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トマトは一番おいしい野菜 Bパート
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「いや~助かりました一時はどうなるかと思いました」
「工場長が無事でなによりです」
「ねずみの国というから私はてっきり・・・」
「てっきり?」
「いやなんでもありません、それでおむすびは転がってきましたか?」
「それがさっぱりです」
「そうですよね、まず誰もこない場所で且つこれほどの大きな山でさらに穴におむすびが入る可能性なんて
とんでもなく低いですよね」
「そうですよねやっぱり」
「さらに聞くところによるとおむすびを投げ入れた人を招待して小判なんかを差し上げているそうで」
「はい、おむすびのお礼として」
「バカがっ!」
「なっ!?」
「あ、いや・・・なんでもありません・・・というか採算が取れないですよね」
「言われてみればそうですね」
「そもそもあなたたちは餓死しないんですか?」
「正直ギリですね、飢えに苦しんでるねずみが大半です」
「小判ひとつでおにぎり1000個くらいの価値になるのに、なぜおにぎりの1~2個で小判を大量に支払うんでしょう?
しかも土にまみれてるし」
「それは・・・えっと・・・ねずみにおにぎりは作れないですし」
「だとしても小判の価値はご存知でしょう?これはもはやビジネスモデルの欠陥とかいう次元ではなく
自ら進んで詐欺に合いにいってるようなものです」
「はい・・・僕たちねずみですんで頭が回らないのです」
「なぜしっかり考えないんですか?」
「すいません・・・」
「いや、すいませんじゃなくなぜ考えないのですか?と聞いているので答えてください」
「すいません・・・なぜだかもわかりません・・・所詮ぼくらねずみなんで」
「ねずみだからということを言い訳に使わないでください、同じねずみの国でもボロ儲けしているねずみがいるんですから、なぜうす汚れたおにぎりの対価に大量の小判を出すんですか?」
「うう・・・だって・・・ぐっ・・・ボロ・・・ボロ・・・」
「こちらは質問をしているだけです、泣く意味がわかりません」
「お願いします工場長・・・我々を助けてください・・・」
「願えば誰かが助けてくれるのかよ!そんな考え方だからいつまで経っても怯えて暮らさなくちゃならねえんだろうが!
生きるってのは戦いなんだよ!勝ち取らなきゃ全部を失うんだ!違うか!?」
「はっ!そ、そのとおりです工場長!」
「はっ!すいません私としたことがピリピリしてしまい圧迫面接のようになってました・・・私は平穏が乱されたときガチでキレてしまう癖がありまして・・・すいません本当に・・・」
「いえ、工場長の言うことはもっともです、ボクたちねずみだからって理由で甘えてました・・・」
「そ、そうですか?いえ、仕方ありませんよねずみなんですから、私も先ほどはつい言い過ぎました」
「自分たちのことは自分たちで!工場長の力は借りません!」
「そうですか、ではがんばってください私は帰ります」
「ありがとうございました工場長!」
「で・・・どうやって帰るんですか?」
「あ、さっきそこのとこに渦みたいなのできてて、そこから工場長がでてきたんですけど・・・」
「それないですね・・・確かいままではそれで帰ってたんですけど」
「ど、どうしましょう・・・?」
「察するにこれは一仕事しないと帰れないというルールがあるのでしょう」
「え?じゃあ?」
「ねずみさんたちのお手伝い、させてください」
「あ・・・ありがとうございます工場長!」
「ではねずみさんたちの台所事情を教えてください」
「はい、残ってる食料はこんなところです」
「たったこれだけの備蓄ですか・・・いままでよく生きてこれましたね」
「いよいよとなれば共食いとかでしのいでます」
「なるほどさすがねずみさんですね文化レベルのかけらも感じられません」
「さすが工場長さらっとひどいですね」
「では早速牛を買いにいきましょう」
「牛ですか・・・」
「ねずみといえばチーズですからね、作りかたを教えます」
「よろしくお願いします」
――
―
「固まったもの、これをカードといいます越して水分をとってそのまま食べてもよし
ここの湿度と温度ならば熟成して青カビチーズにしてもおいしいですよ」
「すごいです工場長!」
「いえ、牛乳からチーズができるのは私の時代なら誰でも知ってることです」
「工場長そろそろお昼ごはんにしましょう、これなけなしのお餅ですが」
「では遠慮なくいただきましょう」
「工場長は他にもねずみの国にいったことあるんですか?」
