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Episode06:You rival in love
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TOMOKAの手は魔法の手だった。
化粧落としのオイルを使って、萌衣の顔からメイクをはぎ取った後、化粧水をコットンに落とし丁寧になじませていく。
化粧クリームを化粧水が乾かないうちになじませて、下地を塗る。
ファンデーションが萌衣の肌に塗られる頃には、顔の印象が既に変わっていた。
「全然違う……!」
ROSSETTOのファンデーションは萌衣も使っている。
同じ商品を使っているのにも関わらず、使う人間が変わることによって、全く違う顔が生まれていた。
「清水ちゃん、肌白いからもうワントーン明るいファンデーション使ってあげるのと、この下地合わせると印象変わると思うよ」
TOMOKAの言葉を、心のメモに刻んでいく。
化粧品会社に勤めているとはいえ、プロのメイクアップアーティストが自分の顔についてのアドバイスを受ける経験など少ないので貴重な経験だ。
TOMOKAの手は止まることなく、今度は新商品の目玉であるアイシャドウパレットから、シルバーとグリーンのアイシャドウを萌衣の瞼に乗せて行った。
眉マスカラを乗せて、アイライナー、マスカラ、そして、コーラルピンクの口紅を乗せた後、軽くチークを乗せたら、あっという間に完成する。
コテ使って、髪の毛も丁寧にセットアップされると、鏡の中には別人が座っていた。
「す、すごい……」
「似合う!」
「可愛い!」
その場にいたスタッフたちに口々に褒められて、照れ臭さを隠しながら、先程用意されたセットアップに着替える。
「あの、靴を合わせたいので何足か履き替えてもらってもいいですか?」
花木の言葉に「わかりました」と返事をして、用意された靴を履いていく。
ショート丈のパンツだったので、ロングブーツを履いた方が似合うと萌衣は思っていたが、実際に履いてみると厚底のローファーの方がしっくりきた。
黒革にゴールドの金具がついている。
「中に黒のラメの入ったストッキングを合わせたら?」
TOMOKAのアドバイスに花木が「いいですね!」と手を打つ。
すぐにストッキングが用意されて、着替えるスペースで履いた。
「撮影入りましょうか」
相沢に促されて、萌衣は頷いた。
撮影なんて人生で参加することなどないと思っていたので、TOMOKAのメイクの感動によって忘れていた緊張が再び萌衣を襲った。
「あはは。今更緊張してる」
手と足が一緒に出ている萌衣を見て、相沢は思わず吹き出してしまっている。
「笑わないでくださいよ。こういう経験少ないんですから」
「大丈夫大丈夫。撮影始まったら、すぐに慣れるから」
化粧落としのオイルを使って、萌衣の顔からメイクをはぎ取った後、化粧水をコットンに落とし丁寧になじませていく。
化粧クリームを化粧水が乾かないうちになじませて、下地を塗る。
ファンデーションが萌衣の肌に塗られる頃には、顔の印象が既に変わっていた。
「全然違う……!」
ROSSETTOのファンデーションは萌衣も使っている。
同じ商品を使っているのにも関わらず、使う人間が変わることによって、全く違う顔が生まれていた。
「清水ちゃん、肌白いからもうワントーン明るいファンデーション使ってあげるのと、この下地合わせると印象変わると思うよ」
TOMOKAの言葉を、心のメモに刻んでいく。
化粧品会社に勤めているとはいえ、プロのメイクアップアーティストが自分の顔についてのアドバイスを受ける経験など少ないので貴重な経験だ。
TOMOKAの手は止まることなく、今度は新商品の目玉であるアイシャドウパレットから、シルバーとグリーンのアイシャドウを萌衣の瞼に乗せて行った。
眉マスカラを乗せて、アイライナー、マスカラ、そして、コーラルピンクの口紅を乗せた後、軽くチークを乗せたら、あっという間に完成する。
コテ使って、髪の毛も丁寧にセットアップされると、鏡の中には別人が座っていた。
「す、すごい……」
「似合う!」
「可愛い!」
その場にいたスタッフたちに口々に褒められて、照れ臭さを隠しながら、先程用意されたセットアップに着替える。
「あの、靴を合わせたいので何足か履き替えてもらってもいいですか?」
花木の言葉に「わかりました」と返事をして、用意された靴を履いていく。
ショート丈のパンツだったので、ロングブーツを履いた方が似合うと萌衣は思っていたが、実際に履いてみると厚底のローファーの方がしっくりきた。
黒革にゴールドの金具がついている。
「中に黒のラメの入ったストッキングを合わせたら?」
TOMOKAのアドバイスに花木が「いいですね!」と手を打つ。
すぐにストッキングが用意されて、着替えるスペースで履いた。
「撮影入りましょうか」
相沢に促されて、萌衣は頷いた。
撮影なんて人生で参加することなどないと思っていたので、TOMOKAのメイクの感動によって忘れていた緊張が再び萌衣を襲った。
「あはは。今更緊張してる」
手と足が一緒に出ている萌衣を見て、相沢は思わず吹き出してしまっている。
「笑わないでくださいよ。こういう経験少ないんですから」
「大丈夫大丈夫。撮影始まったら、すぐに慣れるから」
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