Sランクパーティーを追放されたネクロマンサーの僕は魔王軍最強の幹部になる~

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最強ネクロマンサー、エルフの村を救う(1)

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「ま、まさかエルフをアンデッドにしたときにダークエルフになるとは…」

 魔王様が驚いている。

「ダークエルフ?」

「シオン殿…これはすごい発見なのじゃ、伝承に残っているダークエルフ…エルフに褐色の肌をしたものなどいなかったので、これまで創作と思われてきたあのダークエルフがアンデッド化に成功したエルフの姿だったというのは…これはネクロマンサー史に残る大発見なのじゃ…!」

「え?私アンデッドになったんですか?あれ?なにこの肌の色…まるで…おとぎ話に出てくるあの邪悪なダークエルフの姿みたい…嘘でしょ!」

 エルフの少女は自分の姿を見て、ショックを受けているみたい。

「おとぎ話に出てくるダークエルフってもしかして、悪役なんですか魔王様?」

「うむ、昔とあるエルフが神と契約を結んだ。仲間のエルフ達を神に生贄として捧げ、そのエルフは不死身の命を得たが、その代わり肌は黒く、髪は銀髪へ変わった…そんなおとぎ話があるのじゃ…不死身の命とはアンデッド化することだったのじゃな…」

「そんな話が…」

「…うぅ…こんな姿じゃみんなに見せられない…」

「あの…混乱してるところ、悪いけど、何があったか教えてくれるかな?」

「あ!そうだった…! あの…お願いします!私の住むエルフの村を助けてください!!人間が襲撃にきたんです!」

「…やはり、エルフハンターでしたか。どうしますかシオン様、エルフハンターともなると相当腕利きの者達でしょう」

 カイルさんが僕に問いかける。

「お願いします!!なんでもしますから…!村には少ないですが、お金もあります! お金が足りないなら私の体を捧げます…!だからどうか村の皆を助けてください!」

 僕にすがりつくように懇願するエルフ少女。

「もちろん助けるよ…!あと報酬は別にいらないよ」

「え?」

「僕、一応魔王軍の幹部をやってて、魔王軍は亜人を助けるために活動してるって聞いてるんだ。ならこれは僕の義務みたいなものだから。報酬はもらわなくてもいいよね?お金ないみたいだし」

「…ほんとうに欲がないのじゃシオン殿は…いくらアンデッドとはいえ、普通これだけの美少女になんでもすると言われて、何の見返りもいらないとそんなにも純粋な目でよく言えるものじゃ。そんなところが素敵なのじゃ」

「えぇと…では、助けて貰えるんですか?本当に…何の見返りもなく?」

「まぁ、そうだね。初仕事だし…それに僕が役に立てるかどうかわからないけどね…全力を尽くすよ」

「えぇと…私を復活させたネクロマンサーなんですよね…?すごい魔力を感じるし…強いんですよね?」

「僕は別に強くないかな…」

「えぇ…?」

「大丈夫じゃエルフよ、シオン殿は自己評価は低いがとんでもない実力者なのじゃ。シオン殿はかの竜人の英雄レイン様を復活させたネクロマンサーじゃぞ、レイン様の名はもちろん知っているじゃろ?」

「えぇ!?あの竜人の英雄が復活したんですか…?英雄クラスのアンデッド化なんて聞いたことがない…いやそれを言うなら私もアンデッドになってるのか…エルフのアンデッド化だって聞いたこともないし…じゃあやっぱり凄いネクロマンサーなんですね」

「うむ、その通りじゃ。シオン殿は凄いネクロマンサーなのじゃよ。エルフハンターごときなら、レイン様一人おれば十分じゃろうが、一応そのエルフハンターの力量を聞いておくのじゃ。エルフの村を襲うぐらいなのじゃから、相当腕利きなのではないか?」

「そうです。Aランク冒険者並の実力の男もいました…あと魔法を無効化する魔道具も持っていました。魔法を使うこともできなくなっていて、あれじゃ村のみんなはあの男にはかなわない」

「魔法を使えなくする魔道具じゃと…?範囲はどのぐらいなのじゃ?」

「男達の話を聞いた限り、森一帯に効果があったと思います…私自身も森を出たところでやっと転移魔法が使えるようになっていてここまで飛んできたので」

「なんと…!それほどの効果を持つ魔道具…とんでもない価値があるはずじゃが…なぜ一介のエルフハンターが…」

「とにかく…助けに行くならレインさんをよんでこないと…」

 レインさんは外に出歩くと、人が集まりすぎるので、屋敷で待機中なのだ。

 僕はエルフの少女も一緒に屋敷に戻った。

 そして、そこで待っていたレインさんに事情を説明する。ミミとタマも一緒になって聞いてる。

「ふむ…なるほど。エルフハンターか…私がいない50年やそこらの間にそんな職業ができていたとはな…エルフはどうやらずいぶん弱体化してしまったようだな?」

「レインさんが生きていたころにはエルフハンターはいなかったんですか?」

「うむ、一人で旅するエルフを狙うものはいても、エルフの村を襲撃しようとするような者達はいなかったな…あの頃のエルフ達は魔法に優れているのは当たり前だが、近接戦闘もできる者も多く猛者揃いだったからな…竜人ほどではないにしても人間にとって迂闊に手を出せるような存在ではなかったよ」

「今でも強いエルフの種族はいますよ…残念ながら私達の村はそうじゃありませんでしたけど…私だってみんなを守れるぐらいに強くなりたいんですが…」

「なるほどそういうことか。ならば、今回の一件が終わったら私が鍛えてあげよう」

「…いいんですか?」

「同じネクロマンサーに復活してもらった者同士だ、気にするな…といってもその必要はないかもしれないがな…」

「どういうことですか?」

「まぁ、いいだろう。そのうち君も気づくさ。さて、話を聞いた限り急いだ方が良い。話を聞いた限り、戦力は私一人いれば十分だろうが…どうするかね?」

「私もいくぞ!」

 黒騎士さんが屋敷に駆け込んできた。

「エルフが襲われているなど聞いて、黙って待ってはいられない。私も連れて行ってくれ!」

 こうして、僕は黒騎士さんとレインさん。そしてエルフの少女…。そういえば名前も聞いてなかったな。

「あの、君の名前はなんていうの?」

「あぁ、ごめんない。名乗ることすら忘れていました…エイファです」

「エイファさんか。僕は未熟なネクロマンサーだけど君の仲間を助けるために頑張るよ、黒騎士さんもレインさんも凄く強いからさ安心してほしい」

「私達よりもシオン殿の方がよほど…まぁいいか」

「ふふ、あるじ様はいつ自分がとんでもない力をもっていることを自覚するのだろうな」

 黒騎士さんとレインさんが、僕をそういって微笑ましい目で見ている。なんだか恥ずかしい。

「…あの、ほんとうにありがとうございます!たいした報酬も約束できないエルフの村を助けるためにこんなに凄い人達が集まってくれるなんて…あなたのおかげです!!」

 エイファさんはそういって涙を流しながら、深々と頭をさげた。
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