つ部屋が欲しい。
 後、薬生成の作業部屋も別に有った方が邪魔にならないし。
 3部屋在れば十分だと思ったけど、甘かったかな。」

正直、ガラは自分が邪魔になっていないと分かりホッとした。
拓に奴隷として買われたが、殆ど役に立ってない。
小屋では掃除、洗濯をする位で、朝食は作るようになったが、料理の腕は拓の方がずっと上だ。
空いている時間で剣や武術の訓練を行っているが、呪いの所為で腕に力が入らず
相手の攻撃を受け流せる様にはなったが、強い攻撃が放てずにいる。
強い魔獣に遭遇したら、拓の逃げる時間稼ぎくらいにしかならない。
せめて、薬草採取で役立つしかなかった。
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