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第二章 キースの寄宿学校生活
色々な人達との出会い
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「それは褒められているのでしょうか。僕はグレッグ伯父様に会った事がないので、どんな人物か全く分からないのですが」
「会ってごらんなさいよ。ソフィの許しが出たなら、あちらのご家族も会いたいはずよ。
グレッグは特にね。あなたが3歳になるまで、でれでれだったんですもの。そのうち、あちらから何か言ってくるわ」
変わり者一家との交流。それも気が進まない。社会に出るというのは面倒なものだ。
ずっと静かだったジョン王子が、それじゃあ、馬車まで送るよ、と言って先に立った。後ろについて花園の中を歩いて行く。
その先に小さい女の子が侍女と二人で花を摘んでいた。
「リデル、もう薄暗くなってきたから、部屋に戻りなさい」
ジョン王子が声を掛けると、女の子がぴょんと立ち上がった。振り向くと、お兄様ーと言いながらこっちに駆けてくる。
そして少し手前で立ち止まると、言った。
「王子様」
うん、王子様だね。君の兄は。
それで、なぜ僕の前に来るの?
僕はしがない伯爵家子息だよ。どこかの国の王子様でもないよ。
その晩、宮廷の侍女の間に、美しいお話が広まる。
夕暮れ時の落日の光の中、美しい少年が高貴な美少女に、出会う。時が止まったかのように見つめ合う二人。
その先の物語を、私たち王宮の侍女は、リアルタイムで見れるのよ!
キースの性格を見抜いていて、娘の性格も知っている両陛下は鼻で笑った。
ジョンは面白がっていたが、これを知れば、二度と遊びに来なくなるとわかっていたので、黙っていることにした。
次の週からは、何の遠慮もなくなった王子様が、頻繁に僕の部屋にやってくる。
仕方がない。なぜか僕たちはお友達なのだ。
ジョン王子の同室の面々とも打ち解け始め、ランチはいつも十人くらいで食べるようになっていった。
食堂で働いている女性はベスと名乗った。僕が二歳くらいになるまで伯爵邸で働いていたそうだ。
母とも仲が良かったらしい。
今度じっくり、話を聞かせてもらう約束をしている。
上級生にも、ハッピーと気やすく声をかけられる。
上級生と仲良くなると、テストの山を教えてもらえるという特典がついてくる。これがとってもありがたい。
皆でノートを回し読みした結果、その全員が結構良い点を取ることができた。
おかげで僕の人気も更に上がり、入学前に考えていたのと、真逆の学園生活になっている。
1回目のテストが終わった頃、家から週末に帰ってこいと手紙が届いた。ここ最近、テスト勉強と、学友たちとの交流で忙しくて、帰っていなかったのだ。
テストも終わったことだし帰省することにし、ぐずる王子様を撒いて帰って来た。
家に着くと、前回同様、大騒ぎで迎えられたが、今度は人数が増えている。
構成からいって、母の両親と伯父かな、と思ったら、やっぱりそうだった。
彼らが名乗った後で、僕も名乗った。
「はじめまして。キース・ゲートです」
祖母が、まあ、と言って扇子で口元を隠した。
「子供の頃のソフィとグレッグの声を足したみたい。まだ声替わりしていないものね。
嬉しいわ。あなたが子供の内に、また会えるなんて思ってもいなかった」
祖父は黙っている。
伯父も黙っている。
無口な質なんだな。それはありがたい。
エントランスから場所を移し、応接間で思い思いに座ってから、お互いを改めて観察した。
それから、ゲート家の祖父が、今日までの経緯を話してくれた。
「モートン侯爵家子息夫人、つまりお前の母親が、ランス伯爵家に行って、お前に会いに行って欲しいと頼んだそうだ。庭から忍び込んできたその日、初めて真直ぐお前を見る事が出来たと言っているそうだよ」
ふ~ん。何でだろう。憎んでいると言っていたのに、難しすぎて僕にはわからない。
やはり、母は謎の塊だ。
ランス伯爵が、気遣わしげに僕を見ている。他の大人たちも同じくだ。
この際だから、そのまま聞いてしまおうと思った。
「僕の事を憎んでいると言っていたので、何でそうなるのか、さっぱりわかりません」
伯父のグレッグが、お前素直に育ったな、と言って笑った。
「それは、そうだろう。わかったらおかしいよ。
つまりだな、ソフィからお前への拒絶感が消えたんだ。今はもう大丈夫だってことさ。だからって急に母親面する気もない。でも、祖父母や伯父の私達は付き合いを再開してくれってことだ。わかるかい?」
「解りやすいです。グレッグおじさんて頭いいですね」
皆がほっとしたように笑い出した。
「そうだよ。こいつは口が立つのを買われて、外交官の仕事をしているんだ」
「よかった。王太子夫妻に、グレッグおじさんに性格が似ているって言われたから、どんな人なのか気になっていたんです」
「王太子夫妻と会ったのかい? どこで?」
ゲート家の祖父母も驚いている。そういえば、話していなかった。
なるべく近付かないようにすると言った手前、バツが悪いが、黙っていてもいずれ知れてしまうだろう。
「すみません。ジョン王子に誘われて家に行ったら、四人でお茶をすることになって、そこでちょっと話しました」
「会ってごらんなさいよ。ソフィの許しが出たなら、あちらのご家族も会いたいはずよ。
グレッグは特にね。あなたが3歳になるまで、でれでれだったんですもの。そのうち、あちらから何か言ってくるわ」
変わり者一家との交流。それも気が進まない。社会に出るというのは面倒なものだ。
ずっと静かだったジョン王子が、それじゃあ、馬車まで送るよ、と言って先に立った。後ろについて花園の中を歩いて行く。
その先に小さい女の子が侍女と二人で花を摘んでいた。
「リデル、もう薄暗くなってきたから、部屋に戻りなさい」
ジョン王子が声を掛けると、女の子がぴょんと立ち上がった。振り向くと、お兄様ーと言いながらこっちに駆けてくる。
そして少し手前で立ち止まると、言った。
「王子様」
うん、王子様だね。君の兄は。
それで、なぜ僕の前に来るの?
