Sランクパーティーを追放されたネクロマンサーの僕は魔王軍最強の幹部になる~

ネコオカ【面白い漫画毎日更新中】

文字の大きさ
上 下
2 / 27

最強ネクロマンサー、超絶ホワイトな魔王軍にスカウトされる

しおりを挟む
「これからどうしようかな…」

 考えてみればここは魔王の幹部の城、モンスターたちがあふれている巣窟だ。僕自身には大した戦闘能力がないし、手持ちのアンデッドだけでは、この魔王城から安全に帰ることすら難しい。

 とりあえずアンデッドの小鳥のピヨに先を偵察させながら、慎重に進んではいるが。最悪の場合、僕はここで死んでしまうかもしれない。

 そんな悲観的な考えが胸をよぎった時、突然目の前に、黒い騎士風の鎧を着た、きれいな女の人が現れた。僕たちと同じようにディアボロスを倒しに来た冒険者だろうか?

「君は確か・・・【クロスオブゴッド】のネクロマンサーのシオンだったか。あの三人のアンデッドが傍にいないということはディアボロスと相打ちになったのか?」

 あのアンデッド三人? なんのこといってるんだろう。まぁ、いいか。 


「いやぁ、実はさっき追い出されちゃったところで、今はフリーなんだよね」

「あのパーティーを追い出されただと?なんの冗談だ?」

「冗談じゃないけど…」

「自分のアンデッドから追い出されるネクロマンサーなどいるはずがないだろう」

「え?どういうこと?何言ってるのかわからないんだけど」

「・・・私には君が言っていること方がよくわからない。あの勇者、魔法使い、騎士のアンデッドを使って君はネクロマンサーとして一人でパーティーを作っていたのではないのか」


「どういうこと?どうみてもあの三人は生きてるでしょ。アンデッドならもうちょっと見た目が死人っぽいというか…」

「そうだな、普通のネクロマンサーならあそこまでアンデッドを生前の状態のまま保つのは不可能だ…さらに、あの三人のアンデッドのポテンシャルはせいぜいCランク冒険者がいいところ。そんな素材を使ってSランク冒険者パーティー並みの力を出させる貴様はネクロマンサーとして規格外だ。だからこそ魔王軍では君を脅威として認識しているのだ」

「あの三人がCランク冒険者?僕が魔王軍の脅威?」

 確かに、あの3人は僕が仲間になる前はもともとはCランク冒険者だったけど・・・僕がパーティーに加入して初めての冒険のときになぜかすでにSランク級冒険者の力を持っていた。あの三人は死の危機を乗り越えた大きな冒険をきっかけに成長したって言ってたけど。



 それが、僕の力だったってことなのか?

「なんだその唖然とした顔は…まさかあの三人のアンデッドを無意識にアンデッドにしていたのか?」

「もしもあなたの言ってる通りあの三人が僕のアンデッドだとしたらそういうことになります…でもまさか…」

 確かに、昔から傷ついた小鳥を助けたつもりが、実はすでに死んでいて、僕の魔力によってアンデッドになっていただけだった…なんて経験はあった。実際ピヨちゃんもそれで契約したんだ。



 でも…でもまさか!あの三人もそうだったなんて…。そりゃ確かに初めて会ったときは相当な重傷で手持ちの回復薬とかを全部使いきって、なんとか助けられたのかなって思ってたのに。まさか…アンデッドになってたのか。

 どうりでヒールも痛がるはずだよ。

「ふむ、なるほど。つまり、君は戦力になるアンデッドを傍においていないということか、これは好都合だな。楽に任務をこなせそうだ」

「任務?」

「あぁ、…選べネクロマンサーのシオンよ。ここで死ぬか、我らの仲間になるか」

「…ここで死ぬか、仲間になるか?」

「ちなみに仲間になった場合、君には幹部待遇が約束されている」

「魔王軍の幹部!?」

「幹部待遇に関して、簡単に説明してやろう。まず月給だが、基本給は500万エン、別途成果によって支給される。君の能力ならおそらく1000万エンぐらいは稼げるだろう。で、週休完全三日制だ。これは土日と別に好きな曜日を自身で決めてもらう。労働時間は完全フレックス制で一日6時間残業はなし。魔王城には君の専属のシェフとメイドが君のために用意される。どちらも君に配慮して、人間と見た目が近い亜人を用意している」

「あの三人とパーティーしてた時は僕のパーティーでの取り分は月に手取りで15万エンぐらいだったのに…休みなしで毎日の寝るとき以外はずっと洗濯とか掃除とかお使いの雑用やらなきゃいけなかったのに…いくらなんでも条件が良すぎるよ、嘘でしょ?」

「嘘などつく必要がない。君ほどのネクロマンサーを仲間に引き入れるなら、当然の条件だ。むしろ、ある程度条件の上乗せをしてもいいといわれてきている」

「なります!!」

「ん?」

「仲間になります!!ならせてください!!」

 こうして、僕は魔王軍に幹部として入ることになったのだった。

しおりを挟む
感想 111

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

魅了だったら良かったのに

豆狸
ファンタジー
「だったらなにか変わるんですか?」

家の全仕事を請け負っていた私ですが「無能はいらない!」と追放されました。

水垣するめ
恋愛
主人公のミア・スコットは幼い頃から家の仕事をさせられていた。 兄と妹が優秀すぎたため、ミアは「無能」とレッテルが貼られていた。 しかし幼い頃から仕事を行ってきたミアは仕事の腕が鍛えられ、とても優秀になっていた。 それは公爵家の仕事を一人で回せるくらいに。 だが最初からミアを見下している両親や兄と妹はそれには気づかない。 そしてある日、とうとうミアを家から追い出してしまう。 自由になったミアは人生を謳歌し始める。 それと対象的に、ミアを追放したスコット家は仕事が回らなくなり没落していく……。

鶴と修羅〜助けられた鶴ですが、恩人の少年がトラックに轢かれて異世界へ!?え?私も行くの?〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 鶴の妖である千鶴は、ある日釣り糸に絡まっていたところを少年に助けられた。「少年に嫁げ。恩を返さなければ、天罰で死ぬ」と長老達は言う。しかし少年はトラックに轢かれて死んでしまった。絶望する千鶴。だが彼は異世界に転生していることが分かり、彼女は渋々異世界に行く。少年はケンという名の美形の農夫に生まれ変わっていた。一目惚れした千鶴は妻にしてくれと頼んだが、あっさり断られてしまった。結局、押しかけ女房となる。ケンの下には、なぜか次々と妖がやって来る。江戸時代の狐やモンゴルの白馬と千鶴は徐々に家族となっていく。ある日、ケンに召集令状が届く。千鶴に横恋慕した王子の陰謀だった。心配性で甘えん坊の鶴がチートな妖術で奮闘するお話。全30話。

処理中です...