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第1章第1話 仮想現実で飯は食えるのか
*6*
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私達は人目を避け、港の方へ行く。
早くルイスさんの待つ宿屋へ帰りたいけど、あの市場を通らないといけない。
まだ市場は賑わってる時間帯だろうし、私達は足止めを食らっていた。
樽に座っている私はプラプラと足を動かす。
詩乃
「はーあ、あの人悪い人だったのかぁ……」
貰った指輪を弄りながら溜息をついた。
詩乃
「あの袋をクロード達が探してたって事なら、元々あの女の人の物じゃないって事なのかな?
て事はさ、返しちゃダメって事だよね?」
春一
「でも中身の箱の紋章は桜舞ヶ丘村の物だろ。
そしたらそもそも桜舞ヶ丘村の住民の物って考えられるんじゃねぇの?」
私の目の前で水切りで遊ぶ春一の返答に、うーんと考え込む。
確かに桜舞ヶ丘村の人達の物なら返さなきゃいけない。
でも警察に追われてるって事は悪い人な訳で……。
詩乃
「あー!もう!どうしたら良いのか分かんないよっ!!」
グシャグシャと頭を両手で掻く。
どっちが正しいのよ……!
春一
「まぁ、ここでゴチャゴチャ考えてても分かんねぇし、今すぐ判断しなくても良いんじゃね?」
???
「それが今すぐ判断してもらわないと困るんだよね~」
どこからか聞き覚えのある声がして、私は樽から立ち上がった。
建物の陰から現れたのは和服の女性だった。
???
「久しぶりだね、お嬢さん。
袋預かっててくれてありがとう!」
春一
「おっ!和服美女!へぇ、マジで美人じゃんか~」
???
「うっひゃー!あの袋開けたんだ!すごいねキミ!」
あの袋に掛けられた呪術、知ってるんだ……。
春一の姿を見てすぐに袋を開けたからだと気付いた女性。
驚きと嬉しさが混ざったような顔で春一を眺めている。
???
「でだ、本題に移ろっか」
女性は微笑みを絶やさない。
???
「キミに預けた物、返してもらえないかなぁ?無いと困るんだよねぇ」
詩乃
「でもあなた、警察に、聖騎士団に追われてましたよね?
本当はあなたが悪い人なんじゃないんですか?」
???
「えぇ!?やだなぁ誤解だよぉ~!あれは元々私達の物なんだよ?
少し強引なやり方だったかもしれないけど奪い返しただけなの」
なるほど、奪われた物を奪い返した、と……。
どうしよう、困ってるみたいだし返してあげた方が良いのかな。
???
「惑わされるな」
またも聞き覚えのある声がして振り返ると、クロードがこちらを睨んでいた。
クロード
「その女の言っている事は信じるな」
春一
「あちゃー!全員お出ましかぁー!」
まるで他人事のようにこの状況を楽しんでいる春一。
クロード
「確かにあの者達の物だったかもしれない。
だが渡す訳にはいかないのだ」
詩乃
「どうして?」
クロード
「すまないが答える事は出来ない」
クロードは少し俯いた。
???
「ふふ、都合が悪いから答えられないんだよね?
そんな勝手な人より私を信じた方が良いよ?」
クロード
「根拠の無い事を言うな!
我々は民と街と国の安全を守る義務がある。
理由が言えないのはその為だ」
うーん、異世界でも警察は警察だなぁ。
秘密主義というか何というか……。
でも正義感の強さは何となく伝わる。
???
「んー、何かめんどくさくなっちゃったな」
女の人がそう呟くと、港に水しぶきを上げながら木造の船が飛んで来た。
そう、飛んで来た。
表現として間違ってない。
本当に空から飛んで来たのだから。
詩乃
「そ、空飛ぶ船!?」
女の人は驚く私の元へ駆け寄り、女性の力とは思えない程軽々とお姫様抱っこする。
何が起きたか分からなかった私は呆然と女の人の腕の中に収まる。
そのまま船から降ろされた板を駆け上がり、乗り込んだ。
???
