Sランクパーティーを追放されたネクロマンサーの僕は魔王軍最強の幹部になる~

ネコオカ【面白い漫画毎日更新中】

文字の大きさ
上 下
14 / 27

勇者クロス、奴隷になる【クロス視点】

しおりを挟む
 俺様は教会勢力の本拠地、聖地サンシャインにある聖女の屋敷につれてこられた。聖女がカインに何かを買ってくるようにいって、外に出て行ったから聖女と二人きりだ。

 ドロシーとレミリアはあの場所で別れた。レミリアは叔父と一緒。ドロシーは一人でこそこそ逃げやがった。
 
「フードをかぶってたおかげで、その醜い顔が見えなくて、アンデットてばれずにここまでこれてよかったね、勇者君!」

「ちょっと待ってくれ、さっきから醜い顔とか言ってるが、俺様は格好いいはずだ。これまで、イケメン勇者として生きてきたんだ。あんたちょっと美的感覚おかしくないか?」

「…鏡を見なさいよ」

 俺様は言われて、部屋に置かれた大きな鏡を見る。うん、ちょっと顔が青白くて、顔がはれてぱんぱんになって、まるでモンスターみたいだけど、イケメンだなぁ。やっぱ真のイケメンってのは、どんな状況でもイケメンなんだ。心が顔に現れてるんだろうな。

「やっぱり、イケメンにしか見えないぜ…はっ!?」

「どうしたの?人の顔をまじまじ見て…」

 なるほど…この聖女様、ブス専か! なるほど、なら納得いくぜ。

「聖女様…わかったよ。俺はブサイクなんだろうな…あんたにとってはな!」

「なんかひっかかる言い方ね。踏んでいい?」

「…む、仕方ねぇな」

 聖女に言われたとおり、俺様は頭を下げて踏まれる準備をする。すると聖女の足が、俺の様の頭の上に置かれる。屈辱的だが、この流れに従わないと、浄化すると脅されてるから仕方ない。見てる奴がいないのだけが、救いだ。

「うーん、勇者君の頭っていい踏み心地よね。匂いが臭いのだけが欠点だけど、まぁそれもそのうち治るけどね」

「な、治るのか!?てことは俺様を呪いから解放してくれるのか!そういうことだな!」

「…うーん、そういうことじゃないのよねぇ。あ、カイン帰ってきたわね」

「聖女様の言う通り、奴隷の首輪と、ダークポーションを買ってきましたよ」

「奴隷の首輪…?ダークポーション?」

 なんだ、それは。

「無知な勇者君に教えてあげましょう。奴隷の首輪は勇者君につけるためのもの。ダークポーションは勇者君を治療するためのものよ。普通の回復薬はアンデットにとっては毒だけど、ダークポーションはアンデットを回復させることができるの。逆に生きてる人間が飲んだら…そうね、すごぉくまずく感じるのよ」

 聖女はそう言って、怪しげにほほ笑んだ。なんとなく含みがあるような笑い方だ。

「でもよ、それじゃ俺様はアンデッドじゃないから、効かないじゃないか!」

「…お前はまだ認めていないのか…しかし、聖女様は本当に人が悪いな…」

 カインがあきれ顔で俺様を見ている。…俺様はアンデッドじゃないって言ってんだろうが。

「待てよ、これはある意味じゃ証明するチャンスかもな。俺様がその薬を飲んでまずく感じれば俺が人間だって証明できるじゃないか!」

「そういうことになるわね。飲んでみる?」

「ちょっと待て、お前らは俺様がアンデッドだと思ってるから、こんなにひどい扱いなんだろう?俺様が人間だってわかったら俺様を解放しろよ!いやそれじゃ駄目だな。俺様が呪いからとけるように協力しろ!」

「…いいわよ。勇者君が人間だってわかったらね。その代わり、アンデッドになったら、私の奴隷になってもらうね?」

「おっしゃ!じゃあ飲ませろよ!」

  俺様はダークポーションを手に取る。ちょっと苦い匂いだ。ここらへんは普通の回復薬と一緒なんだな。…よし飲んでやるか。

「ま、まずいぃいいいい!!!!!!!なんだこりゃああ!!!!」

 俺様はあまりのまずさに吐き出してしまう。

「あらあら、汚いわね。カイン、あとで掃除しておいてね」

「…仕方ありませんね」

「…うぅ、想像以上のまずさだったぜ…で、でもよ…これで俺様が人間だってわかってもらえたよな?」

 ダークポーションはやばいぐらいまずかったが、これで俺様が人間だってことが証明できた。そう思うと、すごく気持ちがすっきりしてきた。なんだか、体がすごく楽になったような気もするぜ。

