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Episode08:I don't know own feeling
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仕事の忙しさを言い訳に結婚式の準備を遅らせていると、両親、そして祖母達から「待ちきれないので一緒にプランを立てよう」と呼び出しをされた。
ジャンの両親は、仕事の都合で日本に来ることができなかったため、海外からのリモートでの参加となった。
ロメーヌは、年齢の割にフットワークが驚くほど軽く、わざわざこのためだけに、イギリスから飛行機に乗ってやってきた。
両親たちはなるべく萌衣とジャンのやりたくないポイントをまとめ、こんなプランはどうかしらと提案をしてくれたのだが、意外なところで絹江とロメーヌの意見が割れた。
うちは代々白無垢なのよと主張する絹江に、イギリスの伝統的なウェディングドレスを着せるべきだと言い張るロメーヌ。
それなら、両方やってしまえばいいじゃないかと言われても、結婚式とはそんなお遊びではないと一刀両断されてしまう始末だ。
ジャンもお手上げだと肩をすくめるほど、二人のバトルは過熱し、激しさを増していく。
「間をとって、ハワイで結婚式というのもありじゃないか?」
「いいですね。最近流行っているようですし」
萌衣の父とジャンの父が意気投合していると「ゴルフをしたいだけの男は黙っていなさい!」と絹江とロメーヌに怒られる始末だった。
結局何も決まらないまま、その日は解散して、帰宅した。
次の日、仕事で疲れて帰って来た萌衣とジャンに、祖母達から大量のパンフレッドと直筆の手紙が届いていた。
「こういうのも国際問題と言うのでしょうね」
ジャンが神妙な面持ちで言うので、萌衣は「そうですね」と同意せざる得ない。
困り果てている萌衣に「君の着たいドレスを着るべきです。一生に一度なのですから」とジャンは言うものの、盛り上がっている二人の気持ちを無視することはできなかった。
ただでさえ、政略結婚という形をとるのにも関わらず、これだけ影響力のある祖母達が大きく揉めてしまったら婚約破棄にもなりかねない。
この結婚は、絹江とロメーヌの押しの一手で決まったようなものだ。
普通のオフィスで出会った二人という関係だけだったら、間違いなく結婚をするという選択肢はお互いに取っていなかっただろう。
「着たいもの……」
ウェディングドレスには憧れる。
白無垢も、結婚式でないと着れないものだ。
何が着たいという案は特に浮かばず、何かを選んだ時の絹江とロメーヌの反応が、気になって仕方がない。
ジャンとTOMOKAのことも、まだすっきりしていないのだ。
憂鬱な問題がまた一つ増えて、萌衣の気分は落ちていくのだった。
ジャンの両親は、仕事の都合で日本に来ることができなかったため、海外からのリモートでの参加となった。
ロメーヌは、年齢の割にフットワークが驚くほど軽く、わざわざこのためだけに、イギリスから飛行機に乗ってやってきた。
両親たちはなるべく萌衣とジャンのやりたくないポイントをまとめ、こんなプランはどうかしらと提案をしてくれたのだが、意外なところで絹江とロメーヌの意見が割れた。
うちは代々白無垢なのよと主張する絹江に、イギリスの伝統的なウェディングドレスを着せるべきだと言い張るロメーヌ。
それなら、両方やってしまえばいいじゃないかと言われても、結婚式とはそんなお遊びではないと一刀両断されてしまう始末だ。
ジャンもお手上げだと肩をすくめるほど、二人のバトルは過熱し、激しさを増していく。
「間をとって、ハワイで結婚式というのもありじゃないか?」
「いいですね。最近流行っているようですし」
萌衣の父とジャンの父が意気投合していると「ゴルフをしたいだけの男は黙っていなさい!」と絹江とロメーヌに怒られる始末だった。
結局何も決まらないまま、その日は解散して、帰宅した。
次の日、仕事で疲れて帰って来た萌衣とジャンに、祖母達から大量のパンフレッドと直筆の手紙が届いていた。
「こういうのも国際問題と言うのでしょうね」
ジャンが神妙な面持ちで言うので、萌衣は「そうですね」と同意せざる得ない。
困り果てている萌衣に「君の着たいドレスを着るべきです。一生に一度なのですから」とジャンは言うものの、盛り上がっている二人の気持ちを無視することはできなかった。
ただでさえ、政略結婚という形をとるのにも関わらず、これだけ影響力のある祖母達が大きく揉めてしまったら婚約破棄にもなりかねない。
この結婚は、絹江とロメーヌの押しの一手で決まったようなものだ。
普通のオフィスで出会った二人という関係だけだったら、間違いなく結婚をするという選択肢はお互いに取っていなかっただろう。
「着たいもの……」
ウェディングドレスには憧れる。
白無垢も、結婚式でないと着れないものだ。
何が着たいという案は特に浮かばず、何かを選んだ時の絹江とロメーヌの反応が、気になって仕方がない。
ジャンとTOMOKAのことも、まだすっきりしていないのだ。
憂鬱な問題がまた一つ増えて、萌衣の気分は落ちていくのだった。
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