「返してくれないならこの子貰ってくね!」
詩乃
「貰うって、へ?」
クロード
「おい待てっ!!」
剣を抜いたクロードの声は上がって行く船を止められなかった。
船はどんどん高度を上げていく。
私が状況を把握したのは完全に船が雲の上に行った時だった。
ヘリコプターのような音が聞こえる甲板で、目の前でニコニコと微笑む女の人を睨んだ。
???
「ごめんね、強引な事しちゃって」
詩乃
「こんな事しても意味無いと思う」
???
「何で?」
詩乃
「きっと春一はクロードに渡すから」
???
「え~!何でそんな悲しい事言うの~?仲間でしょ?」
そう言いながらも少し楽しそうなのが、何だか気に食わない。
詩乃
「仲間って程の絆は無いし。私がどうなろうと知ったこっちゃないよ」
???
「そう……じゃあもしあの箱をアイツに渡したら」
私にグイッと近付いて笑う女の人にゾクリとする。
???
「キミを殺しても問題無いよね?」
口元は笑ってるけど、目が笑っていない。
ここで怯んじゃダメだ。
強いところを見せつけなきゃ。
詩乃
「好きにすれば」
そう言って、ぷいとそっぽ向いた。
でも、本当のところ春一はどうするんだろう。
助けに来てくれるのかな?
いや、命掛けてまでそんな事するような人じゃない。
合理主義で自分勝手な自己中ナルシスト男。
そんな人が特に価値の無い私を助けに来るなんて考えられない。
さっさとクロードに渡して桜舞ヶ丘村へ1人で行って、帰る手掛かりを見つけるんだ。
そう、そういう人なんだ。
自分で考えたくせに泣きそうになるのは何でだろ。
ダメダメ、泣くな。
強いところ見せつけなきゃいけないんだから。
???
「そっか、キミを連れて来ても意味無かったのか……」
船内をプラプラと歩きながら女の人は呟いた。
???
「用無しならもういらないか」
ピタッと立ち止まる。
???
「ね?詩乃ちゃん」
振り向いた女の人の目は金色に変色していた。
右手には短剣が握られていた。
ウソ、ここで殺されるの……?
やだ、こんな、し、知らない世界で死ぬなんて……いやだ……。
逃げなきゃ、でも足が竦んで動けない。
???
「恨むなら私じゃなくてあの男の子を恨みなね……」
女の人がゆっくりと私に近付き、肩に手を掛けた。
???
「……ばいばーい」
右手を大きく振り上げたところでぐっと目を固く閉じた。
殺される!!
死ぬ覚悟をしたその時、大きな破裂音がしてそっと目を開けた。
目の前に女の人が立っているのは変わらない。
でもその右手には短剣が握られていなかった。
短剣は隅の方に転がっている。
そして女の人越しに小さな姿が見えた。
春一
「……殺すにはまだ早ぇだろうが」
銃を右手に構えた春一が船のへりに立っていた。
詩乃
「……は、はるい、ち……!」
安堵で腰が抜け、その場にへ垂れ込んだ。
???
「へぇ、ちゃんと助けに来たじゃん。よく来れたね」
春一
「船にロープ引っ掛けてついて来てやったよ」
そう言ってヘラっと笑う春一。
春一
「テメェが欲しいのはソイツの命じゃなくてコイツだろうが」
春一は女の人を睨み銃を構えたまま、左手で袋を前に掲げた。
春一
「取引しようぜ、おねーさん」
そう言ってニヤリと口角を上げた。
???
「良いねぇ良いねぇ!気に入ったよ、キミ!」
春一
「それはそれは光栄なこった!」
春一はへりから飛び降り、スタッと床に立った。
春一
「コイツは返してやる。だからソイツを返せ」
???
「話が分かる子ってだーい好き!」
詩乃
「ダメだよ!渡しちゃダメ!」
そうだ、こんな殺そうとする人悪い人に決まってる。
そんな人に渡しちゃいけない。
絶対ダメだ!
