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Episode Extra edition

Happy Valentine's Day‐5

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 パリの真夜中のホテルで、萌衣はジャンに抱きしめられて、まどろみの中にいた。

「ジャンさん……ありがとうございました。このバレンタインを忘れません」

「喜んで頂けて、私も嬉しいです」

 触れるだけのキスをする。

 萌衣の中には、まだジャンの欲望が残っていた。

「ジャンさん。私、頑張りますね」

「モエは充分頑張っていますよ」

「働いていた時と別人ですね」
 
 一緒に働いていた時は、冷酷上司だったことを思い出して、萌衣はクスリと笑う。

 あの頃の萌衣が今の状況を知ったら、卒倒するに違いない。

「あの時は、あなたと一緒に働くことができて緊張していたんです。それに他の人間にあなたへの好意があることがバレてしまえば、あなたに嫌がらせがいくことは分かっていましたしね」

「そうだったんですね」

 起こった出来事を思い出して、萌衣は相槌を打った。

 具体的な話題を出さないのはジャンなりの優しさだ。

「本当は、あの時、ずっとあなたとこうしたいと思っていました」

 萌衣を抱きしめて、ジャンは萌衣の首筋に顔を埋めた。

 首筋にキスを落とされて、赤い印をつけられる。

「んっ……ジャンさん。ちょっとそんな目立つところは……」

「大丈夫です。後で消してあげますよ」

 何度も場所を変えて、ジャンはキスを落としていく。

 チクリと痛みが首筋に感じて、萌衣は再び身体を熱くさせた。

「ジャンさん」

「長い時間をかけて、ようやく私のところへあなたが来てくれたんです。今夜もあなたを堪能させてください」

 そんなことを言われてしまったら、許してしまいたくなる。

「ジャンさんずるいです」

「作戦が巧妙だと言ってください。あなたの心を手に入れるためなら、私はどんなことでもしますよ」

「そんな……私だって、私だって頑張りますよ。ジャンさんのこと愛してますから」

 張り合って言う萌衣に、ジャンは嬉しそうに声をあげて笑った。

「嬉しいです。モエ」

「私だって、ジャンさんと一緒に過ごせて幸せですからね」

「そんな風に言われたら、今夜はあなたを眠らすことが出来なくなるかもしれません」

「だったら、明日は二人で寝不足ですね」

「眠りこけて、帰りの飛行機に間に合わなかったら、ユーロスターで帰りましょう」

「自由な旅ですね」

「ええ。たまには何もかも気にしないで愛し合うというのも悪くないでしょう」

 顔を見合わせて笑い合う。

 今度は萌衣の方から、ジャンにキスをした。

 幸せの絶頂がずっと続きますようにと心の中で萌衣は願いながら。

 ~Happy Valentine's Day 終~
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