英国紳士の熱い抱擁に、今にも腰が砕けそうです

坂合奏

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Episode06:You rival in love

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 家に到着すると、突然ジャンに抱きしめられた。

「どうしたんですか?ジャンさん?」

 驚いて抱き返すこともせずに、萌衣はジャンに問いかける。

「婚約者を抱きしめたら、いけませんか?」

「で、でも……」

「でも、なんです?」

「お酒臭いですし」

 混乱した頭のまま、萌衣は精一杯の言い訳を考えた。
 
 ジャンのことは好きだが、TOMOKAを想っているジャンに抱きしめられてキスされるのは嫌だった。

「気になりませんよ」

「でも……」

「限界です。一体何日、モエをお預けされればいいんですか?」

 抱きしめる力が強くなった。

 確かに、ここ数日、萌衣はジャンを避けていた。

 けれど、避けるきっかけを作ったのは、ジャンの方だ。

 はっきり言えばいいのに、ジャンを目の前にすると、言葉が出て来なくなる。

「お預けなんて……」

 小さな声で言い訳をしたが、ジャンの耳には届いていないようだった。

 ジャンの手が萌衣の頭を包み、唇が重ねられた。

 互いの口が重なり、壁に押し付けられるように激しく求められると、抵抗することができない。

「モエ。あなたが分からない」

 分からないのは、ジャンの方だ。

 ジャンの方がずっと何を考えているか、分からない。

「ジャン、さん……あっ」

「もっと聞かせてください」

 ジャンの手が、萌衣のブラウスのボタンを外した。

 萌衣の唇に触れていた、ジャンの唇が首筋へと降りていく。

 リップ音と共に、ブラウスのボタンは全て外され、花柄のブラジャーがあらわになった。

「ジャンさん……結婚するまでは……んっ!」

「大丈夫です。最後まではしません」

 ジャンの唇が、萌衣の身体中を犯していく。

 刺激に立っていることがやっとで、おぼつかない足取りでジャンにしがみついた。

「モエ」

「あっ、そこ、だめ」

 ジャンの手が、スカートの中に侵入した。

 力の抜けた萌衣の手で、ジャンの手を遮ろうとするが、力で勝てるはずもなかった。

 既に、役割を果たしていないスカートの下の物を床に降ろし、ジャンは萌衣の隠された場所に指でそっと触れた。

 身体の愛ではなくて、心の愛が欲しい。

 けれど、ジャンに触れられてしまうと、そんなことどうでもよくなるほど、夢中になってしまう。

 政略結婚なんて始まり方でなければ、こんな苦しい思いなどする必要はなかった。

 権力と金で互いのことを縛り付け、欲情だけぶつけ合う関係になることの本当の意味を理解していなかった。

 政略結婚という虚しさも、TOMOKAに向けた嫉妬も、ジャンに抱いている恋情も、全て忘れて快楽に堕ちる。

 ジャンがある一点を集中的に触れたことによって、萌衣は全身の力をジャンに預けることになるのだった。

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