上 下
114 / 191

95 公爵令嬢は料理大会を開催する 1

しおりを挟む
最近ふと思ったんだけど、私、食べ物のことばっかり考えてる気がした。

何を今更、とか言わないでよ、リッカ。

悪いことじゃないと思うよ?

だって、この世界を美味しい食べ物でいっぱいにするのが私の夢なんだから。

でも、ちょっと皆んな私に頼りすぎてない?

たまには自分で美味しいものを作ってご覧なさいよ!

男爵領には、砂糖、卵、南国フルーツが沢山あるし、小麦粉、加工フルーツ、チョコレートは私の権力を持ってすれば大量輸入可能なんだから!

ちょっと、チョコレートはリッカだけのものじゃないからね!

それに今、養蜂場を作って契約の話まで進めてるから、今後蜂蜜だって今より安価で手に入れやすくなるし、ゼラチンの加工場だって完成したんだから、どんどん使ってくれていいのよ!

これだけ素材があるのに、なんで誰も作ろうとしないのかしら。


という訳で、第一回料理大会開催決定。

今回のお題は『スイーツ』。

開催日は来月、それまでに、オリジナルのスイーツのレシピを考えてくる事。

当日は、みんなの前でスイーツを作ってもらいます。

優勝賞金、金貨十枚!

優秀者は、私プロデュースのスイーツ店で働いてもらいます。

もちろん、辞退して自分でお店を構えることも可能、その際には、私のお墨付きをあげましょう。

さぁ皆んなで頑張ってくれたまえ!



「フランちゃん、私も参加してもいい?」

「もちろんよ、レベッカちゃん。
私の専属料理人として出るからには、絶対に優勝してもらうわよ。」

「ぜ、絶対に……」

「私はレシピを教えないわよ、頑張って美味しいスイーツを作ってちょうだい。」

「は、はい!」

「あ、昆虫を使ったスイーツを作っても、私絶対に食べないからね。」

「は、はい……」

かなり緊張しておられるレベッカちゃん。

ちょっとプレッシャーかけすぎたかな?

「絶対に負けられない戦いがそこにはある。」

いや、いい感じに気合い入ったね。



この世界のスイーツ、洋菓子系がメインなんだけど、ケーキは日本のショートケーキみたいなフワフワスポンジのケーキじゃなくて、どちらかと言ったらスコーンのような硬い生地や、パウンドケーキみたいなもったりとした生地が多い。

そして、私がチョコレートを開発するまで、混ぜたり乗せたりするのは殆どドライフルーツやジャムで、生クリームをホイップした物を使うこともなかった。

更に、タルトもパイも惣菜パンの様な感覚で食べられていて、乗せたり挟んであるのは肉や野菜や卵。

クッキーは庶民から貴族まで愛されているスイーツだけど、庶民に一番食べられているのはジャムサンド。

まぁ、砂糖や蜂蜜が貴重なこの世界だから、こんな状態でも特に誰も何も思わなかったのかな?

アイスクリーム、コーラ、あんこ菓子、チョコレートが出来て、この世界のこの国民はきっともう元に戻れなくなってしまっただろう。

私ったら、罪な女……



大会当日、会場はお祭りのメインステージになる大広場。

観客が凄いことになった。

参加希望者が結構多くて、予選をしないといけなくなった。

まぁ元々二品ずつ考えてくるを条件にしてたから、問題なかったんだけど。

審査員は国王陛下、お父様、いつもの騎士団長様、ヤークン侯爵おじさん達と王宮料理長。

もう、相談する相手を間違えたんだよ。

国王陛下に「パティシエ選手権するから、審査員を集めて欲しい」って言ったら、本人来ちゃうんだもん。

いや、公務がなければ来ると思ってたけど、公務なかったんだね。

おじさん達凄いワクワクしてるし。

そしてロナウド王子、セシルいつもの様、ポスカ君三人もちゃっかり参加者。

まぁ、君らは実績あるからね。

そう言えば、ケンは参加しないの?

「俺はフラン様に口直しのポテチとコーラを用意しないと行けないので。」

ホントに君はブレないな!

そして、誰よりも気合いの入っているレベッカちゃん。

「絶対に負けられない戦いがそこにはある。」

もうこれしか言ってない。

何を作ったのか見てないから、楽しみにしていよう。


予選は二ブロックに別れて、上位半数が決勝に進める。

最初にイチオシを持ってくるか、決勝まで取っておくかは、結構重要な駆け引きだね。

キッチンや水や氷、一通りの材料はこちらで用意しておいたけど、調理器具は持参。

こだわりの材料も自分で用意してもらった。

ここから何が出来上がるのか、楽しみだねぇ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]

ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。 「さようなら、私が産まれた国。  私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」 リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる── ◇婚約破棄の“後”の話です。 ◇転生チート。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。 ◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^ ◇なので感想欄閉じます(笑)

飯屋の娘は魔法を使いたくない?

秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。 魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。 それを見ていた貴族の青年が…。 異世界転生の話です。 のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。 ※ 表紙は星影さんの作品です。 ※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。

処理中です...