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Episode09:I can't marry you
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家に帰ってからひどい自己嫌悪に陥った
TOMOKAはあの後、萌衣のそばに寄って来なかった。
何か思うところがあったのだろう。
きっとこの件もジャンに伝わってしまう。
伝わったところで、もうどうでもいいが。
結局ジャンのいる家に帰りたくなくて、実家にで戻っている状態だ。
前に借りていたマンションは解約されてしまっているので、どうしようもない。
両親は好きなだけいてもいいと言ってくれた。
こんな時、親のあたたかさがありがたかった。
父親も母親も、ジャンとのことについては詳しく聞いてこようとはしなかった。
母親が「私も昔家出したことあるのよ」と笑って言っていた。
結婚を断ったことに対してはまだ両親に伝えていなかった。
久々に両親と過ごして少しだけ気持ちが落ち着いてきた。
今まで不安が大きかったのだ。
しかし、今、あの広い家の中でジャンは一人で過ごしているのだろうかと考えてしまう自分がいた。
TOMOKAは婚約を破棄したことを知らない様子だった。
萌衣と婚約を破棄すれば、ジャンはすぐにTOMOKAの所へ行くと思っていたのに、どうやらそうではないらしい。
ジャンが何を考えているのか、全く分からなかった。
ジャンと別の生活をはじめてから、あっという間に一ヶ月が経っていた。
婚約を破棄したので、ジャンの態度が冷たくなると思ったが、意外にも、ジャンは公私混同をしなかった。
もちろん仕事には厳しいが、心なしか萌と会話をする時は、優しい気がした。
その様子を見て何も知らない、鈴木や名倉は「ブラウン部長、清水さんに興味あるんじゃなーい」なんて茶化すほどだった。
いろんな意味で興味があることには間違いない。
萌衣は「そんなことないですよ」と曖昧に笑って返事をするだけだった。
撮影した動画が一斉にアップされた。
有名な化粧品会社と、有名雑誌、そして有名なメイクアップアーティストのコラボオーディションということもあって、反響は想像以上に大きかった。
動画で使用された商品は、普段よりも多めに製造されていたというのにも関わらず、完売する勢いだった。
「工場の方にすぐ連絡を入れないといけませんね。本社の方にも連絡を入れましょう。日本でこれだけ数字を叩き出せば、イギリス本社の方でも話題になると思います」
ジャンの言葉に心が温かくなった。
「ブラウン部長のおかげです、あの時、TOMOKAさんを紹介してくれたので、ここまでやれることができました」
ジャンは意外そうな表情を浮かべて、「それはよかったです」とだけ答えた。
こんな会話を最初からしていればよかったのだろうか。
後悔しても今はもう遅い、ただの上司と部下に戻ってしまった。
離れてしまってからいかにジャンが萌えに対して優しく接していたのか、大事にしていたのかということがよくわかった。
あんな癇癪起こさなければよかったと思うと同時に、きっとあのまま続いていたら、萌衣の精神は崩壊してしまったのかもしれないと思うとて良かったのかもしれない。
兎にも角にも、この仕事は成功だった。
TOMOKAはあの後、萌衣のそばに寄って来なかった。
何か思うところがあったのだろう。
きっとこの件もジャンに伝わってしまう。
伝わったところで、もうどうでもいいが。
結局ジャンのいる家に帰りたくなくて、実家にで戻っている状態だ。
前に借りていたマンションは解約されてしまっているので、どうしようもない。
両親は好きなだけいてもいいと言ってくれた。
こんな時、親のあたたかさがありがたかった。
父親も母親も、ジャンとのことについては詳しく聞いてこようとはしなかった。
母親が「私も昔家出したことあるのよ」と笑って言っていた。
結婚を断ったことに対してはまだ両親に伝えていなかった。
久々に両親と過ごして少しだけ気持ちが落ち着いてきた。
今まで不安が大きかったのだ。
しかし、今、あの広い家の中でジャンは一人で過ごしているのだろうかと考えてしまう自分がいた。
TOMOKAは婚約を破棄したことを知らない様子だった。
萌衣と婚約を破棄すれば、ジャンはすぐにTOMOKAの所へ行くと思っていたのに、どうやらそうではないらしい。
ジャンが何を考えているのか、全く分からなかった。
ジャンと別の生活をはじめてから、あっという間に一ヶ月が経っていた。
婚約を破棄したので、ジャンの態度が冷たくなると思ったが、意外にも、ジャンは公私混同をしなかった。
もちろん仕事には厳しいが、心なしか萌と会話をする時は、優しい気がした。
その様子を見て何も知らない、鈴木や名倉は「ブラウン部長、清水さんに興味あるんじゃなーい」なんて茶化すほどだった。
いろんな意味で興味があることには間違いない。
萌衣は「そんなことないですよ」と曖昧に笑って返事をするだけだった。
撮影した動画が一斉にアップされた。
有名な化粧品会社と、有名雑誌、そして有名なメイクアップアーティストのコラボオーディションということもあって、反響は想像以上に大きかった。
動画で使用された商品は、普段よりも多めに製造されていたというのにも関わらず、完売する勢いだった。
「工場の方にすぐ連絡を入れないといけませんね。本社の方にも連絡を入れましょう。日本でこれだけ数字を叩き出せば、イギリス本社の方でも話題になると思います」
ジャンの言葉に心が温かくなった。
「ブラウン部長のおかげです、あの時、TOMOKAさんを紹介してくれたので、ここまでやれることができました」
ジャンは意外そうな表情を浮かべて、「それはよかったです」とだけ答えた。
こんな会話を最初からしていればよかったのだろうか。
後悔しても今はもう遅い、ただの上司と部下に戻ってしまった。
離れてしまってからいかにジャンが萌えに対して優しく接していたのか、大事にしていたのかということがよくわかった。
あんな癇癪起こさなければよかったと思うと同時に、きっとあのまま続いていたら、萌衣の精神は崩壊してしまったのかもしれないと思うとて良かったのかもしれない。
兎にも角にも、この仕事は成功だった。
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