???
「その通りだ」
春一が立っていたへりにクロードがよじ登ってきた。
春一
「うわ、俺のロープ使ってついて来たのかよ……!」
クロード
「民を守るのが私の仕事。貴様らも例外では無い」
ドンッとへりから床へ降りたクロード。
クロード
「そして、その箱を守るのもまた私の仕事なのだ」
???
「めんどくさいから上に来たのに、まーためんどくさくなった。
キミはお呼びじゃないんだよね」
冷たく言う女の人は微笑んではいなかった。
クロード
「呼ばれずとも何度でも来る。貴様を捕まえるのも私の仕事だ」
腰の剣を抜刀する。
クロード
「まずは貴様からだ、その箱返してもらおう!」
そう言って春一に剣を構えるクロード。
春一
「おいおい待て待て、俺からかよ!その女からにしようぜ!
レディファーストっつー事でよ!」
詩乃
「ちょっと!今ここで仲間割れしてる場合じゃないでしょ!?」
クロード
「私は貴様らの仲間になった覚えは無い!」
くぅ~!確かに仲間になった訳じゃないかぁ~!
めっちゃ正論言うじゃん~!!
???
「ケンカなら下でやってもらえません?迷惑なんで」
クロード
「すぐに終わらせる、首を洗って待つが良い!」
春一
「すぐに終わらせるだぁ?ンな訳にはいかせねぇよ!」
春一は手に持っていた袋を高く放り投げた。
詩乃
「ああっ!ダメっ!」
私は立ち上がり、袋に駆け寄る。
袋は風に煽られこのままだと船の外に落ちてしまう。
私はへりに駆け登るように上がり、バレーボールのアタックの如く袋を船内に叩き付けた。
袋に夢中になっていた私は気が付かなかった。
自分が船の外に出てしまう事に。
2人の声が私を呼ぶ。
目の前に2つの違う腕が差し伸ばされた。
咄嗟に両方掴む。
そして……。
早くルイスさんの待つ宿屋へ帰りたいけど、あの市場を通らないといけない。
まだ市場は賑わってる時間帯だろうし、私達は足止めを食らっていた。
樽に座っている私はプラプラと足を動かす。
詩乃
「はーあ、あの人悪い人だったのかぁ……」
貰った指輪を弄りながら溜息をついた。
詩乃
「あの袋をクロード達が探してたって事なら、元々あの女の人の物じゃないって事なのかな?
て事はさ、返しちゃダメって事だよね?」
春一
「でも中身の箱の紋章は桜舞ヶ丘村の物だろ。
そしたらそもそも桜舞ヶ丘村の住民の物って考えられるんじゃねぇの?」
私の目の前で水切りで遊ぶ春一の返答に、うーんと考え込む。
確かに桜舞ヶ丘村の人達の物なら返さなきゃいけない。
でも警察に追われてるって事は悪い人な訳で……。
詩乃
「あー!もう!どうしたら良いのか分かんないよっ!!」
グシャグシャと頭を両手で掻く。
どっちが正しいのよ……!
春一
「まぁ、ここでゴチャゴチャ考えてても分かんねぇし、今すぐ判断しなくても良いんじゃね?」
???
「それが今すぐ判断してもらわないと困るんだよね~」
どこからか聞き覚えのある声がして、私は樽から立ち上がった。
建物の陰から現れたのは和服の女性だった。
???
「久しぶりだね、お嬢さん。
袋預かっててくれてありがとう!」
春一
「おっ!和服美女!へぇ、マジで美人じゃんか~」
???
「うっひゃー!あの袋開けたんだ!すごいねキミ!」
あの袋に掛けられた呪術、知ってるんだ……。
春一の姿を見てすぐに袋を開けたからだと気付いた女性。
驚きと嬉しさが混ざったような顔で春一を眺めている。
???
「でだ、本題に移ろっか」
女性は微笑みを絶やさない。
???
