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処方
ニャンコスパイラル
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「あの…ここって精神科もやってますか?」
「ええ。やってますよ。的には通院が必要になりますが。」
「それでも、お願いします!娘が…」
視線写し絵症
平日のお昼であったが、小学生ほどの女の子とその母親がやってきた。
「ここ…猫いない?」
少女は怯えきっていて、辺りを何度も見回していた。
「いないよ。大丈夫。」
先生に頭を撫でられ、少し落ち着いた様子を見せた。
「この通り、ずっと猫のことを気にしていて。いつも周りに猫がいて、こっちをずっと見てきているって、どこに行っても、どんなときでもって。」
母親の深刻そうな顔は見てて辛いものがあった。
「たしかに精神病の類か…猫、怖いの?」
「うん…怖い…ずっと見てく…!」
女の子は母親の手を切り、母親の前に行き抱きついた。
「いる…ドアの前…」
いまのにも泣きそうに震える声。
そんな女の子に、先生は
「その猫、ちゃんと見てみたかい?」
と質問した。
「いや…見てない…怖いもん…」
母親のお腹に顔を当てながら、嫌がった。ほぼ泣いている状態だった。
「少し荒治療になりますがいいですか?」
「…」
「いやだ…いやだ…」
「少しずつは…」
「わかりました。そうしましょう。とりあえず、こっち来て。」
先生は2人を診察室へ誘導した。
「ほら。座って。」
「う…ん…」
「離れられないね。」
「…ん…」
「どおします?完治、または精神病の克服。どっちがいいでしょう?」
「どういった違いが?」
「完治はその名の通り。精神病の克服は…この子でいいますと、見てくる猫が可愛く見えて、もう悩む必要がなくなるづて感じですかね。」
「…」
母親は女の子をみて、少し悩んだ。
「…完治で、お願いします。」
「わかりました。ゆっくり完治まで、ですね。…ん~…リハビリしてみるしかないでしょう。」
「そうですか…」
「少し、顔出せる?」
「ん…」
女の子はこっちを見てくれた。
「!」
すぐにまた母のお腹に顔を当てた。
「今の、どこから視線が来た?」
「先生の…後ろ…」
「…お母さん、トイレに窓、あります?」
「ええ。」
「完全に閉鎖された空間にいたりしても視線がする?」
「へいさ?」
「窓とか隙間もない部屋。」
「ない。(いたことが)」
「多分ストーカーですね。夜道に気をつけてください。」
「え、ちょ…」
「この子はとても視線を感じ易い体質なのでしょう。家の窓やらなんやら、いろんなところから覗くやばいやつがいる可能性があります。」
「…警察にも行ったんです。でも、視線は感じるまま、異常はなしと…」
「…」
女の子の顔は、みるみるうちに青ざめていく。
「大丈夫。先生がなんとかする。」
女の子は頷き、母親のお腹に顔を埋めた。
「この状態じゃ、精神病とストーカーのダブルでやられちゃうしね。」
「なにか、あてがあるんですか?」
「いくつか。あと質問もいくつか。」
「はい。」
「最近この子はホラー映画を見ましたか?」
「はい。」
「殺人?痛み?普通にスプラッシュ?それとも絶望?」
「絶望…かな?」
「なにからの?」
「…猫…」
「OK。猫に"見える"理由がわかった。」
「え?」
母親はつい女の子をみた。
「あれ…怖かった…」
「視線を感じたのはいつから?」
「えいがを見る、3しゅう間くらい前から…」
「その時はどう感じた?人以外に見られてる感じとか…」
「……なんだか…けものみたいな恐ろしい視線…」
「ん~…多分ちょっと医療から外れたところで期待はずれかもだけど、妖怪の類かな。」
「よう…かい…」
「さっきの視線は違うけど、多分あの窓からも見てる。ちょっとこっち来て。隔離室だから安心だよ。お母さんは少し待ってて。」
「はい…妖怪…」
…
先生は隔離室に女の子を入れ、
「開けちゃだめだよ~。」
とドアを閉めた。
「はい…」
女の子はなにもない空間というのが少しなれなかった。
「なんか…なにも…!」
