Sランクパーティーを追放されたネクロマンサーの僕は魔王軍最強の幹部になる~

ネコオカ【面白い漫画毎日更新中】

文字の大きさ
上 下
3 / 27

Sランクパーティーの崩壊(1)【クロス視点】★

しおりを挟む
 足手まといのシオンを追放した俺様達はその後、宿屋に泊まった。

 今日もいつものように、ドロシーとレミリアを抱こうと思ったのだが。

「なんか、お前ら二人とも臭くないか?風呂はいったのか?なんか腐臭がするんだが…」

「なにいってんの!冒険の後なんだからもちろん入ったよ…クロスこそ!なんか顔色がめっちゃ青白いよ?」

「たしかに…それに今日の冒険で負った傷が治っていないようですね。クロスさんだけではなく、私とドロシーも」

「そういえば…何故か…体が重いような気がする…おかしいな。シオンがいなくなってむしろ気分はよくなってるのに」

 シオン…何故かあいつといるときはアイツから謎の威圧感を感じていた。俺様が他人に足して威圧感を感じるなんてあってはならないことだ。だから、アイツにはめちゃくちゃむかついていた。あいつを追放した後は、何かから解放されたような感覚があって、気分はすっきりしたが、それから何故か体調が悪いような気がする。

 おかしい…これまでどんな厳しい冒険をしても、一日休めばどんな怪我も勝手に治っていたのに。ドロシーとレミリアも同じだった。自然治癒に加護に目覚めたのだろうと他の冒険者からは教えてもらったが。

 そういえばこの加護に目覚めたのは、あのシオンと出会ってからだったような気がする。

 まさかあいつが何かしていたのか?俺達が夜寝ている間に治癒をしていたとか? いや、あいつはヒールもまともに使えない無能だ。

 そんな訳がない。

 …わかったぞ! ディアボロスだな!!

 あの魔王軍の幹部にはおそらく自分を倒した敵に対して、怪我が治りにくかったり、加護の阻害したり、何かしらマイナスな効果の呪いをかけることができたに違いない!

 そうとわかれば、街の教会で呪いを解いてもらうしかないな。

 俺様は二人を連れて、教会にいくことにした。

 
「教会にくるのは久しぶりだな…」

 教会は、怪我をした冒険者を治癒をしてくれたり、呪いをといたりしてくれる場所だ。自然治癒の加護に目覚めてからは来ることはなくなっていた。

 それに、ネクロマンサーを教会は嫌っているので、シオンをパーティーに入れている時は街でシスターに出会っても嫌な顔をされたからな。

 それでナンパを失敗したこともあるし、まったくあいつには足を引っ張られてばかりだったぜ。

「おや、あなたがたは確か【クロスオブゴッド】のお三方ですね。何のご用ですか?」

 俺様の前に現れたのは黒い修道衣をまとった、銀髪のシスターだった。綺麗な顔となかなかいいスタイルをしてるな。後で口説いてみるか。

 今ならシオンもいないから、それを理由に断られることもないぞ。

「あぁ!!その通りだ、実は魔王軍の幹部を倒したときに呪いをかけられてしまったみたいで、怪我が治らなくて困ってるんだよ。治療費を払うから、怪我と呪いをといてもらえないかな?」

「それは大変ですね!わかりました!!では、当教会で最も腕利きの治癒師である、私シスターアリアが貴方達を治療しましょう」

「おぉ、それは助かる!」

「良かったね」

「これでまた冒険に出られますね」

「ではいきますよ、怪我と状態異常を同時に治す高等魔法です…デホマ!!」

「「ぎゃああああああああ!!!!!!!!!」」」

 い、いてぇ!! めちゃくちゃ体が焼かれるようにいてぇ!!!

