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114 公爵令嬢は班別学習をする2

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 まず、資料集めをする為に四人で図書館へ。

 まだまだ読んだことのない本が沢山あり、どこに目的の本があるのかわからない為、司書に学校の歴史関係の本がある場所を教えてもらった。

 その辺りにある本を片っ端から速読で読んでいく私を、三人は無言で見つめていた。

 「どうしたの?
 資料探さないと、武術の時間になっちゃうわよ?」

 「あ、いや、そんなパラパラっとめくるだけて内容分かるんですか?」

 そう言えば、私が速読してるの知ってるのはこの学校でロナウド王子とセシル様とリリーちゃんだけだったよな。

 男爵領での生活は、むしろそうしないと仕事が間に合わなかったから、当たり前のように今もしちゃってた。

 「大丈夫、ちゃんと読んでるから。
 ほら、みんなも探してよ。」

 やっと資料探しをしてくれたけど、チラチラこっちを見るな!

 「あ!見つけた!」

 結局見つけたのは私だった。

 毎年発行されている『エレメント魔法学校史』の中で、ある程度の年代の物から二ページずつ程書いてあった。

 そして、これらの違いをよく調べていく事に。

 今回は時間が来てしまったので、放課後にみんなで集まって続きをしようと約束した。



 放課後になり、改めて学校史を見ている。

 確認したところ、全部で三回変更があった。

 これを、男子組は細かく調べて、女子組はこれの制作に入る。

 制作経験豊富な私と、ほぼ無経験のアンリさんでは、同じ事をするとなると時間も手間も負担もかかってしまうから、作業分担する事にした。

 私が大まかな部分を作って、アンリさんが細かいところと仕上げ。

 素材集めに設計図作成、そして製作、いざ参る!



 自由研究発表当日。

 何とか間に合った。

 私達より男子組の方が大変だったみたいだけど。

 発表順はランダム。私達一班以外。

 何故かトリを任された。

 他の班がしているのは、やっぱり学校の歴史や魔法について等、よくあるテーマばっかり。

 研究内容が被っている班もあった。

 その中で、ロナウド王子のいる二班の研究内容は面白かった。

 ずばり『歴代王族の学校生活』。

 ロナウド王子にしか出来ないテーマだよ。

 因みに、ロナウド王子の父親であるランサー現国王陛下は、文武両道で魔法の才能に優れ、リーダーシップのあるお調子者だったらしい。

 今も昔も全く変わってない。


 そして遂に私達の出番。

 みんなはレポートにまとめていただけだったけど、私達だけ現物あり。

 研究発表担当はニコニコ顔のウッディ君。

 「僕たちが調べあげたのは、『エレメント魔法学校創立から現在までの学生服について』です。」

 そう、歴代の制服を私とアンリさんで作り上げたのだ。

 先代の男子用制服は、お祖父様のお祖父様が使っていた物を借りる事ができたけど、それ以外の物は貸してくれる人がいなかったのだ。

 「まず、エレメント魔法学校創立時は、制服がありませんでした。
 なので、主に男性はフロックコート、女性はアフタヌーンドレスが着用されていました。」

 現在の社交界と同じく、お金のある家柄の生徒の着飾る物が豪華で、今より数が多くいた平民達は、衣装でかなり差別されていたみたい。

 「そこで誕生したのが制服でした。」

 教室の外で待機していた私達が順番に登場。

 最初に登場したのは、照れすけのビクター君。

 初代の制服を着て、女物の制服を着せたマネキンを連れて登場。

 因みに、このコロコロ付きマネキンは私が作成。

 「最初の制服は、当時の貴族衣装をモデルに作られており、男性はモーニングコート風、女性はカクテルドレス風になっています。」

 制服のない時代から数年で登場。

 この制服制度を始めてから、見た目での平民への差別はなくなり、同時に平民の魔力保持者も減っていった。

 そしてこの制服、夏冬兼用でお値段何と金貨五枚。

 日本円で言うところの約五十万円。

 まあ、貴族のドレスって思うと安いのかもしれないけど、平民の人たちにとっちゃたまったもんじゃない。

 なので、制服レンタルってのが当時はあったみたい。

 「制服文化が定着した頃、男女共通したデザインのものが新しく作られました。」

 それが二代目制服。

 アンリさんと三台のマネキンが一緒に登場。

 男性ものは曾曾お祖父様からレンタル、女性物は二着とも手作り。

 ウッディ君とビクター君がマネキン運びを手伝っている。

 「この頃の制服は騎士をイメージして作られたもので、夏服と冬服の二種類が作られました。」

 十数年続いた初代制服から心機一転。

 この頃の制服は、値段が大幅に下がって大銀貨十五枚。
 
 約十五万円程度って、だいたい高校の制服オールシーズン分くらい?

 ただ、が十五万円なので、夏冬合わせて三十万円。

 日本に比べるとやっぱり高い。

 「最後に、今俺たちが来ているのが三代目です。」

 夏服を着たマネキン二体と私、登場。

 ウッディ君が私の横に並ぶ。

 「三代目の制服は二代目のデザインとよく似ていますが、大きな違いがあります。
 それが、俺たちの肩に付いている魔導具です。」

 数百年と変わらなかった制服が変更されたのが約六十年前。

 その頃には魔導具が開発されて普及が広まっていて、生徒の身の安全の為に、魔導具が制服に装着されるようになった。

 この魔導具のせいで一気にどどーんと値段が上がって、一着金貨七枚。

 しかも、魔導具は夏冬兼用ではないから、二着で約百四十万円!!

 この値段設定に、案の定レンタル制服が再稼動。

 但し、私の制服はサイズ的に特注だったので強制買取り。

 ただ、エレメント魔法学校の制服って歴代の物からずっと名誉的な衣装らしく、生徒の親は買ってあげる人が割と多く、大切に保管されているらしい。

 だから、私に甘いお祖父様くらいしか気軽に制服を貸してくれる人はいなかった。
 
 まぁ、国王陛下に言えば全部貸してくれそうだけど、一応ロナウド王子のお父さんだしね。

 それぞれの衣装の詳しい年表と素材、価格、デザイナー等制服に関する情報全てを調べ上げるのがとても大変だった。

 女性陣の方も、歴代制服を忠実に再現しながら作った服の数、四着。

 素材集めから採寸、設計図、仕立てを八日間でやったんだから。

 お祖父様が制服を貸してくれて、本当に助かった。

 「以上で、一班の自由研究発表を終わります。
 ありがとうございました。」

 少しの沈黙の後、ロナウド王子の拍手から始まって徐々に音量が増えていった。

 「お前ら、これ一週間(十日間)でやる自由研究の内容じゃねぇよ。
 でもまぁ、これだけの事よくやり切ったな。」

 ジョニー先生が私の頭をグシャグシャする。

 なぜ私を?

 だから子供扱いやめろって!



 「あの作った制服どうしよう?」

 「あ、俺もらってもいいですか?」

 「じゃあ私ももらいます。」

 「ボ、ボクも欲しい…….なぁ……」

 「マネキンは誰かいらない?」

 シーーーーン……

 学校の物置にこっそりしまっとこ。

 制服は丁度四着だけど、男性ものが一着しかなかったからくじで決める事になった。

 結果、男子二人は先代の制服(女性もの)、アンリさんが初代の男性ものになった。

 私もサイズ合わないから、このカクテルドレス着れないし。

 そして今、その制服はレベッカちゃんがたまに着ている。
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