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Episode03:I don't like you
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TOMOKAが指定したカフェは、ロサンゼルスの中でも有名な店で、海辺にある白と青で統一された店だった。
オーナーが所有している農場で取れたての野菜を使った品が美味しいと評判で、店内は若い女性やカップルで賑わっている。
「ごめんね。わざわざロスまで来てもらちゃって」
ケラケラと明るい声で笑いながら、人気メイクアップアーティストTOMOKAは、運ばれてきたオレンジジュースのグラスを萌衣の前に置いた。
肩まで伸ばした黒髪は、ワンレンに切り揃えられていて、耳たぶからはゴールドのフープーピアスがゆらりと揺れている。
洗練された姿に、萌衣は思わず見惚れてしまう。
元モデルをやっていたこともあり、ファッション誌からそのまま出てきたようだ。
「いえ、あの、これお土産です」
ジャンに指定されたガトーショコラの入った袋を差し出すと、TOMOKAは声を出して喜んだ。
「わざわざありがとう!ここのショコラケーキ大好きなの!」
本当に嬉しそうな表情で、「あとでホテルでいただいちゃおう」と呟きながらTOMOKAは袋の中を覗いている。
降り注ぐ日差しを防ぐパラソルの下で、萌衣とTOMOKAはオーガニックのサラダとポーチドエッグとチーズが乗ったトーストを食べた。
氷の入ったオレンジジュースには、果肉がたっぷり入っており濃厚な味わいだ。
「美味しいですね。ここ」
「LAで人気あるだけあるわよね。インスタ映えもするし、最高」
先ほど更新したばかりのInstagramを自身のスマートフォンに表示して、TOMOKAは「一緒にご飯食べてくれる人がいると、味も何倍にも美味しいわね」と笑っている。
同じ日本人なのにも関わらず、同じ種族の人間には思えないほど輝いているように、萌衣には見えた。
「ところでタイアップの件なんだけど」
萌衣が話題をいつ切り出そうか考えていた矢先に、TOMOKAの方から話題を切り出してきた。
「はい。その節はよろしくお願いいたします」
「正直、あの広告じゃ厳しいと思うわ」
普段のROSSETTOの広告は、主に外国人モデル、もしくは日本のトップ女優やモデルを中心に起用している。
萌衣もそれに倣って外国人モデルを起用した広告を打診したところだった。
「お気に召さなかったでしょうか」
「ええ」
あまりにハッキリ言われてしまい、一瞬どうしようとパニックになりそうになったが、何かTOMOKAに考えがあるのだと思い「アドバイスを頂けますでしょうか?」と萌衣は返した。
オーナーが所有している農場で取れたての野菜を使った品が美味しいと評判で、店内は若い女性やカップルで賑わっている。
「ごめんね。わざわざロスまで来てもらちゃって」
ケラケラと明るい声で笑いながら、人気メイクアップアーティストTOMOKAは、運ばれてきたオレンジジュースのグラスを萌衣の前に置いた。
肩まで伸ばした黒髪は、ワンレンに切り揃えられていて、耳たぶからはゴールドのフープーピアスがゆらりと揺れている。
洗練された姿に、萌衣は思わず見惚れてしまう。
元モデルをやっていたこともあり、ファッション誌からそのまま出てきたようだ。
「いえ、あの、これお土産です」
ジャンに指定されたガトーショコラの入った袋を差し出すと、TOMOKAは声を出して喜んだ。
「わざわざありがとう!ここのショコラケーキ大好きなの!」
本当に嬉しそうな表情で、「あとでホテルでいただいちゃおう」と呟きながらTOMOKAは袋の中を覗いている。
降り注ぐ日差しを防ぐパラソルの下で、萌衣とTOMOKAはオーガニックのサラダとポーチドエッグとチーズが乗ったトーストを食べた。
氷の入ったオレンジジュースには、果肉がたっぷり入っており濃厚な味わいだ。
「美味しいですね。ここ」
「LAで人気あるだけあるわよね。インスタ映えもするし、最高」
先ほど更新したばかりのInstagramを自身のスマートフォンに表示して、TOMOKAは「一緒にご飯食べてくれる人がいると、味も何倍にも美味しいわね」と笑っている。
同じ日本人なのにも関わらず、同じ種族の人間には思えないほど輝いているように、萌衣には見えた。
「ところでタイアップの件なんだけど」
萌衣が話題をいつ切り出そうか考えていた矢先に、TOMOKAの方から話題を切り出してきた。
「はい。その節はよろしくお願いいたします」
「正直、あの広告じゃ厳しいと思うわ」
普段のROSSETTOの広告は、主に外国人モデル、もしくは日本のトップ女優やモデルを中心に起用している。
萌衣もそれに倣って外国人モデルを起用した広告を打診したところだった。
「お気に召さなかったでしょうか」
「ええ」
あまりにハッキリ言われてしまい、一瞬どうしようとパニックになりそうになったが、何かTOMOKAに考えがあるのだと思い「アドバイスを頂けますでしょうか?」と萌衣は返した。
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