僕はしがない伯爵家子息だよ。どこかの国の王子様でもないよ。
その晩、宮廷の侍女の間に、美しいお話が広まる。
夕暮れ時の落日の光の中、美しい少年が高貴な美少女に、出会う。時が止まったかのように見つめ合う二人。
その先の物語を、私たち王宮の侍女は、リアルタイムで見れるのよ!
キースの性格を見抜いていて、娘の性格も知っている両陛下は鼻で笑った。
ジョンは面白がっていたが、これを知れば、二度と遊びに来なくなるとわかっていたので、黙っていることにした。
次の週からは、何の遠慮もなくなった王子様が、頻繁に僕の部屋にやってくる。
仕方がない。なぜか僕たちはお友達なのだ。
ジョン王子の同室の面々とも打ち解け始め、ランチはいつも十人くらいで食べるようになっていった。
食堂で働いている女性はベスと名乗った。僕が二歳くらいになるまで伯爵邸で働いていたそうだ。
母とも仲が良かったらしい。
今度じっくり、話を聞かせてもらう約束をしている。
上級生にも、ハッピーと気やすく声をかけられる。
上級生と仲良くなると、テストの山を教えてもらえるという特典がついてくる。これがとってもありがたい。
皆でノートを回し読みした結果、その全員が結構良い点を取ることができた。
おかげで僕の人気も更に上がり、入学前に考えていたのと、真逆の学園生活になっている。
1回目のテストが終わった頃、家から週末に帰ってこいと手紙が届いた。ここ最近、テスト勉強と、学友たちとの交流で忙しくて、帰っていなかったのだ。
テストも終わったことだし帰省することにし、ぐずる王子様を撒いて帰って来た。
家に着くと、前回同様、大騒ぎで迎えられたが、今度は人数が増えている。
構成からいって、母の両親と伯父かな、と思ったら、やっぱりそうだった。
彼らが名乗った後で、僕も名乗った。
「はじめまして。キース・ゲートです」
祖母が、まあ、と言って扇子で口元を隠した。
「子供の頃のソフィとグレッグの声を足したみたい。まだ声替わりしていないものね。
嬉しいわ。あなたが子供の内に、また会えるなんて思ってもいなかった」
祖父は黙っている。
伯父も黙っている。
無口な質なんだな。それはありがたい。
エントランスから場所を移し、応接間で思い思いに座ってから、お互いを改めて観察した。
それから、ゲート家の祖父が、今日までの経緯を話してくれた。
「モートン侯爵家子息夫人、つまりお前の母親が、ランス伯爵家に行って、お前に会いに行って欲しいと頼んだそうだ。庭から忍び込んできたその日、初めて真直ぐお前を見る事が出来たと言っているそうだよ」
ふ~ん。何でだろう。憎んでいると言っていたのに、難しすぎて僕にはわからない。
やはり、母は謎の塊だ。
ランス伯爵が、気遣わしげに僕を見ている。他の大人たちも同じくだ。
この際だから、そのまま聞いてしまおうと思った。
「僕の事を憎んでいると言っていたので、何でそうなるのか、さっぱりわかりません」
伯父のグレッグが、お前素直に育ったな、と言って笑った。
「それは、そうだろう。わかったらおかしいよ。
つまりだな、ソフィからお前への拒絶感が消えたんだ。今はもう大丈夫だってことさ。だからって急に母親面する気もない。でも、祖父母や伯父の私達は付き合いを再開してくれってことだ。わかるかい?」
「解りやすいです。グレッグおじさんて頭いいですね」
皆がほっとしたように笑い出した。
「そうだよ。こいつは口が立つのを買われて、外交官の仕事をしているんだ」
「よかった。王太子夫妻に、グレッグおじさんに性格が似ているって言われたから、どんな人なのか気になっていたんです」
「王太子夫妻と会ったのかい? どこで?」
ゲート家の祖父母も驚いている。そういえば、話していなかった。
なるべく近付かないようにすると言った手前、バツが悪いが、黙っていてもいずれ知れてしまうだろう。
「すみません。ジョン王子に誘われて家に行ったら、四人でお茶をすることになって、そこでちょっと話しました」
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