女の子は視線がして、後ろを振り向く。そこには一匹の猫がいた。
「猫…!」
右にまた一匹
「!」
左にまた一匹…
「………うぅ…」
でも猫はみんな、視線をそらした。どこ向いてるかもよくわからず、一匹の猫が近づいてきた。
「ひっ!」
体を擦り寄せる。
「え?」
すると他の猫たちも近づいてきて、女の子を擦り寄りまくった。
「え?あっ…」
手を出した瞬間にもふもふの毛皮が女の子を虜にしてしまった。
「は…あ…もふもふ~!」
…
「何どっか覗けねーかなって探してんだこの変態野郎!」
先生は叫びながら透明の空間をつかみ、叩きつけた。
「ぐえっ!」
「透明になってもわかるぞ~!私はな~!」
「な…なんで!」
「そういう体質?ともかく!もう人にはつくなよ~…そうじゃねぇと破だ!破!この世から存在を消し飛ばしてやるからな。」
「ひぃぃぃぃぃ!」
透明の何かはそさくさと逃げたようだ。
「妖怪ファイル何番だっけ?590番。通称:チャシャネコ。種族名:透獣。見つけ際できれば意外と弱いし度胸もないし遅い。恐怖心を煽り、それを糧に生きる。はぁ~…面倒なやつだった。」
先生は扉を開けた。
「終わったよ。」
「は…は~い…」
「メロメロだね。ほら帰るよ。」
先生の合掌で猫は逃げた。
「あぁ!」
「猫、怖い?」
「全然!ありがと!」
…
「訳わかんないかもしれないけど、一応治りました。猫への恐怖はもうないし、多分もう視線は基本なくなるでしょう。」
「ほ…ほんとに妖怪だったんですか?」
「え?あぁ。ホントですよ。もう退治しましたので。」
「先生が?」
「そのへんもかじってて。」
母親は呆然としていた。
「窓、開けてみるね。」
先生は診察室の奥の窓のカーテンを開けた。
「視線、する?」
「しない!」
「…良かった。」
…
「ありがとうございました。」
「いえ。お大事に。この子、心の形があやふやだから、メンタル面はもう少し見てあげて。ホラー映画は控えること。それさえあれば、もう基本ないでしょう。」
「ありがと!先生!」
「もう変な鳥居とか潜らないでね。」
「え?」
「あっ、いや、いい。」
「じゃあね!」
「ん。さようなら。」
「ええ。やってますよ。的には通院が必要になりますが。」
「それでも、お願いします!娘が…」
視線写し絵症
平日のお昼であったが、小学生ほどの女の子とその母親がやってきた。
「ここ…猫いない?」
少女は怯えきっていて、辺りを何度も見回していた。
「いないよ。大丈夫。」
先生に頭を撫でられ、少し落ち着いた様子を見せた。
「この通り、ずっと猫のことを気にしていて。いつも周りに猫がいて、こっちをずっと見てきているって、どこに行っても、どんなときでもって。」
母親の深刻そうな顔は見てて辛いものがあった。
「たしかに精神病の類か…猫、怖いの?」
「うん…怖い…ずっと見てく…!」
女の子は母親の手を切り、母親の前に行き抱きついた。
「いる…ドアの前…」
いまのにも泣きそうに震える声。
そんな女の子に、先生は
「その猫、ちゃんと見てみたかい?」
と質問した。
「いや…見てない…怖いもん…」
母親のお腹に顔を当てながら、嫌がった。ほぼ泣いている状態だった。
「少し荒治療になりますがいいですか?」
「…」
「いやだ…いやだ…」
「少しずつは…」
「わかりました。そうしましょう。とりあえず、こっち来て。」
先生は2人を診察室へ誘導した。
「ほら。座って。」
「う…ん…」
「離れられないね。」
「…ん…」
「どおします?完治、または精神病の克服。どっちがいいでしょう?」
「どういった違いが?」
「完治はその名の通り。精神病の克服は…この子でいいますと、見てくる猫が可愛く見えて、もう悩む必要がなくなるづて感じですかね。」
「…」
母親は女の子をみて、少し悩んだ。
「…完治で、お願いします。」
「わかりました。ゆっくり完治まで、ですね。…ん~…リハビリしてみるしかないでしょう。」
「そうですか…」
「少し、顔出せる?」
「ん…」
女の子はこっちを見てくれた。
「!」
すぐにまた母のお腹に顔を当てた。
「今の、どこから視線が来た?」
「先生の…後ろ…」