「そうね。あなたがアンデッドだってことがはっきりわかったわ」

「は!?どういうことだよ!」

「あのね、鏡を見てみて」

「え?」

 俺さんが鏡をみると、顔色が少しましになって、顔の腫れもひいていた。さっきよりもイケメンである。

「どういうことだ?まずかったてことは俺様がアンデッドじゃないってことなのに、なんで回復してるんだ?」

「あのね、まずく感じるってのは嘘なのよ。その薬はむしろ生きてる人間にとっては、ちょっと苦いだけのただの水と一緒。あんなにまずく感じるのはアンデッドの証拠なの」

「…なんでそんな嘘を」

「うーん、ちょっとからかってみたのよ。でも、これで勇者君がアンデッドだって証明できたね。約束通り、勇者君には奴隷になってもらうね?」

「待ってくれ、これは何かの間違いだ。そうだ!実は別にさっきのまずくなかったんだ。俺様人間だって証明したくてついつい嘘を言ってしまったというか…」

「言い訳は聞きませ~ん。はい首輪をつけるね」

 聖女が俺様に奴隷の首輪をつけた。

「う~ん、薬のおかげで匂いと見た目も多少ましになったから、これで奴隷として連れて歩く分には問題ないわね」

「そんなのひどすぎる!俺が何をしたっていうんだ!王国の方では罪なき者を奴隷にすることは禁止されている!」

「それなら全く問題ないわよ。あなた教会を襲った件で指名手配されてるから、私がとらえて犯罪奴隷にしたことになってるわ」

「俺様が犯罪奴隷!? そんな…何かの間違いだ…あの教会はモンスターの巣窟で…」

 「はいはい、勇者君が馬鹿なのはわかったから、これから奴隷としてよろしくね。…役に立たなくなったら浄化しちゃうから頑張ってね?」

 奴隷なんかで、何を頑張れっていうんだ。ちくしょう、俺様がこんな目にあうなんて、おかしい。いったなぜこんなことに…シオンを追放して、これからだって時に…。

 だが、よく考えてみればあいつを追放してから、転がり落ちるようにとんでもないことになっている気がする。もしかしたら…シオンは…まったく役立たずの無能だったが…幸運の置物的な存在だったのかもしれない。思えば、あいつと出会ってから加護に目覚めて、あっという間にSランクパーティーになれたんだもんな。

 くそー!そうだと知ってれば、追放しなかったのに! また今度あったらまた仲間にしてやってもいいかな。

「ちくしょう…こうなったら一つしか手段はないな」

 俺様の魅力でこの聖女を惚れさせて、奴隷から解放してもらう。そしてこの呪いから解放させるように協力させる。完璧な作戦だぜ。

「勇者君がなんかにやにやしてるわね?この状況で笑うなんて何を考えているのかしら」

「馬鹿の考えていることは私にはわかりませんが…とりあえず、まともなことではないでしょうね」

 見てろよ! 絶対に惚れさせてやるぜ!
しおりを挟む
感想 111

あなたにおすすめの小説

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

鶴と修羅〜助けられた鶴ですが、恩人の少年がトラックに轢かれて異世界へ!?え?私も行くの?〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 鶴の妖である千鶴は、ある日釣り糸に絡まっていたところを少年に助けられた。「少年に嫁げ。恩を返さなければ、天罰で死ぬ」と長老達は言う。しかし少年はトラックに轢かれて死んでしまった。絶望する千鶴。だが彼は異世界に転生していることが分かり、彼女は渋々異世界に行く。少年はケンという名の美形の農夫に生まれ変わっていた。一目惚れした千鶴は妻にしてくれと頼んだが、あっさり断られてしまった。結局、押しかけ女房となる。ケンの下には、なぜか次々と妖がやって来る。江戸時代の狐やモンゴルの白馬と千鶴は徐々に家族となっていく。ある日、ケンに召集令状が届く。千鶴に横恋慕した王子の陰謀だった。心配性で甘えん坊の鶴がチートな妖術で奮闘するお話。全30話。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。 応援本当に有難うございました。 イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。 書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」 から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。 書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。 WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。 この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。 本当にありがとうございました。 【以下あらすじ】 パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった... ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから... 第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。 何と!『現在3巻まで書籍化されています』 そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。 応援、本当にありがとうございました!

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...