「キミに預けた物、返してもらえないかなぁ?無いと困るんだよねぇ」
詩乃
「でもあなた、警察に、聖騎士団に追われてましたよね?
本当はあなたが悪い人なんじゃないんですか?」
???
「えぇ!?やだなぁ誤解だよぉ~!あれは元々私達の物なんだよ?
少し強引なやり方だったかもしれないけど奪い返しただけなの」
なるほど、奪われた物を奪い返した、と……。
どうしよう、困ってるみたいだし返してあげた方が良いのかな。
???
「惑わされるな」
またも聞き覚えのある声がして振り返ると、クロードがこちらを睨んでいた。
クロード
「その女の言っている事は信じるな」
春一
「あちゃー!全員お出ましかぁー!」
まるで他人事のようにこの状況を楽しんでいる春一。
クロード
「確かにあの者達の物だったかもしれない。
だが渡す訳にはいかないのだ」
詩乃
「どうして?」
クロード
「すまないが答える事は出来ない」
クロードは少し俯いた。
???
「ふふ、都合が悪いから答えられないんだよね?
そんな勝手な人より私を信じた方が良いよ?」
クロード
「根拠の無い事を言うな!
我々は民と街と国の安全を守る義務がある。
理由が言えないのはその為だ」
うーん、異世界でも警察は警察だなぁ。
秘密主義というか何というか……。
でも正義感の強さは何となく伝わる。
???
「んー、何かめんどくさくなっちゃったな」
女の人がそう呟くと、港に水しぶきを上げながら木造の船が飛んで来た。
そう、飛んで来た。
表現として間違ってない。
本当に空から飛んで来たのだから。
詩乃
「そ、空飛ぶ船!?」
女の人は驚く私の元へ駆け寄り、女性の力とは思えない程軽々とお姫様抱っこする。
何が起きたか分からなかった私は呆然と女の人の腕の中に収まる。
そのまま船から降ろされた板を駆け上がり、乗り込んだ。
???
「返してくれないならこの子貰ってくね!」
詩乃
「貰うって、へ?」
クロード
「おい待てっ!!」
剣を抜いたクロードの声は上がって行く船を止められなかった。
船はどんどん高度を上げていく。
私が状況を把握したのは完全に船が雲の上に行った時だった。
ヘリコプターのような音が聞こえる甲板で、目の前でニコニコと微笑む女の人を睨んだ。
???
「ごめんね、強引な事しちゃって」
詩乃
「こんな事しても意味無いと思う」
???
「何で?」
詩乃
「きっと春一はクロードに渡すから」
???
「え~!何でそんな悲しい事言うの~?仲間でしょ?」
そう言いながらも少し楽しそうなのが、何だか気に食わない。
詩乃
「仲間って程の絆は無いし。私がどうなろうと知ったこっちゃないよ」
???
「そう……じゃあもしあの箱をアイツに渡したら」
私にグイッと近付いて笑う女の人にゾクリとする。
???
「キミを殺しても問題無いよね?」
口元は笑ってるけど、目が笑っていない。
ここで怯んじゃダメだ。
強いところを見せつけなきゃ。
詩乃
「好きにすれば」
そう言って、ぷいとそっぽ向いた。
でも、本当のところ春一はどうするんだろう。
助けに来てくれるのかな?
いや、命掛けてまでそんな事するような人じゃない。
合理主義で自分勝手な自己中ナルシスト男。
そんな人が特に価値の無い私を助けに来るなんて考えられない。
さっさとクロードに渡して桜舞ヶ丘村へ1人で行って、帰る手掛かりを見つけるんだ。
そう、そういう人なんだ。
自分で考えたくせに泣きそうになるのは何でだろ。
ダメダメ、泣くな。
強いところ見せつけなきゃいけないんだから。
???
「そっか、キミを連れて来ても意味無かったのか……」
船内をプラプラと歩きながら女の人は呟いた。
???
