話し相手

糸子(イトコ)

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相談

あの日また、来てしまった

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は~あれどうしよっかな~…
そういえば、この道…

「あの…こんにちは~…」
「おや、いらっしゃいませ。今日はお一人で?」
「うん。悩み事があって…」

新旧の友
「なにか、お飲みになりますか?」
マスターは私のことを覚えててくれたらしい。
「悩み事の題名言うんで、それでおすすめください。」
なんだそれ?って自分でも思いながら言ってしまった。
「ええ。いいですよ。」
ノリの良い人だ。
「題して、「新旧の友との約束」です!」
ダサい。
「ん~…旧友が遊びに誘ってきたけど、その日は会社の同僚との遊びがあってどっちに行けばいいかわからない。ですね?」
すごい!さすが、色んな人を見ていただけのことはある。知らないけど。
「せいか~い!」
「ずいぶんと気分がよくいらっしゃる。」
「なんか、前来たときに、いい占いしてくれて、帰ったあと、一緒にいた占い師の人を見ると、もっとラフでいいのかなって。」
「そうでしたか。そんなあなたに、「マスカットメモリー」を。」
「マスターのネーミングセンス独特よね。」
「そうでしょうか?このカクテル、飲めばあなたの一番良く知る物語が見られるんです。」
「黄緑きれ~い。」
「まずは一口おのみください。それから、悩み事を詳しく、お聞かせください。」
少しだけ飲んだ。コップに入れすぎた水を縁から少し飲むレベルで少し飲んだ。
「ん…とっても…」
…あれ?この子、小学生の頃、友達だった人…
「懐かしい…」
あー…たしかにこんなふうに遊んでたな~…
「この前…幼馴染の友達から…遊びの約束入って…」
これは…運動会かな?
「でもその日は、会社の同僚と遊びに行く予定で…」
修学旅行のときは話したな~好きな惣菜とか。
「どおしよっかな~…って…」
卒業式…次は中学生…
「なるほど。」
違うクラスになって、たまにしか話さなくなったな~
「それで、どちらと遊ぼうかと…ずいぶん難しい選択を迫られますねぇ~。」
わたし、人見知り激しかったんだよな~。
「そうなの…同僚とは仲良くしたいし、でも、旧友をほっとけないし…」
いわゆる文化祭をやって…楽しかったな~…
「私の率直な意見を言いますよと、旧友を遊ぶのが良いかと。」
また修学旅行で全クラス対抗枕投げ。重症者18名、軽症者39名、後遺症の残る怪我3名だったけど。
「どおして?」
高校…あんまりいい思い出ないな~。
「幼馴染といえる方。なのに、あまり接点がないのでしょう?古き仲というものは大切にしなければ。経験上の話ですがね。」
マラソン大会…きつかったな~
「たしかにね~。同僚とかは、いつでもとはいかなくても、合わせやすいからね~…」
受験…受験…受験…中学のときよりきつかったな~
「ええ。それではそろそろ、」
は!指パッチンの音!
「過去を見て、何を思えましたか?」
「あっはっえとっ…」
幼馴染との思い出がたくさんあった。
そして、指パッチンの瞬間にも、同僚たちとの思い出もあった。
体感…
「わたし、旧友と遊びに行くよ。昔の話をしたくなってきちゃった。」
「さようですか。同僚の方にはなんというつもりですか?」
「急用っていう。それで納得してくれる人たちだから。」
「良かったですね。」
「わたし、もう行くよ。ありがと、マスター。380円。」
「ありがとうございます。また、相談や雑談、お聞かせください。」
「そういやマスター。」
「はい?」
「マスターに幼馴染とかいないの?」
「…」
「あれ?」
「あー…」
「聞いちゃいけなかったやつ?」
「…話すと長くなるので、また今度にいたしましょう。」
「ふふ。期待してるね。」
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