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処方
辛い写真
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「…できれば精神患者妖怪の類じゃないのがいいな~…ああいうの疲れるし、いつもは?って顔される。」
「あの、すいません。」
「あっ!はい。今日はどういったご要件で?」
脳内検索合致恐怖症
「いや…いや…」
「その子?」
「はい。この子、今までに見た情景と、今見た情景が合致することが怖いらしくて、ここに精神科医がいると聞いて…」
「私精神科医じゃ…まぁいいけど。とりあえずそっちの扉行って。」
…
「ここ…見たことない…」
「過去にトラウマになったこととかあるの?」
「誘拐だと思います。」
「誘拐?」
「ええ…」
「ああ。この子には耳栓してるので。」
「いつのまに?まぁ…この子、誘拐されて、性的暴行を加えられたらしくて…」
「ゲイの犯人…」
「その際にいろんなところを見てきたらしく、その光景全てがトラウマになって…」
「例えばどんなところ?」
「ショッピングモールのエスカレター前、病院前、大通り、山から見た街、」
「色々行ってるな。」
「でも、この子にとってはとんでもないトラウマだそうです。」
「それが見えるとこでヤラれたとかか?確かに、精神的に残るのは当たり前だ。しかし、こちらとしては対処法が少ない。そっちでできることのほうが多いかもしれない。…そういえば、ずっと耳栓しててもなにも感じないんだな。」
「いつもそうですが、それほど病んでしまっているようで…外には出たがらないし、食事もまともに通らない。トイレに行くのも少し躊躇するので、ほんとにギリギリレベルになっていくんです。」
「極限状態か。この状態になってからどれくらい?」
「1ヶ月です。流石にもうこっちが耐えられない。学校にも行けてませんし。」
「会話はできる?」
「家ならなんとか。」
「友達とか、その他の人とは話せる。」
「このとおりです。」
「家ならってのは?」
「まだわかりません。」
「そうか。あら治療でいい?」
「…はい。」
「じゃあ…えと…このへんの…これ。この薬を飲んでもらう。内容としては、一回全部思い出して、全部忘れるっていうもの。」
「その部分だけ?」
「だけ。ただし、その時の記憶は一度完全に思い出されるから、精神的に来るものがある。」
「それでもきっと、この子が今より楽になれるのなら。」
「わかった。これ、飲ませてね。多分私無理だから。」
「はい。すまん…おい…」
「う…」
「これ、飲んでくれ。」
「…!…いや…」
「…薬にもあれが?」
「飲まされた…」
「強制してみるべきですか?」
「それをしたら、思い込みご勝つかもしれない。」
「思い込み?」
「人って思い込み体をある程度変えられる。効果のない薬を効果があると思いながら飲めば効果が出ることもある。」
「お家で飲んでください。粉状にして出しますので。」
「わかりました。」
「家で嫌な記憶と重なって暴れる可能性がある。大事な物から少し離れたところとかで。」
「はい。今日はありがとうございました。以後、報告します。いつなら…」
「いつでもいいよ。」
「ありがとうございます。」
………家
「飯、置いとくぞ。」
「うん。ありがと。」
「…許してくれ。医者いわく、すぐだから。」
…
あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!
