レスト:ランプ

昔懐かし怖いハナシ

文字の大きさ
上 下
2 / 18
エピソード 失われた記憶

開店のきっかけ

しおりを挟む
 こんなレストランの話があった。
 この話は本になるほどだったが、その本はあまり知られていない。また、その原作者もいない。本当に起こった話なのか、作り話なのか、今になってはわからない。

 ~出会い~
 ある男の人がいた。その人は、とにかくお金がが欲しかった。しかも、何もかも人が持っている物が欲しくてたまらない性格だった。そのため、裏では、窃盗や強盗などしていて暮らしていた。だが、仕事はしっかりしていた。
 休日の日、仕事の疲れか、精神的に疲れていた。その日は一日中、ムカムカしていた。
 男は、昼にテレビで気分を紛らわそうとした。すると、テレビには、隣の家に住んでいる夫婦の妻の方が持っていた、首飾りの宝石が出ていた。とても高く、無駄遣いをする男の人にとって、払える額ではなかった。ただ、コツコツ貯めれば買えるぐらいだった。
 男は、いつもの「欲しい」という、欲望が強くなった。
「どうしても、欲しい。」
 そうなれば、自分では止められなかった。
 隣の家に忍び込む準備を始めた。何回かは、我に返って止めようと思ったが、
「やっぱり、欲しい。」
 という気持ちが勝ち、とうとう、隣の家の前に来てしまった。
 どうせいるんだろうな、と思いつつも夫婦は居なかった。呼び鈴を鳴らしても出てこなかった。しっかり庭に入り、物音がするのが聞こえなかったので、やっぱり居ないだろうと思った。
 開いている窓から、忍び込んだ。どうやら、散歩に出かけているらしい。いつも、そうだった。
 すぐに、その首飾りは見つかった。これを売れば、いい値段がするのだろうか。希望に胸を膨らませ、それを盗んだ。男の右手には刃物、左手には首飾り。いちよう、脅すために持ってきた刃物は、使わずにすむだろう。そう思った。
 すると突然、音もなく家の主人…夫がその部屋に入ってきた。視線を感じ、男は振り向いた。夫は、びっくりすることなく、ただ睨んでいた。
 男は、突然の事ですごく戸惑った。何も言わずに立っていた夫に、このまま何もせず捕まるのは嫌だった。また、顔も見られていた。ただ、そんな事は考える余裕はなかった。男は、持っていた、刃物で脅した。
「もう、こんな事するのやめないか?お前も辛いだろう。今なら、警察には言わない。」
 今までに犯した、罪を見透かすようだった。そう慈悲のある話をした。
「あぁ、分かった。悪かった。」
 夫は、もう一つ言った。
「困ったら、お互い様さ。」
なんだか、人ではないように感じられた。こんな事があるのだろうか。なんか狙いがあるのではないか。半信半疑だった。
 なんか恐い。優しくて逆に裏切られるかもしれない。そう思ったときは、刃物に赤いものがついていた。彼の胸にも同じ色の、ものが滴っていた。
 気がついた時は、遅かった。彼は、目を天井にやりながら、もう何も感じていないような表情で、倒れていた。逃げたくても、足が震えて動かない。そのまま、気を失った。
 
 ~開店~
 気がついたのは、夕方、赤い夕日が傾いている頃。ここは、森の中だった。あまり、多くは茂っていなかったが、少しだけ薄暗かった。
 「??」
 辺りを見ながら、頭を整理しようとしたが、分からない。どうしたんだろうか?
 すると、倒れたはずの夫がこちらに近づいてくるではないか。
 良かった。どうやら生きていたみたいだ。謝らないといけないな。そう思ったが、木の影を通り過ぎた所から、その顔は別の人になっていた。そう、夫ではなかった。知らない女の人だった。
「あなたは、人をどこまで不幸にさせるのですか?」
今までの犯罪の数を知っているのだろうか。
「誰だよ?あんたは?」
何も答えなかった。
「あなたは、本当に救いのない人だった。良い道を与えようとしたのに、それを壊した。もう、あなたにいい未来はないかもしれない。」 
あぁ、この人は男に優しく導こうとしてくれた。だが、男はそれを裏切るようにしてしまった。
「私は、そんな人を導くのを、目的としています。」
そう言って、すっと突然現れた、木造りのレストラン【未来予兆]にゆっくり近づいていった。聞いたことない名前だった。