「用無しならもういらないか」
ピタッと立ち止まる。
???
「ね?詩乃ちゃん」
振り向いた女の人の目は金色に変色していた。
右手には短剣が握られていた。
ウソ、ここで殺されるの……?
やだ、こんな、し、知らない世界で死ぬなんて……いやだ……。
逃げなきゃ、でも足が竦んで動けない。
???
「恨むなら私じゃなくてあの男の子を恨みなね……」
女の人がゆっくりと私に近付き、肩に手を掛けた。
???
「……ばいばーい」
右手を大きく振り上げたところでぐっと目を固く閉じた。
殺される!!
死ぬ覚悟をしたその時、大きな破裂音がしてそっと目を開けた。
目の前に女の人が立っているのは変わらない。
でもその右手には短剣が握られていなかった。
短剣は隅の方に転がっている。
そして女の人越しに小さな姿が見えた。
春一
「……殺すにはまだ早ぇだろうが」
銃を右手に構えた春一が船のへりに立っていた。
詩乃
「……は、はるい、ち……!」
安堵で腰が抜け、その場にへ垂れ込んだ。
???
「へぇ、ちゃんと助けに来たじゃん。よく来れたね」
春一
「船にロープ引っ掛けてついて来てやったよ」
そう言ってヘラっと笑う春一。
春一
「テメェが欲しいのはソイツの命じゃなくてコイツだろうが」
春一は女の人を睨み銃を構えたまま、左手で袋を前に掲げた。
春一
「取引しようぜ、おねーさん」
そう言ってニヤリと口角を上げた。
???
「良いねぇ良いねぇ!気に入ったよ、キミ!」
春一
「それはそれは光栄なこった!」
春一はへりから飛び降り、スタッと床に立った。
春一
「コイツは返してやる。だからソイツを返せ」
???
「話が分かる子ってだーい好き!」
詩乃
「ダメだよ!渡しちゃダメ!」
そうだ、こんな殺そうとする人悪い人に決まってる。
そんな人に渡しちゃいけない。
絶対ダメだ!
???
「その通りだ」
春一が立っていたへりにクロードがよじ登ってきた。
春一
「うわ、俺のロープ使ってついて来たのかよ……!」
クロード
「民を守るのが私の仕事。貴様らも例外では無い」
ドンッとへりから床へ降りたクロード。
クロード
「そして、その箱を守るのもまた私の仕事なのだ」
???
「めんどくさいから上に来たのに、まーためんどくさくなった。
キミはお呼びじゃないんだよね」
冷たく言う女の人は微笑んではいなかった。
クロード
「呼ばれずとも何度でも来る。貴様を捕まえるのも私の仕事だ」
腰の剣を抜刀する。
クロード
「まずは貴様からだ、その箱返してもらおう!」
そう言って春一に剣を構えるクロード。
春一
「おいおい待て待て、俺からかよ!その女からにしようぜ!
レディファーストっつー事でよ!」
詩乃
「ちょっと!今ここで仲間割れしてる場合じゃないでしょ!?」
クロード
「私は貴様らの仲間になった覚えは無い!」
くぅ~!確かに仲間になった訳じゃないかぁ~!
めっちゃ正論言うじゃん~!!
???
「ケンカなら下でやってもらえません?迷惑なんで」
クロード
「すぐに終わらせる、首を洗って待つが良い!」
春一
「すぐに終わらせるだぁ?ンな訳にはいかせねぇよ!」
春一は手に持っていた袋を高く放り投げた。
詩乃
「ああっ!ダメっ!」
私は立ち上がり、袋に駆け寄る。
袋は風に煽られこのままだと船の外に落ちてしまう。
私はへりに駆け登るように上がり、バレーボールのアタックの如く袋を船内に叩き付けた。
袋に夢中になっていた私は気が付かなかった。
自分が船の外に出てしまう事に。
2人の声が私を呼ぶ。
目の前に2つの違う腕が差し伸ばされた。
咄嗟に両方掴む。
そして……。
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