Sランクパーティーを追放されたネクロマンサーの僕は魔王軍最強の幹部になる~

ネコオカ【面白い漫画毎日更新中】

文字の大きさ
上 下
18 / 27

最強ネクロマンサー、ダークエルフがメイドになる

しおりを挟む
エルフの村を助けたお礼がしたいと、村長の家に呼ばれた。

「…助けていただきありがとうございました…!あ、私はこの村の長のエルザです。先ほど、皆さんに助けていただけなかったら、あやうく私は手籠めにされているところでした…。それだけではなく、村の者もみな奴隷として売られていたでしょう。皆様にはなんと感謝していいことやら…村の皆を代表して、お礼を言わせてください。本当にありがとうございました!」

 そういって、エルフの村の長のエルザさんはふかぶかと頭をさげた。

「それにしてもすごいですなあなた方は…あのエルフハンターたちはみなそれなりの強さを持っていて、魔法を封じられてしまった私たちはあっという間にやられてしまいました…それをあんな短時間で圧倒されるとは…」

「確かにすごかったね。まさかこんなに簡単にエルフハンターを倒せるなんて思ってなかったよ。さすが黒騎士さんとレインさん、それにエイファもすごかったね!あんな大男を圧倒してるだもん…びっくりしたよ。エイファって強かったんだね」

「いえ、私は一度あの男に負けてるんです…その時はとても敵う気がしなかったんだけど…シオン様のアンデッドになったからなのかな…?体にすごい力があふれてるです…」

「やはり私が鍛える必要もなかったかな」

「元々シオン殿が使役していたアンデッドの勇者パーティーもCランク冒険者程度だったが、Sランク冒険者並みの力を持っていた。やはり…シオン殿が復活させると生前よりもはるかに強い力を発揮できるようになるようですね。これはとんでもないことだ…エイファ殿もこれならレイン様はどれほどの力を…」

「ふふ、正直自分でも怖いほどの力を感じているよ」

「おぉ…!それは頼もしいですな!私もレイン様に負けないように精進しなければ…」

  黒騎士さんが闘志を燃やしている。

「あのぉ、ところですこし気になることがあるのですが…エイファはどうしてしまったんでしょう?なぜそんなダークエルフのような姿になったの…?」

「これは…」

 エイファは黙ってしまった。彼女が言いづらいなら、僕が言うべきだろう。彼女を復活させたネクロマンサーとして。

「あぁ…エイファのこの姿は僕が彼女をアンデッドにしたからなんです」

「アンデッド…!?エイファは死んでしまったのですか…」

「はい、エイファは瀕死の状態で魔王軍のギルドに助けを求めに来たんですけど…そこで力尽きてしまって…僕が復活させたんです。そうしないと、この村がどこにあるのかわからなかったので…」

「そうだったのですか…エイファよく頑張ってくれたな…」

「そんな、私は助けを呼びいっただけで、結局シオン様達がいなければ…」

「いや、エイファが必死に頑張ったおかげだよ。それに最後にハンターの頭を倒したのもエイファだしね」

「…あれも結局シオン様のアンデッドになって強化されてたおかげですから…それよりエルザさん…皆は私の姿を見てどんな反応だったの?私、怖がられてなかった?」

「そのことか…確かにダークエルフといえば我々エルフからすれば邪悪の象徴のような存在だからな…みな戸惑っていた。だが…たぶん大丈夫だ。エイファが我々のために戦う姿はみんな見ていたからな。それに敵の親玉を倒したのもエイファだ。見た目や過去の伝承などその事実に比べれば些細なことだよ!」

「それは…シオン様が私に倒すように言ったから…。そうか、そういうことだったんですね。私の変わってしまった姿がみんなに受け入れられやすくするように、あそこを私に任せてくれたんですね」

「え?」

 僕はただ、決着はエルフ自身によってつけた方がいいかなと思っただけなんだけど。

「戦いの後の事まで気遣ってくれていたなんて…シオン様ありがとうございます!」

 エイファがうっすらと涙目になりながら、感謝している。

「そこまで考えてはいなかったんだけど…」

「あるじ様は照れ屋だな、あの状況でわざわざエイファに任せたのはそういうことしかありえないだろう」

「うむ、あの時はどういう事かと思ったが、シオン殿がそこまでエイファ殿の事を思って行動していたとは、感服したぞ…」

「シオン様はどこまでも先を見ているんですね…部下になれて本当に光栄です!」

 黒騎士さん、レインさん、カイルさんがみんなで勘違いしてる。本当にそこまで考えてなかったんだけど。

「それにしても…我々はもうこの森にはいられなくなってしまいますな…先ほどのエルフハンターの配下が奴隷商人を呼びにいっていました…これからどうするべきか…」

「それなら是非魔王城にきてほしい!!我々は全ての亜人を守る為に活動している。これをきっかけに多くのエルフも仲間にすることができれば魔王様もとても喜ぶはずだ!これは実はこのエルフの村を救いにいく上で魔王様から伝えられていたことなのだ」

「よいのですか…?我々エルフは人間達からすれば、金銀財宝と同じ…これまで以上に魔王城は人間達に狙われるようになりますよ…?」

「確かに、これまでならエルフを仲間にすることはそれなりの覚悟が必要だったな…だが、今なら問題ない!シオン様がレイン様を復活させてくれたおかげで今の魔王城の戦力は史上最高、エルフを仲間にしても全く問題がない…狙ってくる人間がいるなら返り討ちだ!」

 黒騎士さん…さすがに僕を過大評価しすぎじゃないか?