 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

児童絵本館のオオカミ

火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。

コボンとニャンコ

魔界の風リーテ
児童書・童話
吸血コウモリのコボンは、リンゴの森で暮らしていた。 その日常は、木枯らしの秋に倒壊し、冬が厳粛に咲き誇る。 放浪の最中、箱入りニャンコと出会ったのだ。 「お前は、バン。オレが…気まぐれに決めた」 三日月の霞が晴れるとき、黒き羽衣に火が灯る。 そばにはいつも、夜空と暦十二神。 『コボンの愛称以外のなにかを探して……』 眠りの先には、イルカのエクアルが待っていた。 残酷で美しい自然を描いた、物悲しくも心温まる物語。 ※縦書き推奨  アルファポリス、ノベルデイズにて掲載 【文章が長く、読みにくいので、修正します】(2/23) 【話を分割。文字数、表現などを整えました】(2/24) 【規定数を超えたので、長編に変更。20話前後で完結予定】(2/25) 【描写を追加、変更。整えました】(2/26) 筆者の体調を破壊()3/

【完】ノラ・ジョイ シリーズ

丹斗大巴
児童書・童話
✴* ✴* 母の教えを励みに健気に頑張る女の子の成長と恋の物語 ✴* ✴* ▶【シリーズ1】ノラ・ジョイのむげんのいずみ ~みなしごノラの母の教えと盗賊のおかしらイサイアスの知られざる正体~ 母を亡くしてみなしごになったノラ。職探しの果てに、なんと盗賊団に入ることに! 非道な盗賊のお頭イサイアスの元、母の教えを励みに働くノラ。あるとき、イサイアスの正体が発覚! 「え~っ、イサイアスって、王子だったの!?」いつからか互いに惹かれあっていた二人の運命は……? 母の教えを信じ続けた少女が最後に幸せをつかむシンデレラ&サクセスストーリー ▶【シリーズ2】ノラ・ジョイの白獣の末裔 お互いの正体が明らかになり、再会したノラとイサイアス。ノラは令嬢として相応しい教育を受けるために学校へ通うことに。その道中でトラブルに巻き込まれて失踪してしまう。慌てて後を追うイサイアスの前に現れたのは、なんと、ノラにうりふたつの辺境の民の少女。はてさて、この少女はノラなのかそれとも別人なのか……!? ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴*

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

マサオの三輪車

よん
児童書・童話
Angel meets Boy. ゾゾとマサオと……もう一人の物語。

そうして、女の子は人形へ戻ってしまいました。

桗梛葉 (たなは)
児童書・童話
神様がある日人形を作りました。 それは女の子の人形で、あまりに上手にできていたので神様はその人形に命を与える事にしました。 でも笑わないその子はやっぱりお人形だと言われました。 そこで神様は心に1つの袋をあげたのです。

大事にしてよ……

風間義介
児童書・童話
ケンくんは学童に通う小学生。 学童は自分のおうちにない、いろんなおもちゃでいっぱい。 けど、乱暴に遊んでいるから、いつもおもちゃをぼろぼろにしちゃう。 そのことを何度も先生たちに注意されるけど、ケンくんは無視して今日も乱暴な使いかたをして遊んでいた。 ある日の夜。 ケンくんはぼろぼろにしちゃったおもちゃたちの夢を見て……

シャルル・ド・ラングとピエールのおはなし

ねこうさぎしゃ
児童書・童話
ノルウェジアン・フォレスト・キャットのシャルル・ド・ラングはちょっと変わった猫です。人間のように二本足で歩き、タキシードを着てシルクハットを被り、猫目石のついたステッキまで持っています。 以前シャルル・ド・ラングが住んでいた世界では、動物たちはみな、二本足で立ち歩くのが普通なのでしたが……。 不思議な力で出会った者を助ける謎の猫、シャルル・ド・ラングのお話です。

処理中です...