「何しやがる!!」

 俺様は思わずシスターを突き飛ばす。

「きゃあ!!」

 このシスターふざけやがって…俺達に攻撃魔法をしかけてくるなんて…まさかシスターのふりをしたモンスターか?その可能性はありうる。なにしろ俺様はレアクラス【勇者】でSランク冒険者パーティーのクロス様だ。

 魔王軍にとっては驚異だ。なるほどな…、そうとわかればこの場で切り捨ててやるぜ。

 俺様は剣を抜いた。

「な、なんのつもりです」

「俺様にはお見通しだぜ、お前モンスターがシスターのふりをしてるな!!」

「はぁ?」

「クロス…どういうこと?」

「苦しい…この激痛はどういうことです?」

「俺様達を脅威に感じた魔王軍がシスターのふりをして、俺達を治療するふりをして攻撃魔法をかけてきたんだ」

「なるほど~そういうことねクロス頭良い~」

「それなら納得がいきます」

「私は確かに回復魔法をかけたのですよ?」

「ふざけるな!!それなら何故こんなに痛いんだよ!!」

「馬鹿な…回復魔法を痛がる人間など存在しませんよ…そんな存在がいるとしたら…まさか…!! 貴方達アンデッドなのですね!! どうりで生ゴミのようなにおいがすると思いました!!」

「は? お、俺様が生ゴミだと…?」

 か、完全にぶちぎれたぜ!! 

「まさか、人間の冒険者のふりをして教会を襲ってくるアンデッドがいるなんて…恐ろしい! 聖騎士達よ、この者達を殲滅しなさい!!」

「ちっ、なにをわけのわからないこと!!モンスター共が…教会を支配しているとはな…! 世も末だぜ!!」

 シスターのよびかけにこたえて教会に雇われている聖騎士達が現れた。この聖騎士達は、教会に治療を頼んで、報酬を払わない冒険者から力尽くで、金を取り立てることを生業としている。たしかAランク冒険者程度の実力があったはずだ。

 だが、俺様達はSランク冒険者!!普通にやれば絶対負けるはずがない。

「ドロシー、レミリア!! こいつらをぶっとばして、国王に教会がモンスターにのっとられてることを報告するぞ!!」

「わ、わかった!!」
「私達はクロスに従うだけです!」

 俺様達は勇敢に戦いを挑んだ。

 しかし…。
「なんでだ?なぜ劣勢になる…?」

 確かに相手はAランクの実力者だが…俺達はSランク、本来の実力が出せれば圧倒できるはずなのに。俺達三人は明らかに劣勢だった。

 俺もそうだが、ドロシーも、レミリアも明らかに本調子ではない。

「アンデッドの化け物共め!!ここで成敗してくれる!!」

「油断しないでくださいアンデッドとはいえSランク冒険者パーティーだったはずです」

「それは知っていましたが、こうやって手合わせしてみた感じ、せいぜいCランク冒険者程度の実力だと思いますよ。我々からすれば雑魚ですね。これなら普段取り立ててる冒険者の方がまだ歯ごたえがあります」

「おかしいですね…力を隠しているのでしょうか?」

「俺様がCランク冒険者の雑魚だと…!?」

 コンディションさえ悪くなければ、こんな奴ら余裕なのに。

「ドロシー、レミリア!!ここは一旦引くぞ!!このままじゃ分が悪い」

「わかった!!じゃあ転移魔法を使うね!!」
 
 俺様達三人は一カ所に集まって、ドロシーの転移魔法でひとまず街の外に転移した。

「ちっ、やっかいなことになったな。まさかあの街の教会がモンスターの手に落ちているとは…」

「大変だね、これからどうする?」

「私に案がありますクロス」

「なんだ?」

「私の伯父がテラシアという街で教会に勤めているのです、その方のツテで腕利きの治癒師を用意してもらいましょう」

「なるほど…確かにおそらく教会が支配されてるのはあの街ぐらいだろう。いくらなんでも教会全体が支配されてるとしたら、さすがに誰かが気づくだろうからな。そしてレミリアの伯父なら信用できるだろう。その案採用してやるよ」

