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Episode10:Will you marry me?
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イベントは大成功だった。
一番盛り上がった萌衣とTOMOKAの番の後で、若手有名俳優の尾賀拓人が萌衣のところへ寄ってきて「スピーチすごくよかったです」と声をかけてくれた。
「ありがとうございます」
「僕も、今ちょうど仕事で落ち込み気味だったんです。勇気づけられました。ありがとう」
まさか、テレビでも映画でもドラマでも引っ張りだこの尾賀拓人が、落ち込むようなことがあるのだろうか。
驚いている萌衣に、尾賀拓人は人当たりのいい笑みを浮かべて去って行った。
リップサービスかと思ったが、素直に褒められたと受け取っておこうと萌衣は胸を張ることにした。
卑屈に考えて、いいことなどなかったからだ。
荒巻が担当するべきだったところは、ジャンが代打となった。
彼の処遇は、今後決まるということを田口からこっそり聞いた。
ジャンは、荒巻についての話を一切萌衣に聞かせたがらなかったからだ。
イベントが終了した後、萌衣はジャンとTOMOKAと一緒に一件の店へと足を運んだ。
昨日約束をしていたのだ。
渋谷駅から徒歩五分、七階建てのビルの上には中心が大きなプールになっており、それを囲むようにテーブルと椅子が設置されているレストランがある。
床には真っ赤なビロードの絨毯が敷き詰められている。
「あ、アンドレア!」
TOMOKAが店の中に入って、一人の男性のところへ駆け寄った。
「You're late」
本屋でジャンが再会したアンドレアという男性だった。
「ごめんごめん。ちょっと長引いちゃってさ。ところで、こちらが萌衣。ジャンの婚約者よ」
「はじまして……」
萌衣が頭を下げて挨拶をする。
前回ジャンに紹介してもらえなかったトラウマから、少しだけ萎縮してしまう。
アンドレアは、萌衣の方を見ると今まで不機嫌だったのが嘘のように笑顔になり「この子がジャンのストーカーの相手か!」と萌衣に握手をしながら言った。
「ストーカーとは失礼ですね。淡い初恋と言って欲しいものです」
「何が、淡い初恋だよ。普通海なんか飛び越えていかねえって」
「はあ……だから、あなたにあの時会わせたくなかったんです。まあ、今も本当は会わせたくないですけど。何を言われるか分かったもんじゃない」
「なるほどね。だから、本屋で一人とか意味わからない嘘をついて、モエちゃん傷ついちゃったんだ」
「本人の前でネタのように話すのをやめてください。失礼ですよ」
「はあ、これだから堅物は」
ジャンとアンドレアのやり取りを見ながら、呆然としている萌衣にTOMOKAは「あ、これ通常運転だから気にしないで」と先に席に座るように促した。
一番盛り上がった萌衣とTOMOKAの番の後で、若手有名俳優の尾賀拓人が萌衣のところへ寄ってきて「スピーチすごくよかったです」と声をかけてくれた。
「ありがとうございます」
「僕も、今ちょうど仕事で落ち込み気味だったんです。勇気づけられました。ありがとう」
まさか、テレビでも映画でもドラマでも引っ張りだこの尾賀拓人が、落ち込むようなことがあるのだろうか。
驚いている萌衣に、尾賀拓人は人当たりのいい笑みを浮かべて去って行った。
リップサービスかと思ったが、素直に褒められたと受け取っておこうと萌衣は胸を張ることにした。
卑屈に考えて、いいことなどなかったからだ。
荒巻が担当するべきだったところは、ジャンが代打となった。
彼の処遇は、今後決まるということを田口からこっそり聞いた。
ジャンは、荒巻についての話を一切萌衣に聞かせたがらなかったからだ。
イベントが終了した後、萌衣はジャンとTOMOKAと一緒に一件の店へと足を運んだ。
昨日約束をしていたのだ。
渋谷駅から徒歩五分、七階建てのビルの上には中心が大きなプールになっており、それを囲むようにテーブルと椅子が設置されているレストランがある。
床には真っ赤なビロードの絨毯が敷き詰められている。
「あ、アンドレア!」
TOMOKAが店の中に入って、一人の男性のところへ駆け寄った。
「You're late」
本屋でジャンが再会したアンドレアという男性だった。
「ごめんごめん。ちょっと長引いちゃってさ。ところで、こちらが萌衣。ジャンの婚約者よ」
「はじまして……」
萌衣が頭を下げて挨拶をする。
前回ジャンに紹介してもらえなかったトラウマから、少しだけ萎縮してしまう。
アンドレアは、萌衣の方を見ると今まで不機嫌だったのが嘘のように笑顔になり「この子がジャンのストーカーの相手か!」と萌衣に握手をしながら言った。
「ストーカーとは失礼ですね。淡い初恋と言って欲しいものです」
「何が、淡い初恋だよ。普通海なんか飛び越えていかねえって」
「はあ……だから、あなたにあの時会わせたくなかったんです。まあ、今も本当は会わせたくないですけど。何を言われるか分かったもんじゃない」
「なるほどね。だから、本屋で一人とか意味わからない嘘をついて、モエちゃん傷ついちゃったんだ」
「本人の前でネタのように話すのをやめてください。失礼ですよ」
「はあ、これだから堅物は」
ジャンとアンドレアのやり取りを見ながら、呆然としている萌衣にTOMOKAは「あ、これ通常運転だから気にしないで」と先に席に座るように促した。
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