話し相手

糸子(イトコ)

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処方

脆くなんかない

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「あ…あの~」
お母さんは男の子をお姫様抱っこでやってきた。
「…ん?あ…あぁ。すまない。少し寝てしまった。」
「この子、診てもらえますか?薬局ですけど…」

骨折と治りバフ
「ここの薬局が、何でもすぐに治してくれると聞いて…」
「いたい…」
「ここまでお姫様抱っこで?」
「ええ。それしか安全に運べそうになくて。」
「お強いですね。すぐにある程度楽にしましょう。お子さん、お借りしますね。」
お母さんは男の子を医者に手渡しした。
「ありがとうございます。治るといいわね。」
お母さんは言ったが、男の子は少し納得いかなかった。
「えっ?ちょ…早くない?」
「そんなものよ。がまんなさい。」
「え?」

医者は男の子を平たいベットに寝転がせ、
「症状…というか、骨折ね。」
「はい…」
男の子は足を痛そうにさすりながら答えた。
「レントゲン撮るね。」
医者は男の子の足の上をスッと手を振った。
「え?」
横の机のモニターに、足のレントゲンが出てきた。
「どうなってるの?」
「ん~まぁ気にしないで。…みる?」
「いえ、やめときます…」
「あそう。…これは…高所からの落下。かな。」
「あー…まぁ…はい。」
「やっぱり?」
「友達に、骨弱って言われて、腹立って、2階から…」
「なんという…」
「すいません…」
「謝るのは場違い。自分の骨にでも謝りなさい。」
「…」
「よし。痛くないけど一ヶ月かけた治療と、めちゃくちゃ痛いけど一瞬で治る治療。どっちがいい?」
「そ…そりゃ、すぐ治る方…」
「わかった。後悔しないでね。」
「え?」
医者は再び男の子を横たわらせ、折れた足を掴んだ。
「痛っ!」
「あっとごめん。強く握りすぎた。まぁ参考程度にな。今の痛みの約43.7倍の痛みが伴う。」
「は?」
「始めるぞ。」
文に表すのが恐ろしいほどの悲鳴が部屋中を埋め尽くした。きっと、飛行機のエンジン音と同格程の悲鳴であった。
「あっ…あぁ…あ…」
「よく耐えたな。実質耐えれてなかったが。」
「あぁ…あ…あ…」
医者はゆっくり男の子を立たせ、母親のもとに向かわせた。
「あぁ!良かった!治ったのね!ありがとうございます!先生!」
「いえ、一番頑張ったのはこの子ですから。」
「そういえば何してたの?」
「ぅ…ぅ…」
「帰ってから聴いてみてください。今は…ちょっと…放心状態なので。」
「な…何してたんですか?」
「とてつもない痛みの代わりにすぐ治るというのを…」
「あら!そんなのがあるの~!頑張ったわね!帰りは抱っこしてあげるわね。」
「あ。あと、痛みのともに、多分骨密度は上でているので、基本、安心ですよ。」
「良かったわ~。ありがとうございます。さっ、帰るわよ。よいしょ。」
母親は、男の子を担いで帰った。
「母親のほうがたくましそうだ…」
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