「ええ、そこは徹底したブランド戦略と高いホスピタリティの維持、人材育成全てにおいて最強の国です」
「そうですか・・・そんなすごいねずみの国もあるのに私たちときたら・・・」
「コンビニとかどこでもいいんですけど扉を開けて入るじゃないですか?」
「え・・・?はい、そうですね」
「それでこう、手でドアを押すタイプのやつなんですけど、もし自分の前に先に誰かがいたとき
その前の人が扉を押して入っていくわけですが・・・」
「前の人が扉を・・・はい、わかります」
「その前の人はかなりの確率で後ろの私を気遣ってドアが閉まらないように押さえて開けたままにしてくれるわけです」
「それは気遣いではありますよね?」
「そうなんです、でもそれをされる側としては、その手がいつかリリースされるのではないか?その前の人を信用して
無防備で建物に入ろうとした途端手をリリースされてドアが私の顔面を直撃するのでは?そんな恐怖を感じてしまうわけです
だから私は油断をしないでその間普段以上に注意をしているわけです」
「確かにそうなりますかね・・・自分もきっとそうなります」
「そうでしょう?このことをいろんな人に聞くと『あ~わかるわぁありがたいけど正直やめて欲しいよねー』という答えがもれなく返ってきます、つまり基本的にほとんどの人が前の人のドア押さえはナシなんですよ」
「おお!」
「なのにけっこうな人がドア押さえをやるのはなぜか?それはこのドアを離したときに後ろの人が油断してて頭をぶつけたら自分の責任問題になるかもしれない・・・という保身からきている行動なのです」
「なるほど!そういう心理なんですね!」
「なので私はドアを押さえません、後ろの人にストレスをかけて自分はノンストレスで且ついいことをした気分になるという
二重にあくどい行動を無意識に人はやっているわけです」
「理屈はわかりますけどそこまで考えると逆にそれがストレスなのでは・・・」
「まあそういうことです」
(んっと・・・もうひとつのねずみの国がすごくて・・・それに比べてボクたちは・・・の返しがこれってことは・・・?よくわからない)
「では午後もがんばりましょうねずみさん」
「あ、はい、そうですね工場長」
――
―
「なにこれおいしい!」
「チーズっていうんだよ」
「チーズかあ、これで土まみれのおにぎりから解放されたんだね」
「すべて工場長のおかげだよ」
「工場長かぁ、また来てほしいなあ」
「いや、それはダメだ」
「ダメなの?」
「ダメだね」
「ダメなんだ・・・」
(工場長はこんなとこにいるべき人じゃない・・・)
工場長はこれからもっと大きなことをするに違いない、さらなる運命が工場長をきっと待っている・・・
「工場長が無事でなによりです」
「ねずみの国というから私はてっきり・・・」
「てっきり?」
「いやなんでもありません、それでおむすびは転がってきましたか?」
「それがさっぱりです」
「そうですよね、まず誰もこない場所で且つこれほどの大きな山でさらに穴におむすびが入る可能性なんて
とんでもなく低いですよね」
「そうですよねやっぱり」
「さらに聞くところによるとおむすびを投げ入れた人を招待して小判なんかを差し上げているそうで」
「はい、おむすびのお礼として」
「バカがっ!」
「なっ!?」
「あ、いや・・・なんでもありません・・・というか採算が取れないですよね」
「言われてみればそうですね」
「そもそもあなたたちは餓死しないんですか?」
「正直ギリですね、飢えに苦しんでるねずみが大半です」
「小判ひとつでおにぎり1000個くらいの価値になるのに、なぜおにぎりの1~2個で小判を大量に支払うんでしょう?
しかも土にまみれてるし」
「それは・・・えっと・・・ねずみにおにぎりは作れないですし」
「だとしても小判の価値はご存知でしょう?これはもはやビジネスモデルの欠陥とかいう次元ではなく
自ら進んで詐欺に合いにいってるようなものです」
「はい・・・僕たちねずみですんで頭が回らないのです」
「なぜしっかり考えないんですか?」
「すいません・・・」
「いや、すいませんじゃなくなぜ考えないのですか?と聞いているので答えてください」
「すいません・・・なぜだかもわかりません・・・所詮ぼくらねずみなんで」
「ねずみだからということを言い訳に使わないでください、同じねずみの国でもボロ儲けしているねずみがいるんですから、なぜうす汚れたおにぎりの対価に大量の小判を出すんですか?」
「うう・・・だって・・・ぐっ・・・ボロ・・・ボロ・・・」
「こちらは質問をしているだけです、泣く意味がわかりません」
「お願いします工場長・・・我々を助けてください・・・」
「願えば誰かが助けてくれるのかよ!そんな考え方だからいつまで経っても怯えて暮らさなくちゃならねえんだろうが!
