風流にみゐる

昔懐かし怖いハナシ

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おかのかみ

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「ちょっと来てほしい。」
おかのかみは、自分の部屋へ案内してくれた。
「お礼をしたい。」
そう言うと、箱から高価そうな楕円形の小さい金をもらった。そこには、字が彫ってあった。
「いいの?高そうだけど。」
竹田は心配した。
「いいんだ。この玉と比べたら。
 それに、売れば高い。もし困ったとき、使ってくれ。」
「ありがとう。」
竹田は大事にケースごと受け取った。
「では、ご飯食べましょ。もう作っています。」
「お腹空いたー。」
ひなは、畳に座った。あの恐怖はもうなかった。今力が抜け、安心した。
 しばらくすると、おかのかみの部屋に、朝ご飯が運ばれてきた。ご飯から湯気がたっており、質素ながらも美味しそうだった。
「今日は、都を案内しようか。」
「いいの?」
「自分の時代に帰れるまで、どうなるかわからないからから、知っていたほうがいい。」
そう言うと、竹田は食べるスピードが早くなった。
「早くしろよ。」
「急がなくていいのに。」

 四人はご飯の後、主人に会いに行った。
「お父様、都を案内してまいります。」
「わかった。私は、はなとお母さんのところへ会いに行く。留守にする。」
「分かりました。いってらっしゃい。」
後で知ったことだが、この時代は、男の人が妻の家へ行くのが主流らしい。
 三人は、あの牛車に乗り街を見て回った。貴族の家は、みんな大きく立派だった。
 ある家は、家来が多く周りを囲んでおり、牛車が多くあった。
「ここに住んでいる女性は、美しいらしい。だから、みんな一目見ようと会いに来てるんだ。
 あ、天皇様も来てる。」
金色に一際目立つ牛車を見た、おかのかみは少し興奮気味だった。
「少し都を出ましょうか。」
その先へ真っ直ぐ進むと、そこは畑が広がっていた。農民は一生懸命作物を育てていた。
 平らではない道が続き、そこを抜けると、林となっていた。
「ちょっと休憩しましょう。」
おかのかみと三人は、不安定な車から慎重に降りた。
「いつもここで妹と遊ぶんです。」
「仲いいんだね。」
ひなは羨ましく思った。
「仲は良くないんですか?」
「私の兄はね、文句しか言わない。それにだらしないし、頭悪いし。」
「でも、大切なたった一人の兄です。
 私の妹も、結婚して幸せになって欲しい。」
「いい兄妹じゃん。」
竹田は感心した。ひなは、そうね、と言い、木の上を見た。
 すると林の奥へ入る、身なりの悪い女の人がいた。手にはぼた餅を持っていた。
「何してるんだろう。」
「行ってみよう。」
気になった竹田は、一人あとを追いかけた。仕方がないので、他の三人もついていくことにした。
 

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