…
「あの子、大丈夫なの?」
「大丈夫のはずだ。きっと…この…悲鳴がなくなれば…降りてくるはずだ…」
「まだ捕まらないのかしら。あの男…」
「情報が欲しいところだね。」
………病院
「あら。結果あった。」
「うん。ありがと。」
「喋れるレベルなら大丈夫そうだね。」
「ありがとうございます。本当に。」
「もう何が怖かったかはわかんなくなって、とっても楽になった。」
「それは良かったよ。本当に。」
「でも、体がまだ覚えてるらしくてね。知らない男の人に話しかけられるのが苦手なんです。まぁそれは、おいおい治していきますが。」
「うん。」
「それがいい。精神だけなら原因をすべて完全に忘れればいけることも多いが、体もとなると厄介だ。頑張ってくれ。」
「うん。ありがとね。先生。」
「お子さんかわいいね。」
「あっ、可愛いも少し禁句なんですよ。」
「おっとすまん。」
「ゾクッとした…」
「ちなみに。お子さんの元の病名は嫌景合致恐怖症。嫌な景色と見てる景色がある程度一致したときに恐怖を感じるもの。トラウマを景色といっしょに覚えてしまう事例がある。再発することもあるから、気をつけてね。」
「わかりました。それでは。」
「お大事に。目離すなよ。」
「あの、すいません。」
「あっ!はい。今日はどういったご要件で?」
脳内検索合致恐怖症
「いや…いや…」
「その子?」
「はい。この子、今までに見た情景と、今見た情景が合致することが怖いらしくて、ここに精神科医がいると聞いて…」
「私精神科医じゃ…まぁいいけど。とりあえずそっちの扉行って。」
…
「ここ…見たことない…」
「過去にトラウマになったこととかあるの?」
「誘拐だと思います。」
「誘拐?」
「ええ…」
「ああ。この子には耳栓してるので。」
「いつのまに?まぁ…この子、誘拐されて、性的暴行を加えられたらしくて…」
「ゲイの犯人…」
「その際にいろんなところを見てきたらしく、その光景全てがトラウマになって…」
「例えばどんなところ?」
「ショッピングモールのエスカレター前、病院前、大通り、山から見た街、」
「色々行ってるな。」
「でも、この子にとってはとんでもないトラウマだそうです。」
「それが見えるとこでヤラれたとかか?確かに、精神的に残るのは当たり前だ。しかし、こちらとしては対処法が少ない。そっちでできることのほうが多いかもしれない。…そういえば、ずっと耳栓しててもなにも感じないんだな。」
「いつもそうですが、それほど病んでしまっているようで…外には出たがらないし、食事もまともに通らない。トイレに行くのも少し躊躇するので、ほんとにギリギリレベルになっていくんです。」
「極限状態か。この状態になってからどれくらい?」
「1ヶ月です。流石にもうこっちが耐えられない。学校にも行けてませんし。」
「会話はできる?」
「家ならなんとか。」
「友達とか、その他の人とは話せる。」
「このとおりです。」
「家ならってのは?」
「まだわかりません。」
「そうか。あら治療でいい?」
「…はい。」
「じゃあ…えと…このへんの…これ。この薬を飲んでもらう。内容としては、一回全部思い出して、全部忘れるっていうもの。」
「その部分だけ?」
「だけ。ただし、その時の記憶は一度完全に思い出されるから、精神的に来るものがある。」
「それでもきっと、この子が今より楽になれるのなら。」
「わかった。これ、飲ませてね。多分私無理だから。」
「はい。すまん…おい…」
「う…」
「これ、飲んでくれ。」
「…!…いや…」
「…薬にもあれが?」
「飲まされた…」
「強制してみるべきですか?」
「それをしたら、思い込みご勝つかもしれない。」
「思い込み?」
「人って思い込み体をある程度変えられる。効果のない薬を効果があると思いながら飲めば効果が出ることもある。」
「お家で飲んでください。粉状にして出しますので。」
「わかりました。」
「家で嫌な記憶と重なって暴れる可能性がある。大事な物から少し離れたところとかで。」
「はい。今日はありがとうございました。以後、報告します。いつなら…」
「いつでもいいよ。」
「ありがとうございます。」
………家
「飯、置いとくぞ。」
「うん。ありがと。」
「…許してくれ。医者いわく、すぐだから。」
…
あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!
…
「あの子、大丈夫なの?」
「大丈夫のはずだ。きっと…この…悲鳴がなくなれば…降りてくるはずだ…」
「まだ捕まらないのかしら。あの男…」
「情報が欲しいところだね。」
………病院
「あら。結果あった。」
「うん。ありがと。」
「喋れるレベルなら大丈夫そうだね。」
「ありがとうございます。本当に。」
「もう何が怖かったかはわかんなくなって、とっても楽になった。」
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「でも、体がまだ覚えてるらしくてね。知らない男の人に話しかけられるのが苦手なんです。まぁそれは、おいおい治していきますが。」
「うん。」
「それがいい。精神だけなら原因をすべて完全に忘れればいけることも多いが、体もとなると厄介だ。頑張ってくれ。」
「うん。ありがとね。先生。」
「お子さんかわいいね。」
「あっ、可愛いも少し禁句なんですよ。」
「おっとすまん。」
「ゾクッとした…」
「ちなみに。お子さんの元の病名は嫌景合致恐怖症。嫌な景色と見てる景色がある程度一致したときに恐怖を感じるもの。トラウマを景色といっしょに覚えてしまう事例がある。再発することもあるから、気をつけてね。」
「わかりました。それでは。」
「お大事に。目離すなよ。」
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