「ありがとう!クロス!!」

「そうと決まったら、その伯父さんがいる街までいく?」

「そうだな、ドロシー、もう一度転移魔法で飛べるか?」

「あ~…ごめん、実はもう今日は魔力切れかも…さっきの転移魔法で」

「は?たった1回で?」

「うん…いつもならあんなのなんてことないんだけど…もしかすると教会転移魔法を阻害するような結界があって、そのせいで余計に魔力がかかっちゃったんかも」

「なるほど…その可能性はあるな」

「ならば、とりあえず馬車か何かで移動しませんか?そんなに離れた場所ではないので、馬車なら一日もあれば移動できますよ」

「そうするか…」

 俺様は街の外から出てくる馬車を呼び止めた。

「なんだい?」

「実はテラシアの街までいきたいんだが、乗せていってくれないか?」

「悪いけど、もうすでに客を乗せてるんだ。街の中でこれから出る馬車を探したらどうだい?」

「それは…」

 おそらくそれはまずいな。あの人間に化けたシスターはおそらく俺様達との戦いを、衛兵に報告しにいくはず。あいつらがモンスターなのは俺様達しか知らないから、指名手配されるはずだ。

 この呪いをといて、あいつらの正体をあばくまではあの街には戻れない。

「じゃあね、悪いが先にいくよ」

「ちょっと待ってくれ、乗ってる客と交渉させてもらえないか?それで、俺様達を乗せてくれるように頼んでみるよ。あんたにも金を大目に払うし!急いでるんだ!!」

「は?いや困るよ…」

「まぁまぁ、いいじゃねぇか」

 俺様は剣を抜く。今は一刻を争うときだ。素直に応じてくれればいいが、もしも応じない場合は無理矢理にでも馬車をゆずってもらわないとな。

 もしも綺麗な女なら同席して、口説きながら、テラシアの街にいってもいいかもしれない。

 そんなことを考えながら、馬車の客席に入ろうとする。ちらっと黒い鎧を着た騎士風の女の姿が見えたと思った瞬間…顔面に強烈な衝撃を喰らって、吹っ飛ばされた俺はそのまま意識を失った。
しおりを挟む
感想 111

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

ReBirth 上位世界から下位世界へ

小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは―― ※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。 1~4巻発売中です。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

家の全仕事を請け負っていた私ですが「無能はいらない!」と追放されました。

水垣するめ
恋愛
主人公のミア・スコットは幼い頃から家の仕事をさせられていた。 兄と妹が優秀すぎたため、ミアは「無能」とレッテルが貼られていた。 しかし幼い頃から仕事を行ってきたミアは仕事の腕が鍛えられ、とても優秀になっていた。 それは公爵家の仕事を一人で回せるくらいに。 だが最初からミアを見下している両親や兄と妹はそれには気づかない。 そしてある日、とうとうミアを家から追い出してしまう。 自由になったミアは人生を謳歌し始める。 それと対象的に、ミアを追放したスコット家は仕事が回らなくなり没落していく……。

鶴と修羅〜助けられた鶴ですが、恩人の少年がトラックに轢かれて異世界へ!?え?私も行くの?〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 鶴の妖である千鶴は、ある日釣り糸に絡まっていたところを少年に助けられた。「少年に嫁げ。恩を返さなければ、天罰で死ぬ」と長老達は言う。しかし少年はトラックに轢かれて死んでしまった。絶望する千鶴。だが彼は異世界に転生していることが分かり、彼女は渋々異世界に行く。少年はケンという名の美形の農夫に生まれ変わっていた。一目惚れした千鶴は妻にしてくれと頼んだが、あっさり断られてしまった。結局、押しかけ女房となる。ケンの下には、なぜか次々と妖がやって来る。江戸時代の狐やモンゴルの白馬と千鶴は徐々に家族となっていく。ある日、ケンに召集令状が届く。千鶴に横恋慕した王子の陰謀だった。心配性で甘えん坊の鶴がチートな妖術で奮闘するお話。全30話。

処理中です...