174 / 191
151 公爵令嬢は専門機関に呼び出される
しおりを挟む
先日の生霊事件について、私は魔法研究専門機関に呼び出しをくらっていた。
「先日、貴方はオモカゲの事をイキリョウと言っていましたが、詳しく教えて頂けませんか?」
機関で一番偉い人に質問された。
起こった事はそのまま最初から最後まで伝えた。
物理、魔法、聖魔法全ての攻撃がオモカゲには効かない事、逆にオモカゲの攻撃はこちらに通じる事、攻撃される瞬間だけ物理攻撃が可能で、魔石を持つ生き物だけに効果がある毒薬がオモカゲにも魔猿本体にも効果がある事。
それらの答えの結果が、魔猿の生霊じゃないのかと考えた。
「どうして、それをイキリョウだと思ったのですか?」
ドッペルゲンガーとは、地球では同じ人物が同時に別の場所に姿を現す現象を指す状態で、第三者が目撃する超常現象のひとつとしても扱われているもの。
「二重」「生き写し、コピー」という意味を持ち、英語風には「ダブル」、漢字では「復体」と書くこともある。
ドッペルゲンガー現象は、古くから神話・伝説・迷信等で語られて、肉体から霊魂が分離・実体化したものとされていて、この二重身の出現は、その人物の「死の前兆」と信じられた。
だそうだ。
俺自身はそういった霊的なものは一切信じてなかったけど、ウキペヂア先生がそう言ってるんだから仕方ないね。
この事を、どうやったら信じてもらえるか説明しようにも、宗教、というか世の理として魂が肉体から分離すると言う概念がないこの世界では、ウキペヂアの解説で信じてもらえるかどうか。
実際、死にかけの魔猿がオモカゲを出していた訳で、その魔猿本来の力以上の能力を持っていたんだから、肉体的に制限のある本体から離れたことで潜在能力が発揮されたとも言える。
でも、どうやったらこの世界の常識を覆すことが出来るんだろう?
事例として俺の事を伝える訳にはいかないし、例え言ったところで信じてもらえるか。
そんなもんハイリスク過ぎて出来るか!
「ハッキリと表現出来ないのですが、もし魔猿が自分の意思でオモカゲを操っていたとしたら、あのように食中毒で瀕死の状態であるはずがない、と思ったからです。
逆に、オモカゲ自身が意志を持って活動していたのなら、魔猿本体の意識は関係がないのではないでしょうか。」
「成程、一応理には適っている。
ですが、この世は魂と肉体が別れることはなく、死んだ後でもその魂が肉体から離れる事はない、という常識はご存知ですよね?」
「そもそも、その常識が間違っていた、とは過去に誰も思った事はなかったのでしょうか。」
「な、何!?」
「私たちが住むこの星が、平面ではなく立体、しかも円球の可能性がある事、空が動いているのではなく、この星自体が動いている可能性がある事、空のずっとずっと上空には空気がなく、光さえ吸い込む重力の塊が存在する可能性がある事……
そういった事は、想像したり調べたりした事はなかったのですか?」
地球で言うところの、天動説や地球平面説、ブラックホールのようなもの。
この世界が地球と同じかどうなのかは、詳しく調べてないから分からないけど、科学が発展してないこの世界ではこういったことを研究してこなかったのだろうか。
分からない事が満載で、ワクワクが止まらねぇんだけど、今はそれどころじゃない。
神や悪魔を割と雑に扱っているくらいだから、宗教的な物とかじゃなくて基本的な常識だとしか思ってないのかもしれない。
「そ、その考え方を本気で思っているのかい?」
「いえ、私の空想です。
でも、可能性として色んな意見がある事は良い事だとは思いませんか?
今後の研究題材にもなりますし、何より科学が大きく発展する可能性が秘められています。」
「し、しかし、常識ではそんな事……」
「あーもう!
こういった疑いがある、こういった可能性がある、それが気になる。
じゃあ嘘かホントか調べてみよう!
それでいいじゃない!」
何をグジグジ言ってるのか意味わからんけど、要するに、やりたい事はやってみないと分からないって事だよ!
何を躊躇う必要があるんだ?
失敗したっていいじゃない、失敗は成功の母だって言うんだし。
地球でもだったけど、これだから頭の固い屁理屈オヤジはいけ好かないんだよ!
俺だって私だって、どれだけ失敗してるか!
私なんて特に、地球の常識が全く通用しないから、何度実験室を破壊して、怪我を負って、リッカにこっぴどく叱られたか。
むしろそれが私の日常ってもんよ。
こうして、人々は文明を発達させて、新しい情報を知る事が出来るんだから。
ホントに、この世界に積極性ってもんがないのかしら!
「じゃあ、私がエレメント魔法学校を卒業したら、ここで働いて今までの常識を全部ひっくり返してやりますよ!