生きるってのは戦いなんだよ!勝ち取らなきゃ全部を失うんだ!違うか!?」
「はっ!そ、そのとおりです工場長!」
「はっ!すいません私としたことがピリピリしてしまい圧迫面接のようになってました・・・私は平穏が乱されたときガチでキレてしまう癖がありまして・・・すいません本当に・・・」
「いえ、工場長の言うことはもっともです、ボクたちねずみだからって理由で甘えてました・・・」
「そ、そうですか?いえ、仕方ありませんよねずみなんですから、私も先ほどはつい言い過ぎました」
「自分たちのことは自分たちで!工場長の力は借りません!」
「そうですか、ではがんばってください私は帰ります」
「ありがとうございました工場長!」
「で・・・どうやって帰るんですか?」
「あ、さっきそこのとこに渦みたいなのできてて、そこから工場長がでてきたんですけど・・・」
「それないですね・・・確かいままではそれで帰ってたんですけど」
「ど、どうしましょう・・・?」
「察するにこれは一仕事しないと帰れないというルールがあるのでしょう」
「え?じゃあ?」
「ねずみさんたちのお手伝い、させてください」
「あ・・・ありがとうございます工場長!」
「ではねずみさんたちの台所事情を教えてください」
「はい、残ってる食料はこんなところです」
「たったこれだけの備蓄ですか・・・いままでよく生きてこれましたね」
「いよいよとなれば共食いとかでしのいでます」
「なるほどさすがねずみさんですね文化レベルのかけらも感じられません」
「さすが工場長さらっとひどいですね」
「では早速牛を買いにいきましょう」
「牛ですか・・・」
「ねずみといえばチーズですからね、作りかたを教えます」
「よろしくお願いします」
――
―
「固まったもの、これをカードといいます越して水分をとってそのまま食べてもよし
ここの湿度と温度ならば熟成して青カビチーズにしてもおいしいですよ」
「すごいです工場長!」
「いえ、牛乳からチーズができるのは私の時代なら誰でも知ってることです」
「工場長そろそろお昼ごはんにしましょう、これなけなしのお餅ですが」
「では遠慮なくいただきましょう」
「工場長は他にもねずみの国にいったことあるんですか?」
「ええ、そこは徹底したブランド戦略と高いホスピタリティの維持、人材育成全てにおいて最強の国です」
「そうですか・・・そんなすごいねずみの国もあるのに私たちときたら・・・」
「コンビニとかどこでもいいんですけど扉を開けて入るじゃないですか?」
「え・・・?はい、そうですね」
「それでこう、手でドアを押すタイプのやつなんですけど、もし自分の前に先に誰かがいたとき
その前の人が扉を押して入っていくわけですが・・・」
「前の人が扉を・・・はい、わかります」
「その前の人はかなりの確率で後ろの私を気遣ってドアが閉まらないように押さえて開けたままにしてくれるわけです」
「それは気遣いではありますよね?」
「そうなんです、でもそれをされる側としては、その手がいつかリリースされるのではないか?その前の人を信用して
無防備で建物に入ろうとした途端手をリリースされてドアが私の顔面を直撃するのでは?そんな恐怖を感じてしまうわけです
だから私は油断をしないでその間普段以上に注意をしているわけです」
「確かにそうなりますかね・・・自分もきっとそうなります」
「そうでしょう?このことをいろんな人に聞くと『あ~わかるわぁありがたいけど正直やめて欲しいよねー』という答えがもれなく返ってきます、つまり基本的にほとんどの人が前の人のドア押さえはナシなんですよ」
「おお!」
「なのにけっこうな人がドア押さえをやるのはなぜか?それはこのドアを離したときに後ろの人が油断してて頭をぶつけたら自分の責任問題になるかもしれない・・・という保身からきている行動なのです」
「なるほど!そういう心理なんですね!」
「なので私はドアを押さえません、後ろの人にストレスをかけて自分はノンストレスで且ついいことをした気分になるという
二重にあくどい行動を無意識に人はやっているわけです」
「理屈はわかりますけどそこまで考えると逆にそれがストレスなのでは・・・」
「まあそういうことです」
(んっと・・・もうひとつのねずみの国がすごくて・・・それに比べてボクたちは・・・の返しがこれってことは・・・?よくわからない)
「では午後もがんばりましょうねずみさん」
「あ、はい、そうですね工場長」
――
―
「なにこれおいしい!」
「チーズっていうんだよ」
「チーズかあ、これで土まみれのおにぎりから解放されたんだね」
「すべて工場長のおかげだよ」
「工場長かぁ、また来てほしいなあ」
「いや、それはダメだ」
「ダメなの?」
「ダメだね」
「ダメなんだ・・・」
(工場長はこんなとこにいるべき人じゃない・・・)
工場長はこれからもっと大きなことをするに違いない、さらなる運命が工場長をきっと待っている・・・
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