話し相手

糸子(イトコ)

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処方

魔法生物

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「うし。患者はもう来そうにないし。…今は"研究者"になろう。」

研究ファイル1.バヂズグヂヂ
「開けてー。」
エンシが後ろの壁に声を掛けると、
「はーい!」
という声とともに壁が開き、いろんなものがある研究室と仁王立ちする人形がいた。
「研究用に部屋変えときました。」
「ん。ありがと。マーシー。」
マーシーは人形屋から買った自立型のお手伝い蜘蛛人形である。
それはいいとして、エンシは右奥の扉に入っていき、生物隔離用ポットを取り出してきた。
「異世界の生物、または人工かつ魔法製の生物…興味がわかないわけ無いだろう?」
ポットの中の黄色い動く液体は、草原の中を蠢いていた。
「監視室で動きを確認だ。マーシー行くぞ。」
「はい!」
エンシとマーシーはポットを部屋中央の大きな机に置き、左奥の扉に入っていった。
「カ•メ•ラ•7~」
監視カメラは画面の大体下半分に草原を映し、左上に洞窟、右上に白い部屋を映し出した。
草原中央には、黄色い液体のようなものがおり、たまに動く様子が見られた。
「こいつの移動したあとには草がない。コイツ自身が消化液を出しながら直接接種。といったところか?空想上のスライムと似て非なる者って感じだな…ってか7時間ずっと日向にいたのか?乾いちまうぞ。水分接種が必要だろうと部屋と洞窟には水があるが、水を必要としない、または草から摂取とかか?にしてもこいつおっそいな。よし、そういえば血液検査をしていない。まず血液があるかどうかも確認できていない。調べるぞ。」
「はい!」
エンシは監視室から出て、机の上のポットを取り、研究室の奥の隔離実験室に置き、遠隔でポットを操作し、中の生物を取り出した。
「少し痛いかもしれんが我慢しろよ~!頼む!」
「はい!」
防護服を着たマーシーはナタを持ち、黄色い液体のような生物の一部を切り取った。
「ーー~~!?!!」
黄色い生物は少し動きが激しくなり、痛みを感じているような仕草をした。そして、黄緑色の液体をあたりに放出した。
「痛覚があるか。全体が動いているし、っていうか痛覚があるということなら一体の生物。神経もある。これは…異世界の生物説が濃厚だな。この液体は…」
「取ってきました。」
「そのペトリ皿に入れてくれ。」
「はい!」
「あと、さっき出てきた緑の液体も少し採取してくれ。万全の状態でな。細胞はあるかな~?」
「わかりました!」
「魔法生物なら細胞はないはず~…本来なら痛みも感じない。いらないし。ん~…」
魔法生物は基本的に、皮膚に外殻エネルギー体を仕込み、脳部分には中枢魔力印と中枢魔力エネルギー体を仕込み、体全体には伝達エネルギー流体があり、情報を様々なエネルギーに変換しながら伝達していくという構造をしている。そのため、細胞はなく、代わりにまっ平らな皮膚ができている。
「んん…まっ平らな皮膚だな。魔法生物確定。なんで痛みなんてあったのかな~?」
伝達エネルギー流体は、99.99999999999999%が魔法でできているために、魔法を解析すれば役割などがはっきりとわかってくる。
「エネルギー流体確認。ちょっと採集して、摩訶分化作業だな。」
摩訶分化作業は、物体状の魔法に自身の魔法で解剖し、よく見てみるという単純な作業だ。
「ん~…」
痛み伝達…生物検知伝達…振動伝達…動作伝達…修復エネルギーもあるな…なに?指令伝達?転移魔法設置伝達もある…
「誰かに作られた偵察用ともの運び用か?」
痛み伝達と繋がって反射嘔吐。防衛反応付きってことか。転移魔法設置もあるから、多分誰かに物を安全に運ぶ指令を受けてる可能性が高いな。たしかに、液体なら動きやすい。音も立ちにくい。さっきの液体、調べなくてもいいかもな。多分食ってた草だろうし。
「取ってきましたー!」
「ありがと。一応そのペトリ皿入れといて。」
「はい!」
「ん…やっぱただの草の汁と石ころだ。」
「え!」
「いろいろデータが取れた。みんなにも報告しよう。タブレット取って。」
「はい!」
「あいつはポットに戻すか。腹減ってるだろうし。」
ちなみにあのポットは、自然環境保管装置。適切な太陽も中にある。生物も入れれて、外のものが任意で出し入れできる。入れられた側からしたら相当嫌だがな。
「よし。ポットにもどしといてくれ。」
「はい!」
「わかんないことあったら、聞くんだぞ。」
「わかりました!」
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