上 下
20 / 26

20 七緒の答え

しおりを挟む

「それでね、あの………」

 圭太の目の前にペタンと座った七緒が、何か言いかけようと口をひらいた、そのとき。

「水無さん! 本郷くん!! 大丈夫ッ?」

 騒ぎを聞きつけた教師の篠宮エリカが、こちらにかけてくるのがみえた。城崎杏奈しろさき あんなが、呼んだらしい。

「あ、はい。大丈夫です。」
「今、窓の下に、糸川先生が行ったんだけど……。」


 篠宮に言われて、痛い尻をさすりながら立ち上がる。倒れていた椅子を起こして登り、窓の下を見下ろした。

「おーい! 本郷くーん!! 大丈夫ですかー?」

 いつも静かな物言いをする糸川にしては意外なほどに、よく通る大きい声で聞いた。


「はい! なんとか……!! 水無はこっちに引き上げました。」

「そうか。良かった。誰も怪我していませんか?」
「俺がケツをちょっと……」
「打ったか?」
「はい。」
「係のことは大丈夫だから、保健室でみてもらってください。水無さんも。」
「分かりましたー。」

 椅子を降りると、少し離れたところで、城崎杏奈がカタカタと震えていた。

「わ…私……あの………」

 七緒と城崎の間に、何があったのかは知らない。でも、窓枠にぶら下がっていた七緒は、ノートを手に持っていた。まるで、それを追いかけて飛び出したかのように。

「わざとじゃ……ないの。」

 城崎が消え入るような声で、「ゴメンナサイ」と謝った。

 圭太と城崎の微妙な緊張感に気づいた七緒が、慌てて、間に入ってきた。

「城崎さんとぶつかって、手に持っていたノートが飛んだの。」

 ぶつかっただけで、窓の外まで飛ぶのかよ、と一瞬、思ったが、七緒がそう言う以上、追及するのはやめた。

 何があったのかは知らないが、流石に城崎杏奈が、他人のノートを窓の外に、わざと放り投げるほど子供だとも、思いたくなかった。

 城崎の目に宿る、不安と怯えと、すがるような僅かな期待。

 それで、ようやく、圭太は気づいた。


 そうか。
 そうだったのか。
 俺は、物凄く鈍かったんだな。

 勝手に、前と同じ女友だちのままでいるんだと思っていたけど、お前はそうじゃなかったんだ。

 圭太は、大きく深呼吸をした。城崎の前で、七緒のほうに一瞬だけ、視線を投げてみせて、


「ごめん。だから。」


 かけられる言葉は、それ以外にない。


 俺は七緒が好きで、ずっと好きで………だから、城崎杏奈に恋愛感情は抱くことはない。

「………うん。」

 城崎は、唇を噛み締めて、小さく返事をした。
 人より色素の薄い大きな目には、涙が溜まっていた。圭太は、それに気づかなかったフリをした。



◆  ◆  ◆


 保健室の外で待っていた七緒に、「もう、いいわよ。」と、養護教諭の市村が声をかけた。

 丸メガネのふくよかな顔で、「どうぞ、水無さんも中に入って。」と七緒に促す。


 圭太が、打ち身の具合を診てもらうということで、ズボンを脱ぐ間、部屋の外に待機してきた七緒だったが、保健室の中に入ると、圭太は、椅子に座っていた。

「本郷、大丈夫だった?」
「お……おう。」
「大丈夫よー。しっかり歩けているし。単なる打ち身。痣は、できると思うけど。」

 圭太の代わりに市村が、書類に何かを書きながら答えた。

「歩くのが辛いようなら、親御さんにお迎えに来てもらうように連絡しましょうか?」
「いえ、大丈夫です。」

 圭太が、少しだけ、モゾモゾと尻を動かして顔をしかめ、「歩けます。」と答えた。

「あら、そう? それじゃ、次は、あなたの番ね。水無さん、椅子に座って。」
「私はどこも、打ったりは………」

 市村は、椅子に座らせた七緒の腕や顔を、ざっと触れて確認する。

「うん。確かに貴女は大丈夫そう。」