「シオン様がいれば、たしかにどんな人間が攻めてきても大丈夫でしょうね」

 カイルさんまで。

「わかりました…そう言っていただけるなら。では、私達カタリナ森のエルフ一族は魔王城にいくことにします。我々はみなそれなりに魔法に優れていますので、お役に立てることがあれば何でも言ってください!」

 エリザさんが僕に握手を求めてきたのでそれに応える。こんな代表者みたいな扱いをされるのはなれないけど…魔王軍の幹部になったこれからはこういう事も増えるのだろうか。

「ところで、今回の一件のお礼はどうすればいいのでしょうか…?村にはあまり蓄えがないので…」

「あぁ、それはエイファにも言ったんだけど、いらないよ」

「いらない…!?」

「それはいくらなんでも…我々はあなた方の助けがなければ奴隷として売られていたのです…何の礼もしないなど、エルフの誇りに傷がつきます!…とはいえ、今回のご恩に報いるほどの謝礼を用意できないので…なんともしがたいことですが…」

「エルフの皆は魔法が得意なんだよね? さっきの言ったとおり、魔王軍で頑張ってくれたらそれで十分だと思うけど」

「いえ、それはあくまでも魔王城に迎えていただけることへのお礼で、そもそも当たり前の事です…今回の一件にはもっとそれなりの礼をしなくては…!そうですな、シオン様さえ良ければ…我々の一族から一人、メイドとして仕えさせていただけないでしょうか?エルフをメイドとして雇うことは大きなステータスになると聞いたことがあります。シオン様さえ良ければ、私でも構いませんよ」

「えぇ!?あなた村長ですよね?」

「村長だからこそ責任をとるべきなのです…!大丈夫です。後継となる者ならいくらでもいます。そもそも便宜上村長を名乗っているだけで、たいして役目がないのですよ…それこそ結界のチェックをすることぐらいで…まぁ、シオン様次第ですね。さぁ、村の皆にも同意はとれています。誰をメイドにされますか?」

 エリザさんが僕にぐいぐい迫る。

「いえ本当にお礼はいらないですから!」

「なんですと…!?私ではダメですか?では誰を?」

「いえ、だから本当にお礼はいらないんですよ…」

「エルザ村長、シオン様には私がお礼をします」

「エイファさん?」
 
 何を言ってるんだろう。

「元々、シオン様にこの村を助けていただくようにお願いしたのは私です。そして私はシオン様のアンデッドになりました。この恩を返すのは私にやらせてください!村長の代わりにメイドとして、誠心誠意つとめます!」

 なんでそうなるの!?

「そうか…?決意は固いのか?私が代わっても良いのだぞ?」

 「代わりません!」

「そうか…ならば何もいうまい…」

 エルザさんは少し残念そうな顔をしている。やはりエイファさんに一人に全てを押しつけるような形になるのが嫌なのだろうか。そのために自分の身を捧げることができるなんて、優しい人だ。

「シオン様!これからよろしくお願いします!」

「本当にお礼なんていらないんだけど」

「そういうわけにはいきません!」

 こうして、ダークエルフのエイファさんが僕のメイドになったのだった。「メイドは一人で十分です…」そんなタマの声が聞こえてきたような気がした。
しおりを挟む
感想 111

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

鶴と修羅〜助けられた鶴ですが、恩人の少年がトラックに轢かれて異世界へ!?え?私も行くの?〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 鶴の妖である千鶴は、ある日釣り糸に絡まっていたところを少年に助けられた。「少年に嫁げ。恩を返さなければ、天罰で死ぬ」と長老達は言う。しかし少年はトラックに轢かれて死んでしまった。絶望する千鶴。だが彼は異世界に転生していることが分かり、彼女は渋々異世界に行く。少年はケンという名の美形の農夫に生まれ変わっていた。一目惚れした千鶴は妻にしてくれと頼んだが、あっさり断られてしまった。結局、押しかけ女房となる。ケンの下には、なぜか次々と妖がやって来る。江戸時代の狐やモンゴルの白馬と千鶴は徐々に家族となっていく。ある日、ケンに召集令状が届く。千鶴に横恋慕した王子の陰謀だった。心配性で甘えん坊の鶴がチートな妖術で奮闘するお話。全30話。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。 応援本当に有難うございました。 イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。 書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」 から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。 書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。 WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。 この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。 本当にありがとうございました。 【以下あらすじ】 パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった... ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから... 第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。 何と!『現在3巻まで書籍化されています』 そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。 応援、本当にありがとうございました!

処理中です...