風流にみゐる

昔懐かし怖いハナシ

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赤い玉

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「おはよ!ひな。」
昨日の怯えた様子はどこへ行ったのだろう。朝になると、元気になっていた。
「あぁ。」
「竹田君もおはよ!」
竹田はあまり眠れなかったようだった。
「夜さ、何かあった?」
竹田は聞いた。
「あのね…。」
目をこすり起きた私は、深夜の出来事を伝えた。夢か、または現実か分からなかったがとりあえず話した。
「そうだったのか。母親が。」
「怖かった。」
「そういえば、その玉は?」
私の右手の中には赤い玉があった。冷たくて、ガラスだった。ビー玉?のようだった。
「ブレスレットもない。ひなが言ってた事は、事実だ。それを、あの兄妹に、渡さなければ…。」
「うぅ。」
私は、どっと疲れが出て、涙も自然に流れてしまった。そして私は、まやに抱えられた。
 初めての心霊体験だった。
「よく寝られましたか?」
そこに、兄妹が来た。
「あの…。」
竹田は、聞いたことを伝えた。最初は、驚いたがおかのかみは心当たりがあるようだった。
「お父様に話そう。」
私は、泣き止み涙を拭いた。
 三人は冷たい廊下を裸足で歩いた。日はもう出ていた。大きな真っ青な空だった。
「おはようございます。」
おかのかみ達は、男の部屋へと入った。私達は床に足をつき、廊下で待った。
「入っていい。」
「失礼します。」
そう言って、部屋へと入った。兜や刀が枕元にあり、物騒だなぁと思ったが、竹田はかっこいいと一言を漏らしていた。
「ひな様が…。」
おかのかみはそのまま出来事を話した。そして最後に、
「私のお母様ですよね。」
そう聞いた。
「そうだ。お前が、まだ四の頃病気で死んだんだ。お前とはなはあの人との間に出来たんだ。」
少し間を起き再び、話した。
「渡された玉というのは、あの人の家で伝わる物だ。二つしかない、一つは私が貰った。」
引き出しの中から小さな袋を取り出し、その中から緑の玉が出てきた。
「そしてもう一つ。それは、あの人が持っていた。今は墓場にあると聞いた。
 それを渡したということ、それはおそらく今でもお前達を見守っているという事だ。」
「そうだったのですか。」
おかのかみは悲しそうだった。


 奥のふすまが急に開いた。そして強い香りが部屋中に舞った。
「どうしたのですか?」
そこに、美しい女性が立っていた。何枚も服を重ね、着ていた。見た目で身分の高い方だと思った。
「はじめまして。」
私は挨拶をした。
「話は聞いています。大変でしたね。」
「こちらは、私の妻だ。」
「え?」
まやは驚いてしまった。竹田は、
「この時代は、一夫多妻だよ。」
「あ、そうか。」
すぐに納得した。
「彼らが、夜あの人に会ったそうだ。」
「まさか。」
その人も信じらなさそうだったが、すぐに玉を見て信じた。私らは、まだ信じられなかったが。
「この玉、返すよ。おかのかみが、お守りとして持っとかないと。」
「御守り?」
「そう。ずっと守ってくれると思うよ?」
私は、おかのかみの小さな手に握らせた。
「…。有り難くお受けします。これから持っておくよ。」
女の人が、布の袋を差し出した。
「この中に入れなさい。」
「はい。」
そう言い、おかのかみはその中に入れ、首に掛けた。これで、毎日ずっと持っておくことができる。
「私もお守り、持ち歩こうかな…」
私は、思わずそう溢した。
「私も一緒に持つよ。」
まやはそれを聞いていた。







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