7 / 111
Episode01:You should marry with him
6
しおりを挟む
銀座にあるSKYという名前のイタリアンレストランは、六十階建ての高層ホテルの五十一階に入っている。
スカイツリー、東京タワー、レインボーブリッチの夜景が見えるレストランは、シックなつくりとなっていて、お見合いというよりはデートに向いているような場所だ。
「座敷は足が痺れるでしょう。ロメーヌのことを考えて、ここにしたのよ」
「祖母のことを考えてくださって、ありがとうございます」
「ずっと思っていたけれど、ジャンは日本語が上手なのね」
ジャンと対面してから、絹江はすっかりご機嫌だ。
お見合いするのは萌衣ではなく、絹江なのではないかというほど、ジャンとの会話が
盛り上がっている。
「日本が好きですから。日本支社への出向も、わざわざ志願したくらいですし」
ジャンの意外な発言に、萌衣は驚いた。
てっきり萌衣はイギリスで何かやらかした為、日本に出向する羽目になったのだと思っていたのだ。
日本が好きだとは知らなかった。
初めて知る上司のプライベートな情報が、まさかこんな場所だとは夢にも思わなかったが。
ウエイターに案内された席には、既に創始者であるロメーヌ・ブラウンが座っていた。
洗練された空気を纏い、シャンパンを片手に夜景を楽しんでいる姿は、年齢を感じさせない何かを醸し出していた。
本社がイギリスにあるため、動画や雑誌などでは何度も見たことはあったが、本人に会うのは初めてだ。
「ロメーヌ!」
「キヌエ!」
二人は抱き合って抱擁を交わしている。
祖母の絹江が土地を貸しているのだから、知り合いでも何の不思議でもないのだが、萌衣からすればすごい人物と知り合いだったのだと改めて驚いてしまう。
「あなたの顔を久々に見ることができてうれしいわ」
「私もよ」
祖母が流暢な英語を話しているのを初めて聞いた。
そういえば、結婚した後、祖父にお願いをして一年の遊学期間があったと教えてもらった記憶が、ぼんやりと脳裏によぎる。
それに、萌衣の知る絹江は厳格な女性で、まるで少女のようにはしゃぐような人ではない。
「ロメーヌ。私の孫の萌衣よ。あなたの会社の東京支社で働いているの」
「あら、モエ。よろしくね。ジャンから時々話は聞いていたわ。と言っても、初めましてではないけれどね」
ロメーヌと会ったことがあるのなら、記憶に残っているはずだと、萌衣が困惑していると「会ったのは、君が赤ん坊のころだよ」とジャンが助け船を出してくれた。
それなら記憶に残っているはずがない。
失礼を働いたのかと思い、一瞬焦ってしまった。
「そうだったんですね。よろしくお願いいたします」
拙い英語で返事をすると、ロメーヌは優しく微笑んで萌衣の手を取った。
スカイツリー、東京タワー、レインボーブリッチの夜景が見えるレストランは、シックなつくりとなっていて、お見合いというよりはデートに向いているような場所だ。
「座敷は足が痺れるでしょう。ロメーヌのことを考えて、ここにしたのよ」
「祖母のことを考えてくださって、ありがとうございます」
「ずっと思っていたけれど、ジャンは日本語が上手なのね」
ジャンと対面してから、絹江はすっかりご機嫌だ。
お見合いするのは萌衣ではなく、絹江なのではないかというほど、ジャンとの会話が
盛り上がっている。
「日本が好きですから。日本支社への出向も、わざわざ志願したくらいですし」
ジャンの意外な発言に、萌衣は驚いた。
てっきり萌衣はイギリスで何かやらかした為、日本に出向する羽目になったのだと思っていたのだ。
日本が好きだとは知らなかった。
初めて知る上司のプライベートな情報が、まさかこんな場所だとは夢にも思わなかったが。
ウエイターに案内された席には、既に創始者であるロメーヌ・ブラウンが座っていた。
洗練された空気を纏い、シャンパンを片手に夜景を楽しんでいる姿は、年齢を感じさせない何かを醸し出していた。
本社がイギリスにあるため、動画や雑誌などでは何度も見たことはあったが、本人に会うのは初めてだ。
「ロメーヌ!」
「キヌエ!」
二人は抱き合って抱擁を交わしている。
祖母の絹江が土地を貸しているのだから、知り合いでも何の不思議でもないのだが、萌衣からすればすごい人物と知り合いだったのだと改めて驚いてしまう。
「あなたの顔を久々に見ることができてうれしいわ」
「私もよ」
祖母が流暢な英語を話しているのを初めて聞いた。
そういえば、結婚した後、祖父にお願いをして一年の遊学期間があったと教えてもらった記憶が、ぼんやりと脳裏によぎる。
それに、萌衣の知る絹江は厳格な女性で、まるで少女のようにはしゃぐような人ではない。
「ロメーヌ。私の孫の萌衣よ。あなたの会社の東京支社で働いているの」
「あら、モエ。よろしくね。ジャンから時々話は聞いていたわ。と言っても、初めましてではないけれどね」
ロメーヌと会ったことがあるのなら、記憶に残っているはずだと、萌衣が困惑していると「会ったのは、君が赤ん坊のころだよ」とジャンが助け船を出してくれた。
それなら記憶に残っているはずがない。
失礼を働いたのかと思い、一瞬焦ってしまった。
「そうだったんですね。よろしくお願いいたします」
拙い英語で返事をすると、ロメーヌは優しく微笑んで萌衣の手を取った。
1
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり
鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。
でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる