話し相手

パフォーマンス

運の尽き

ドアの開く音
雨の日のレストラン…お客は常連が数名いるのみだった。
そこへ、男三人がやってきた。

償いのハンバーグ
「雨の日って好きなのよ～。」
女性の常連さんが店長と湿ったキュウリサンドを食べていた。
「へぇー。」
この常連さんは少しめんどくさいタイプで、店長的には嫌いじゃないがうざい程度である。
「なんでか聞きたい？店長？聞きたい？」
「いや、いい。」
「それはね～…」
「どのみちいうから。」
「しけり具合がちょうどいいから～！はぁ♡はぁ♡」
「カビかよ。ってか性癖キモ。」
そこへ、黒服の男3人が店に入ってきた。
「！」
店長はいつものごとく、来店者表を書かなかった人の前に飛び出した。
「お客さん困るねぇ。それに名前を書いてから席についてもらわないと。」
男たちはポケットに手を入れ、銃を取り出した。そして、真ん中の男が叫んだ。
「俺達は強盗だ！　膝を地に置き、金を出せ！客の奴らも全部だ！」
お客たちは皆驚き、怖がり、肘をついた。
「お前もだよガキ。バイトかなんかか？レジから金を出せ。」
男は、その相手が店長とも知らずに脅迫してきた。
「すまんな。あいにくうちにはレジがない。」
「それでもどっかにあんだろ！いいから出せ！」
男は銃口を店長の額に向けた。
「お前らは客から取れ。」
「はい。」
横にいた男達は客の方へ行った。
「一緒行ってやるよ。金のとこまでな。その間は手を上げろ。」
「お前達本気か？」
「あ？」
店長はやっと目の色を変えた。
「本気じゃなきゃやってねーだろ。」
お客のみなが怯えながら財布を手に取っていた。
「いいからお前は…」
「客に触ったら…腕をへし折る。」
店長は一瞬の瞬きの瞬間、目を赤く光らせた。照明がついたり消えたりを繰り返し、雨の音がさっきよりも強くなった。
お客に手を出そうとした二人の男も手を止めた。
「…ｸｿｯ…何してる！さっさと取れ！」
二人の男は手を震わせながらお客に触った。
「あぎゃあ！ぐあ！あああぁぁぁぁぁ…」
店長がいつの間にか、一人の男の手を掴みながら、恐ろしい方向に曲げており、血が滴った。手を離した瞬間に横腹を蹴り上げ、壁に男は叩きつけられた。
次に、もうひとりの方に行き、足を逆に曲げて倒れたところを思いっきり踏みつけた。
最後に、指揮していた男の元へ行き、腹をおもいっきり殴った倒した。確実に肋骨の何処かが折れていた。
この間約10秒ほどである。
「足が折れたやつ以外はそこのテーブルに座れ。」
３人は怯えきり、足は折られていなくとも動けなかった。
「どおした！早く！」
「…」
口を閉じながら痛む箇所を抑えながら席についた。足の折れたやつは店長が運んだ。
「お前らに償い飯を食わしてやろう。」
店長は裏に行き、ハンバーグ3人前をテーブルにおいた。
いつの間にか点滅していた照明は元に戻り、雨も少し収まった。
「食べな。お前は片腕が残ってるだろ。」
お客たちは財布をしまい、席につき、強盗達の様子を恐る恐る見守っていた。
少し湯気が立つ温かいハンバーグ。デミグラスのかかった美味しそうなハンバーグ。
3人の男たちは恐る恐る少し食べた。
「！いっでぇ！あぁぁ！…」
3人は飲み込んだ途端に折られた箇所を抑え込み、床に横たわった。
「いで…あ、はぁ…」
痛みが収まった時、傷ついていたところを見ると、
「治っ…てる…」
「残りも食いな。痛みはあるが、すぐ治る。」
男たちはハンバーグをまた食べた。痛みはすごいが、肉が、肉汁が、全身をわたって折れた箇所を治していっている感覚がある。なんとなくだが、優しさも感じていた。
お客たちも驚いていた。
「あんたらも食いな。飯が冷めてる。」
お客たちははっとして、強盗を気にしながらまた食べ始めた。
男たちは傷が完治し、ハンバーグを食べ終わった頃、
「どうする？」
店長が隣の席で椅子をグラグラさせながら言った。
「謝って自首するか、また強盗の続きをするか。後者の場合、もう傷は治さない。いいか？」
強盗は椅子から立ち、土下座した。
「すいませんでした…自首…します…」
「…わかった。」
そう言って彼らは、レストランの出入り口に向かった。
「一応言っておくよ。うちは住み込みのバイトOKだ。」
彼らは、
「ありがとうございます。」
そう言って、交番の方向へ向かった。
「こんな雨の中行くとはな。すまなかった。お前達。怖かったな。今回は金を払わなくていいさ。奢りだぜ。」
一同、ほんとに女なのかを疑いながら、店長を称賛の声をあげた。