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Episode09:I can't marry you
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その夜、初めて萌衣からジャンに電話をかけた。
しばらくコール音が鳴って、ジャンが「はい」と電話に出た。
本当は電話に出てくれないと思うと怖かったが、電話に出たジャンの声もなんだか固くて、萌衣と同じなのかと思うと少しだけ勇気が出た。
「あの……ロメーヌさんと話をしたんです」
「祖母から聞きました。ひどく叱られましたよ。あなたをそんなに不安にさせていたなんて知らなかったんです」
まるで小さな子供のような声色で「申し訳なかった」と謝罪の言葉を述べた。
「私も、ごめんなさい……」
「いいんです」
沈黙が続いた。
なんの話をしようかと思った時だった。
「モエの小さい頃からの話を聞かせてくれませんか?どんな子だったんです?」
突然ジャンが話題を出した。
「私の小さい頃ですか?すごくおばあちゃんっ子でした」
「ミセス、キヌエがよく君の写真を祖母に送っていたのは、そういうことですか」
「初恋ですもんね」
「そんな話まで祖母は君にしてしまったんですね」
決まりが悪そうな声色が電話の向こうから聞こえた。
「ジャンさんは、どんな子だったんですか?」
「私は、引っ込み思案で、友達を作るのが苦手でした」
「え、嘘!」
「嘘ではありませんよ。だから、友人であるアンドレアとTOMOKAは、大事な友達ですね」
TOMOKAの名前がジャンから出てきて、どきりとする。
「本当はTOMOKAさんのこと、恋愛対象としてみてますか?」
思い切って正直に言葉にしてみた。
どんな返事が返ってきても、ジャンの言葉を信じようと思った。
「彼女のことは、好きです。ですが、それは恋愛ではなく、友人としての感情ですから、あまり疑われるとつらいものがあります」
「分かりました」
「今更言い訳になるかもしれませんが、アンドレアに会った時、あなたを紹介しなかったのは、恥ずかしかったんです」
「私を紹介するのがですか?」
「ええ。写真でしか見たことがない初恋の女の子を日本まで追いかけて行って、家と職権を使って結婚までこぎつけたわけですから。あなたの目の前でアンドレアにからかわれることは、分かっていましたからね」
ロメーヌの話は本当だったようだ。
「言ってくれればよかったのに……」
「言えるはずがありませんよ。あなたの前では、完璧なクールな男でいたかった」
「ジャンさんは、ずっと完璧でかっこよかったです。私なんかが隣にいていいのか、ずっと不安でした」
「そんなことはない。あなたは、可憐で美しい女性です。不安に思う必要などありませんよ」
どうして早くジャンと話し合いをしなかったのだろう。
ジャンのところへ戻りたい。
そう思ってしまった。
「ジャンさん……」
「モエ。あなたの覚悟が決まるまで、私はこの部屋であなたの帰りを待っていますから」
ジャンの言葉に「はい」と返事をした。
その晩、お互いが眠たくなるまで他愛ない話を重ねていった。
まるで、幼い子供たちが、意気投合したかのように、お互いの話をいつまでも。
しばらくコール音が鳴って、ジャンが「はい」と電話に出た。
本当は電話に出てくれないと思うと怖かったが、電話に出たジャンの声もなんだか固くて、萌衣と同じなのかと思うと少しだけ勇気が出た。
「あの……ロメーヌさんと話をしたんです」
「祖母から聞きました。ひどく叱られましたよ。あなたをそんなに不安にさせていたなんて知らなかったんです」
まるで小さな子供のような声色で「申し訳なかった」と謝罪の言葉を述べた。
「私も、ごめんなさい……」
「いいんです」
沈黙が続いた。
なんの話をしようかと思った時だった。
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突然ジャンが話題を出した。
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「え、嘘!」
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「本当はTOMOKAさんのこと、恋愛対象としてみてますか?」
思い切って正直に言葉にしてみた。
どんな返事が返ってきても、ジャンの言葉を信じようと思った。
「彼女のことは、好きです。ですが、それは恋愛ではなく、友人としての感情ですから、あまり疑われるとつらいものがあります」
「分かりました」
「今更言い訳になるかもしれませんが、アンドレアに会った時、あなたを紹介しなかったのは、恥ずかしかったんです」
「私を紹介するのがですか?」
「ええ。写真でしか見たことがない初恋の女の子を日本まで追いかけて行って、家と職権を使って結婚までこぎつけたわけですから。あなたの目の前でアンドレアにからかわれることは、分かっていましたからね」
ロメーヌの話は本当だったようだ。
「言ってくれればよかったのに……」
「言えるはずがありませんよ。あなたの前では、完璧なクールな男でいたかった」
「ジャンさんは、ずっと完璧でかっこよかったです。私なんかが隣にいていいのか、ずっと不安でした」
「そんなことはない。あなたは、可憐で美しい女性です。不安に思う必要などありませんよ」
どうして早くジャンと話し合いをしなかったのだろう。
ジャンのところへ戻りたい。
そう思ってしまった。
「ジャンさん……」
「モエ。あなたの覚悟が決まるまで、私はこの部屋であなたの帰りを待っていますから」
ジャンの言葉に「はい」と返事をした。
その晩、お互いが眠たくなるまで他愛ない話を重ねていった。
まるで、幼い子供たちが、意気投合したかのように、お互いの話をいつまでも。
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