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Episode07:I protect you
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「きっかけは、ジャンじゃなくて、他の男だったんだよ。ジャンに親友がいてさ。そいつ、超性格悪いの」
「ジャンさんじゃだと思ってました。インタビューで御曹司ってお話されてたんで」
「ああ、あの記事読んだのね。確かにあんな言い方だと、清水ちゃんの立場だったらジャンだと思うわよね。その親友も大きな会社の御曹司だったわけ。本当金持ちのコミュニティって狭い中で固まるから、余所者が行くと肩身が狭いわよね、腹立ったから死ぬほど努力して綺麗になってやったし、ざまあ!みたいなね。いい女だってこと分からしてやりたくてさ」
「その人が好きなんですか……?」
TOMOKAの反応がいつもと違ったので、何気なく萌衣は質問すると、いつもはへらへらとしているTOMOKAの顔が真っ赤に染まった。
「ちょっと……清水ちゃん。あんた変なところでズバッと切り込むわね。ま、まあ……そんなところ。全く相手にされてないけどね」
「そうだったんですね」
「まさか、清水ちゃん。この間から思ってたけど、私とジャンの関係疑っているでしょ」
「そ、そんなことないですよ。仲いいなとは思ってましたけど」
「ないないないない!絶対ない。安心して。本当にこれは神に誓って言える!」
慌てたように言うTOMOKAに「分かってますよ」と笑顔で返事をする。
「本当に、絶対ないし。ジャンなんて恋愛対象外中の対象外だから。それに、あいつだってほら、清水ちゃんって婚約者がいるのに、浮気なんて絶対しない性格だから……信じてあげて。あいつのこと」
萌衣よりもTOMOKAの方が付き合いが長いから、ジャンのことを分かっているのだと思っていた。
だが、TOMOKAと話をしていて一つだけ分かったことがあった。
萌衣よりも、TOMOKAの方がジャンの幸せを願っているということだ。
萌衣は、なんだかんだ言いつつも、ジャンの幸せを願うふりをして、自分の幸せを一番に考えてしまっていたのではないか。
おそらくずっと感じていた違和感は、その差だったのだろう。
「分かってますよ。ジャンさん優しいし、大事にしてくれてます。たまに勝手に横暴なところありますけど。今日も半分軟禁状態ですし」
「あ、それは否めない。まあ、あのくらいちょっと強引なところないと、将来会社経営なんて難しいんだろうけどね」
TOMOKAは明日撮影があるので夕方近くに帰ってしまい、深夜を過ぎてもジャンは帰ってこなかった。
玄関で物音がして目が覚めた萌衣は、時計を確認すると明け方になっていた。
ベッドを抜け出して、玄関へと向かうと、疲れ切ったジャンの姿があった。
「お、おかえりなさい……」
「……念書書かせてきました」
靴を脱ぎながら話すジャンの言葉の意味が分からなくて、萌衣は「え?」と聞き返した。
「ですから、クレーム入れてきた犯人及び、英会話教室であなたに絡んで来た高岡という女性に、今後一切あなたに近づかないように念書を書かせてきたんです。もう安心していいですよ」
どうやらジャンは、自分の持っている力を総動員して、萌衣の身の安全を守ってくれるために出掛けていたらしい。
「ありがとう……ございます。でも接待って……」
「そう言ったら、あなたに余計なことをするなと言われると思いまして」
「で、でも……」
あまりに実感が沸かなくて戸惑う萌衣に「眠い」とジャンが覆いかぶさって来た。
「ちょっと、ジャンさん。ベッドで寝てください」
「ご褒美に、一緒に寝てくれませんか。奥さん」
触れるだけのキスをして、寄り添うように萌衣はジャンと共に彼の部屋へと入って行った。
「ジャンさんじゃだと思ってました。インタビューで御曹司ってお話されてたんで」
「ああ、あの記事読んだのね。確かにあんな言い方だと、清水ちゃんの立場だったらジャンだと思うわよね。その親友も大きな会社の御曹司だったわけ。本当金持ちのコミュニティって狭い中で固まるから、余所者が行くと肩身が狭いわよね、腹立ったから死ぬほど努力して綺麗になってやったし、ざまあ!みたいなね。いい女だってこと分からしてやりたくてさ」
「その人が好きなんですか……?」
TOMOKAの反応がいつもと違ったので、何気なく萌衣は質問すると、いつもはへらへらとしているTOMOKAの顔が真っ赤に染まった。
「ちょっと……清水ちゃん。あんた変なところでズバッと切り込むわね。ま、まあ……そんなところ。全く相手にされてないけどね」
「そうだったんですね」
「まさか、清水ちゃん。この間から思ってたけど、私とジャンの関係疑っているでしょ」
「そ、そんなことないですよ。仲いいなとは思ってましたけど」
「ないないないない!絶対ない。安心して。本当にこれは神に誓って言える!」
慌てたように言うTOMOKAに「分かってますよ」と笑顔で返事をする。
「本当に、絶対ないし。ジャンなんて恋愛対象外中の対象外だから。それに、あいつだってほら、清水ちゃんって婚約者がいるのに、浮気なんて絶対しない性格だから……信じてあげて。あいつのこと」
萌衣よりもTOMOKAの方が付き合いが長いから、ジャンのことを分かっているのだと思っていた。
だが、TOMOKAと話をしていて一つだけ分かったことがあった。
萌衣よりも、TOMOKAの方がジャンの幸せを願っているということだ。
萌衣は、なんだかんだ言いつつも、ジャンの幸せを願うふりをして、自分の幸せを一番に考えてしまっていたのではないか。
おそらくずっと感じていた違和感は、その差だったのだろう。
「分かってますよ。ジャンさん優しいし、大事にしてくれてます。たまに勝手に横暴なところありますけど。今日も半分軟禁状態ですし」
「あ、それは否めない。まあ、あのくらいちょっと強引なところないと、将来会社経営なんて難しいんだろうけどね」
TOMOKAは明日撮影があるので夕方近くに帰ってしまい、深夜を過ぎてもジャンは帰ってこなかった。
玄関で物音がして目が覚めた萌衣は、時計を確認すると明け方になっていた。
ベッドを抜け出して、玄関へと向かうと、疲れ切ったジャンの姿があった。
「お、おかえりなさい……」
「……念書書かせてきました」
靴を脱ぎながら話すジャンの言葉の意味が分からなくて、萌衣は「え?」と聞き返した。
「ですから、クレーム入れてきた犯人及び、英会話教室であなたに絡んで来た高岡という女性に、今後一切あなたに近づかないように念書を書かせてきたんです。もう安心していいですよ」
どうやらジャンは、自分の持っている力を総動員して、萌衣の身の安全を守ってくれるために出掛けていたらしい。
「ありがとう……ございます。でも接待って……」
「そう言ったら、あなたに余計なことをするなと言われると思いまして」
「で、でも……」
あまりに実感が沸かなくて戸惑う萌衣に「眠い」とジャンが覆いかぶさって来た。
「ちょっと、ジャンさん。ベッドで寝てください」
「ご褒美に、一緒に寝てくれませんか。奥さん」
触れるだけのキスをして、寄り添うように萌衣はジャンと共に彼の部屋へと入って行った。
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