 多分、あのぶら下がった窓から落ちていたら、七緒も、多少の怪我はしていただろう。圭太が引き上げて、守ってくれたのだ。

「腕にちょっと、ブレスレットが食い込んだ跡がついているけれど、直に消えるわ。指先は? 痺れたりしていない?」

 七緒は、二、三度、拳を握ってみた。特に痺れも違和感もない。

「はい。大丈夫です。」
「それなら、良いわ。」

 市村が、また別の書類に何かをサラサラと書き付ける。

「二人とも、文化祭が終わるまで、このまま保健室で休んでいてもいいけど、どうする?」

 七緒と圭太は顔を見合わせた。

 圭太の答えは、聞かずとも分かる。そして、七緒も同じ気持ちだった。

「戻ります。」

 二人の返事がユニゾンみたいに、同時に響いた。それが、余程可笑しかったのか、先生はフフフと笑って、

「無理はしないのよ。」


 保健室を出た七緒と圭太は、薄暗い廊下を並んで歩いた。
 保健室は北校舎の一階の一番端にある。文化祭では、ほとんど使われていない棟だから、人通りもなく、静かだった。

 七緒は、隣を歩く圭太の様子をチラリと伺う。

(どうしよう……。)

 自分から、話を切り出すべきだろうか。迷っていると、ふいに、圭太が足を止めた。こちらを見た。目が合った瞬間。

「あのさ、……」
「あの……」

 二人の声が重なる。

「あっ……ごめ………」
「ううん。本郷こそ、何?」
「あ、いや、あのさ………」

 本郷は、落ち着きなく視線を巡らせてから、

「改めて聞くけど、それ……解けたんだよね?」

 七緒が、大事に胸元に抱えていたノートを指差して聞いた。

「それ書いたの……俺だって、分かってるよね?」
「………うん。」

 そう。ちゃんと解けてる。

 答えもわかっているし、それを書いた人のことも。

 9年前、6歳の圭太がくれたノートに書かれていた謎の答え。


・・・・・・・・・・・・・・・

 ボクのオヨメさんになって

・・・・・・・・・・・・・・・


 盛大な告白。
 盛大で、でも、とても一生懸命で、愛らしい。

 圭太は、本当に、小さい頃から、ずっと、七緒のことを好きでいてくれた。想いを告げていてくれた。


 そして今も、また………


 そのことに気づいた七緒は、圭太が遠くに行ってしまうかもしれないと知って、居ても立ってもいられなくなった。だから、思わず、圭太を探しに走りだしたのだ。

 しかし、いざ、目の前にすると、うまく言葉が出てこない。

「あー、ゴメン。俺、別に返事をしてほしいとか、そういうことじゃなくて……」

 黙ってしまった七緒を気遣って、圭太が言った。

「ただ……」

 圭太は、一瞬だけ言葉を探すように間をおいた。真剣な眼差し。深呼吸。


「ただ、あのノートを渡したときから……いや、それより前から、本当に、ずっと、水無のことが好きだった。」

 二度目の告白は、初めてのときのよりも落ち着いて聞けた。圭太の一言一言が、七緒の心に、ストンと入る。

「アメリカに行っても、水無はずっと俺の支えで、ずっと………俺のこと励ましてくれた。俺の心の中で、だけど。」

 圭太が照れたように、視線を反らした。

「あー、ゴメン。上手く言えないや。」

 ワシャワシャと、頭をかく。

「水無は小さい時から、状況や思考を整理するのがうまくて、いつも、俺が困ったとき、上手く相手に伝えられないとき、いつもフォローしてくれただろ?……覚えてないかもしれないけど。」

「私……が?」

 保育園のときの話なのだろうけれど、全然、ピンとこない。

「俺、あっちで、ずっと水無のこと思い出して、考えて、頑張ってた。向こうでは、自分の意見や考えていることを論理的に伝えられないと、シンドイことが多かったから、そういう時は、水無なら、どう言うんだろうって、いつも考えてた。だから、今の俺があるのは、マジで水無のおかげ。」

「そんな……私……違うよ。」

 私は何もしていないよ、と小さな声で呟くのが精一杯だった。


 だって、実際、七緒の力なんてなにもない。

 今の『本郷圭太』があるのは、圭太自身が頑張ったから。

 わかっているのに、そう伝えたいのに………


 七緒は、圭太の言葉が、どうしようもなく嬉しい。


 何か……何か言わないと、と顔を上げたら、突然、圭太が「はぁぁぁぁー。」と、大きく息を吐いた。

「あぁ、やっと言えたぁ。」

 ホッとした顔で、笑った。

「あの日、教室で告ったとき、ホントは、全部、伝えたかった。でも、水無が、全然覚えてないからさ……」

 だから、今、ようやく言えたいことが全部言えたのだと、うなじを触わって言う。少し照れていて、でも、スッキリと爽やかな笑顔で。

「今すぐ、どうこうしてほしいってワケじゃないけど……俺、水無に振り向いてもらえるように、好きになってもらえるように、頑張るから。だから、俺の気持ち知っておいて。」

 言い切ると、突然、くるりと七緒に背を向けた。

「悪いッ。自分で言っといて何だけど、流石に、ちょっと恥ずかしくなってきた。」

 大きな背中が、「……そろそろ、戻るか。」と歩きかけた。

 その瞬間、七緒は思わず、圭太の制服の裾を掴んだ。

「待ってッ!!」
「うわッ!!!」

 七緒に引っ張られ、圭太の足が空を切って、身体が後ろによろける。

「危ねぇ。急に掴むな………」

 圭太が振り返った。
 七緒の手は震えている。多分、顔は真っ赤だ。

「あの……」
「……え?」
「あの、本郷……?」


 駄目だ。
 言いたいことが……伝えたいことが、全然出てこない。

 さっき、せっかく圭太が褒めてくれたのに。七緒は、気持ちを言語化して伝えるのが上手いって、言ってくれたのにーーーなのに、肝心の自分の気持は、纏まらなくて、何も出てこない。

 七緒は、泣きたくなった。

 引き止めたのに、口からは何もでてこなくて、頭の中はグチャグチャで、ただただ、俯いてばかり。

「大丈夫。」

 圭太の両手が七緒の腕をつかんだ。向かい合うように、少し身体を屈めて、視線を七緒の高さに合わせてくれる。

「大丈夫。慌てなくていいから。ちゃんと聞くから、教えて欲しい。水無の気持ち。」

 噛み砕くようにゆっくりと、包み込むように優しく、圭太がいった。
 その目は、まっすぐに七緒を見ている。


 そうだ。

 いつだって、そうだった。

 圭太は、ずっと、ずっと、七緒を見ていた。真っ直ぐに。


 七緒は深呼吸をした。

 ちゃんと、自分の気持ちを言葉にするために。


「最初はね、本郷のこと、ただの有名な同級生だって思ってた。何か人気があるらしいって聞いていたけど……。 2年になって、話すようになったときも、別に何とも思わなかったの。会えば話す男の子ってくらいで。」

「うん。」

「なんなら、2年の終わりから3年の頭……というか、夏くらいまでは、ちょっとムカついていたし。」

「う………うん。悪かった。」

「でも……でもね、本郷と一緒に文化祭実行委員やって、ちょっと見る目が変わった。やりたいことがあって、それに向かって真っ直ぐ、しかも周りを巻き込ながら進む本郷は、かなり………」

 一度、大きく深呼吸。

「かなり、カッコよかったよ。」

 頬は熱い。多分、耳まで真っ赤だろう。それでも、目を逸らさずに、ちゃんと伝えられた。

「あと、将来の夢のことを語ってる時も、カッコよかった。」

 圭太は、真剣な目で頷いた。

「うん。ありがとう。」

「正直、保育園のときのことは……そんな子がいたなぁってくらいにしか、思い出せないんだけど、でも、あのノートのことは忘れなかった。だから、本郷も、ずっと、私の心の中にいたし……今もいる。」


 私が伝えたかったこと。
 本郷への気持ち。


「本郷が好き。」


 順を追って自分の中の気持ちを整理したら、驚くほど簡単に、その言葉が出た。


「私も、本郷が好き。私にとっても、これから先、本郷がいてくれることが、心の支えになると思う。頑張れると思う。」


 自分のやりたいことや夢に向かって前向きな本郷を見てきたから。


「だから……」

 だから…えぇっと、何だろう。なんて言えばいいんだろう。

 あぁ、そうか。

「だから……これからも、よろしくお願いします。」

 七緒の手を包みこむ本郷の手。頭を下げたら、おでこがその手にソッと触れた。本郷の手は、小刻みに震えていた。

 顔をあげると、真っ赤な顔した圭太と目があった。けど、すぐに逸らされた。

「あっ、えっと……本郷?」

「ごめッ………余裕なくて。」

 七緒の手を離し、七緒に背を向けた。腕でゴシゴシと顔を拭うような仕草をしきりにしながら、「ちょっと……待って」と呟く。

「ヤバい。嬉しすぎて……」

 肩で何度も深呼吸を繰り返した圭太は、ようやく、クルッと七緒のほうを向いた。頬は、まだ少しだけ赤い。

 でも、それは多分、七緒も一緒。

 圭太は、片手を七緒に向けて差し出した。


「こちらこそ、よろしくお願いします。」


 七緒より随分大きな、その手を、おそるおそる握る。
 ちょうど、文化祭の終わりを告げるチャイムが鳴り響いていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】もう一度やり直したいんです〜すれ違い契約夫婦は異国で再スタートする〜

四片霞彩
恋愛
「貴女の残りの命を私に下さい。貴女の命を有益に使います」 度重なる上司からのパワーハラスメントに耐え切れなくなった日向小春(ひなたこはる)が橋の上から身投げしようとした時、止めてくれたのは弁護士の若佐楓(わかさかえで)だった。 事情を知った楓に会社を訴えるように勧められるが、裁判費用が無い事を理由に小春は裁判を断り、再び身を投げようとする。 しかし追いかけてきた楓に再度止められると、裁判を無償で引き受ける条件として、契約結婚を提案されたのだった。 楓は所属している事務所の所長から、孫娘との結婚を勧められて困っており、 それを断る為にも、一時的に結婚してくれる相手が必要であった。 その代わり、もし小春が相手役を引き受けてくれるなら、裁判に必要な費用を貰わずに、無償で引き受けるとも。 ただ死ぬくらいなら、最後くらい、誰かの役に立ってから死のうと考えた小春は、楓と契約結婚をする事になったのだった。 その後、楓の結婚は回避するが、小春が会社を訴えた裁判は敗訴し、退職を余儀なくされた。 敗訴した事をきっかけに、裁判を引き受けてくれた楓との仲がすれ違うようになり、やがて国際弁護士になる為、楓は一人でニューヨークに旅立ったのだった。 それから、3年が経ったある日。 日本にいた小春の元に、突然楓から離婚届が送られてくる。 「私は若佐先生の事を何も知らない」 このまま離婚していいのか悩んだ小春は、荷物をまとめると、ニューヨーク行きの飛行機に乗る。 目的を果たした後も、契約結婚を解消しなかった楓の真意を知る為にもーー。 ❄︎ ※他サイトにも掲載しています。

出会ったのは間違いでした 〜御曹司と始める偽りのエンゲージメント〜

玖羽 望月
恋愛
 親族に代々議員を輩出するような家に生まれ育った鷹柳実乃莉は、意に沿わぬお見合いをさせられる。  なんとか相手から断ってもらおうとイメージチェンジをし待ち合わせのレストランに向かった。  そこで案内された席にいたのは皆上龍だった。  が、それがすでに間違いの始まりだった。 鷹柳 実乃莉【たかやなぎ みのり】22才  何事も控えめにと育てられてきたお嬢様。 皆上 龍【みなかみ りょう】 33才 自分で一から始めた会社の社長。  作中に登場する職業や内容はまったくの想像です。実際とはかけ離れているかと思います。ご了承ください。 初出はエブリスタにて。 2023.4.24〜2023.8.9

幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜

葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在 一緒にいるのに 言えない言葉 すれ違い、通り過ぎる二人の想いは いつか重なるのだろうか… 心に秘めた想いを いつか伝えてもいいのだろうか… 遠回りする幼馴染二人の恋の行方は? 幼い頃からいつも一緒にいた 幼馴染の朱里と瑛。 瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、 朱里を遠ざけようとする。 そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて… ・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・ 栗田 朱里(21歳)… 大学生 桐生 瑛(21歳)… 大学生 桐生ホールディングス 御曹司

誘惑の延長線上、君を囲う。

桜井 響華
恋愛
私と貴方の間には "恋"も"愛"も存在しない。 高校の同級生が上司となって 私の前に現れただけの話。 .。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚ Иatural+ 企画開発部部長 日下部 郁弥(30) × 転職したてのエリアマネージャー 佐藤 琴葉(30) .。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚ 偶然にもバーカウンターで泥酔寸前の 貴方を見つけて… 高校時代の面影がない私は… 弱っていそうな貴方を誘惑した。 : : ♡o。+..:* : 「本当は大好きだった……」 ───そんな気持ちを隠したままに 欲に溺れ、お互いの隙間を埋める。 【誘惑の延長線上、君を囲う。】

貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈

玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳 大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。 でも、これはただのお見合いではないらしい。 初出はエブリスタ様にて。 また番外編を追加する予定です。 シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。 表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。

憧れのあなたとの再会は私の運命を変えました~ハッピーウェディングは御曹司との偽装恋愛から始まる~

けいこ
恋愛
15歳のまだ子どもだった私を励まし続けてくれた家庭教師の「千隼先生」。 私は密かに先生に「憧れ」ていた。 でもこれは、恋心じゃなくただの「憧れ」。 そう思って生きてきたのに、10年の月日が過ぎ去って25歳になった私は、再び「千隼先生」に出会ってしまった。 久しぶりに会った先生は、男性なのにとんでもなく美しい顔立ちで、ありえない程の大人の魅力と色気をまとってた。 まるで人気モデルのような文句のつけようもないスタイルで、その姿は周りを魅了して止まない。 しかも、高級ホテルなどを世界展開する日本有数の大企業「晴月グループ」の御曹司だったなんて… ウエディングプランナーとして働く私と、一緒に仕事をしている仲間達との関係、そして、家族の絆… 様々な人間関係の中で進んでいく新しい展開は、毎日何が起こってるのかわからないくらい目まぐるしくて。 『僕達の再会は…本当の奇跡だ。里桜ちゃんとの出会いを僕は大切にしたいと思ってる』 「憧れ」のままの存在だったはずの先生との再会。 気づけば「千隼先生」に偽装恋愛の相手を頼まれて… ねえ、この出会いに何か意味はあるの? 本当に…「奇跡」なの? それとも… 晴月グループ LUNA BLUホテル東京ベイ 経営企画部長 晴月 千隼(はづき ちはや) 30歳 × LUNA BLUホテル東京ベイ ウエディングプランナー 優木 里桜(ゆうき りお) 25歳 うららかな春の到来と共に、今、2人の止まった時間がキラキラと鮮やかに動き出す。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

純真~こじらせ初恋の攻略法~

伊吹美香
恋愛
あの頃の私は、この恋が永遠に続くと信じていた。 未成熟な私の初恋は、愛に変わる前に終わりを告げてしまった。 この心に沁みついているあなたの姿は、時がたてば消えていくものだと思っていたのに。 いつまでも消えてくれないあなたの残像を、私は必死でかき消そうとしている。 それなのに。 どうして今さら再会してしまったのだろう。 どうしてまた、あなたはこんなに私の心に入り込んでくるのだろう。 幼いころに止まったままの純愛が、今また動き出す……。

処理中です...