「…お母さん、トイレに窓、あります?」
「ええ。」
「完全に閉鎖された空間にいたりしても視線がする?」
「へいさ?」
「窓とか隙間もない部屋。」
「ない。(いたことが)」
「多分ストーカーですね。夜道に気をつけてください。」
「え、ちょ…」
「この子はとても視線を感じ易い体質なのでしょう。家の窓やらなんやら、いろんなところから覗くやばいやつがいる可能性があります。」
「…警察にも行ったんです。でも、視線は感じるまま、異常はなしと…」
「…」
女の子の顔は、みるみるうちに青ざめていく。
「大丈夫。先生がなんとかする。」
女の子は頷き、母親のお腹に顔を埋めた。
「この状態じゃ、精神病とストーカーのダブルでやられちゃうしね。」
「なにか、あてがあるんですか?」
「いくつか。あと質問もいくつか。」
「はい。」
「最近この子はホラー映画を見ましたか?」
「はい。」
「殺人?痛み?普通にスプラッシュ?それとも絶望?」
「絶望…かな?」
「なにからの?」
「…猫…」
「OK。猫に"見える"理由がわかった。」
「え?」
母親はつい女の子をみた。
「あれ…怖かった…」
「視線を感じたのはいつから?」
「えいがを見る、3しゅう間くらい前から…」
「その時はどう感じた?人以外に見られてる感じとか…」
「……なんだか…けものみたいな恐ろしい視線…」
「ん~…多分ちょっと医療から外れたところで期待はずれかもだけど、妖怪の類かな。」
「よう…かい…」
「さっきの視線は違うけど、多分あの窓からも見てる。ちょっとこっち来て。隔離室だから安心だよ。お母さんは少し待ってて。」
「はい…妖怪…」
…
先生は隔離室に女の子を入れ、
「開けちゃだめだよ~。」
とドアを閉めた。
「はい…」
女の子はなにもない空間というのが少しなれなかった。
「なんか…なにも…!」
女の子は視線がして、後ろを振り向く。そこには一匹の猫がいた。
「猫…!」
右にまた一匹
「!」
左にまた一匹…
「………うぅ…」
でも猫はみんな、視線をそらした。どこ向いてるかもよくわからず、一匹の猫が近づいてきた。
「ひっ!」
体を擦り寄せる。
「え?」
すると他の猫たちも近づいてきて、女の子を擦り寄りまくった。
「え?あっ…」
手を出した瞬間にもふもふの毛皮が女の子を虜にしてしまった。
「は…あ…もふもふ~!」
…
「何どっか覗けねーかなって探してんだこの変態野郎!」
先生は叫びながら透明の空間をつかみ、叩きつけた。
「ぐえっ!」
「透明になってもわかるぞ~!私はな~!」
「な…なんで!」
「そういう体質?ともかく!もう人にはつくなよ~…そうじゃねぇと破だ!破!この世から存在を消し飛ばしてやるからな。」
「ひぃぃぃぃぃ!」
透明の何かはそさくさと逃げたようだ。
「妖怪ファイル何番だっけ?590番。通称:チャシャネコ。種族名:透獣。見つけ際できれば意外と弱いし度胸もないし遅い。恐怖心を煽り、それを糧に生きる。はぁ~…面倒なやつだった。」
先生は扉を開けた。
「終わったよ。」
「は…は~い…」
「メロメロだね。ほら帰るよ。」
先生の合掌で猫は逃げた。
「あぁ!」
「猫、怖い?」
「全然!ありがと!」
…
「訳わかんないかもしれないけど、一応治りました。猫への恐怖はもうないし、多分もう視線は基本なくなるでしょう。」
「ほ…ほんとに妖怪だったんですか?」
「え?あぁ。ホントですよ。もう退治しましたので。」
「先生が?」
「そのへんもかじってて。」
母親は呆然としていた。
「窓、開けてみるね。」
先生は診察室の奥の窓のカーテンを開けた。
「視線、する?」
「しない!」
「…良かった。」
…
「ありがとうございました。」
「いえ。お大事に。この子、心の形があやふやだから、メンタル面はもう少し見てあげて。ホラー映画は控えること。それさえあれば、もう基本ないでしょう。」
「ありがと!先生!」
「もう変な鳥居とか潜らないでね。」
「え?」
「あっ、いや、いい。」
「じゃあね!」
「ん。さようなら。」
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