覚悟しておいてください!」
こうして、私の就職先は早々に決まった。
ちなみに、
「ねぇ、あのアダマンタイトの大きな盾、貰ってもいい?」
鍛冶屋さんが買い取ってくれた。
「先日、貴方はオモカゲの事をイキリョウと言っていましたが、詳しく教えて頂けませんか?」
機関で一番偉い人に質問された。
起こった事はそのまま最初から最後まで伝えた。
物理、魔法、聖魔法全ての攻撃がオモカゲには効かない事、逆にオモカゲの攻撃はこちらに通じる事、攻撃される瞬間だけ物理攻撃が可能で、魔石を持つ生き物だけに効果がある毒薬がオモカゲにも魔猿本体にも効果がある事。
それらの答えの結果が、魔猿の生霊じゃないのかと考えた。
「どうして、それをイキリョウだと思ったのですか?」
ドッペルゲンガーとは、地球では同じ人物が同時に別の場所に姿を現す現象を指す状態で、第三者が目撃する超常現象のひとつとしても扱われているもの。
「二重」「生き写し、コピー」という意味を持ち、英語風には「ダブル」、漢字では「復体」と書くこともある。
ドッペルゲンガー現象は、古くから神話・伝説・迷信等で語られて、肉体から霊魂が分離・実体化したものとされていて、この二重身の出現は、その人物の「死の前兆」と信じられた。
だそうだ。
俺自身はそういった霊的なものは一切信じてなかったけど、ウキペヂア先生がそう言ってるんだから仕方ないね。
この事を、どうやったら信じてもらえるか説明しようにも、宗教、というか世の理として魂が肉体から分離すると言う概念がないこの世界では、ウキペヂアの解説で信じてもらえるかどうか。
実際、死にかけの魔猿がオモカゲを出していた訳で、その魔猿本来の力以上の能力を持っていたんだから、肉体的に制限のある本体から離れたことで潜在能力が発揮されたとも言える。
でも、どうやったらこの世界の常識を覆すことが出来るんだろう?
事例として俺の事を伝える訳にはいかないし、例え言ったところで信じてもらえるか。
そんなもんハイリスク過ぎて出来るか!
「ハッキリと表現出来ないのですが、もし魔猿が自分の意思でオモカゲを操っていたとしたら、あのように食中毒で瀕死の状態であるはずがない、と思ったからです。
逆に、オモカゲ自身が意志を持って活動していたのなら、魔猿本体の意識は関係がないのではないでしょうか。」
「成程、一応理には適っている。
ですが、この世は魂と肉体が別れることはなく、死んだ後でもその魂が肉体から離れる事はない、という常識はご存知ですよね?」
「そもそも、その常識が間違っていた、とは過去に誰も思った事はなかったのでしょうか。」
「な、何!?」
「私たちが住むこの星が、平面ではなく立体、しかも円球の可能性がある事、空が動いているのではなく、この星自体が動いている可能性がある事、空のずっとずっと上空には空気がなく、光さえ吸い込む重力の塊が存在する可能性がある事……
そういった事は、想像したり調べたりした事はなかったのですか?」
地球で言うところの、天動説や地球平面説、ブラックホールのようなもの。
この世界が地球と同じかどうなのかは、詳しく調べてないから分からないけど、科学が発展してないこの世界ではこういったことを研究してこなかったのだろうか。
分からない事が満載で、ワクワクが止まらねぇんだけど、今はそれどころじゃない。
神や悪魔を割と雑に扱っているくらいだから、宗教的な物とかじゃなくて基本的な常識だとしか思ってないのかもしれない。
「そ、その考え方を本気で思っているのかい?」
「いえ、私の空想です。
でも、可能性として色んな意見がある事は良い事だとは思いませんか?
今後の研究題材にもなりますし、何より科学が大きく発展する可能性が秘められています。」
「し、しかし、常識ではそんな事……」
「あーもう!
こういった疑いがある、こういった可能性がある、それが気になる。
じゃあ嘘かホントか調べてみよう!
それでいいじゃない!」
何をグジグジ言ってるのか意味わからんけど、要するに、やりたい事はやってみないと分からないって事だよ!
何を躊躇う必要があるんだ?
失敗したっていいじゃない、失敗は成功の母だって言うんだし。
地球でもだったけど、これだから頭の固い屁理屈オヤジはいけ好かないんだよ!
俺だって私だって、どれだけ失敗してるか!
私なんて特に、地球の常識が全く通用しないから、何度実験室を破壊して、怪我を負って、リッカにこっぴどく叱られたか。
むしろそれが私の日常ってもんよ。
こうして、人々は文明を発達させて、新しい情報を知る事が出来るんだから。
ホントに、この世界に積極性ってもんがないのかしら!
「じゃあ、私がエレメント魔法学校を卒業したら、ここで働いて今までの常識を全部ひっくり返してやりますよ!
覚悟しておいてください!」
こうして、私の就職先は早々に決まった。
ちなみに、
「ねぇ、あのアダマンタイトの大きな盾、貰ってもいい?」
鍛冶屋さんが買い取ってくれた。
0
お気に入りに追加
521
あなたにおすすめの小説
わたし異世界でもふもふ達と楽しく過ごします! もふもふアパートカフェには癒し系もふもふと変わり者達が生活していました
なかじまあゆこ
ファンタジー
空気の読めない女子高生満里奈が癒し系のもふもふなや変わり者達が生活している異世界にトリップしてしまいました。
果たして満里奈はもふもふ達と楽しく過ごせるのだろうか? 時に悩んだりしながら生活していく満里奈。
癒しと笑いと元気なもふもふスローライフを目指します。
この異世界でずっと過ごすのかそれとも?
どうぞよろしくお願いします(^-^)/
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる