桜子さんと書生探偵

里見りんか

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第二幕 交錯

19 女優、貞岡しを乃

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「じゃあ、行きましょう。」

 新伍が、芝居小屋のほうへと足を向けた。それを桜子が呼び止めた。

「あの……」

 新伍が、貞岡さだおかしをに会うためにここに来たというのは分かった。でも、肝心の目的が分からない。

「どうして、貞岡さんに? 私の手紙のことと関係あるのですか?」
「そうですね……桜子さんの手紙とも関係があるかもしれない、とは考えています。」

 含んだような言い方。それならーーー

園枝有朋そのえ ありともさんのことですか?」

 新伍が、黙った。

「そうなんですね? 園枝さんの事件のこと、調べているのですね?」

 そういうことなら、合点がいく。だから、最近、桜子の周りに現れないのだ。

「……私の手紙のことは、解決できたんですか?」
「それは、まだです。」
「では何故、園枝さんの事件を?」

 桜子は勿論、新伍だって、なんだかんだで容疑者から、外れたはずだ。

「まぁ、いろいろありまして……園枝さんのことを調べているのは、行きがかり上ですが、今は、桜子さんの手紙と無関係ではないかもしれないと考えています。」

 新伍は、「行きましょう」と言って、歩き出した。向かうのは芝居小屋の入り口ではなく、裏手。迷いのない、堂々とした様子で、闊歩する。

「以前も、来たことがあるのですか?」

 桜子が尋ねる。

「いいえ。初めてですよ。」
「あんまり、堂々としているから、てっきり……」
「こういうときは、オドオドしているほうが、かえって怪しくみえるものです。」

 とはいえ、堂々としているだけで、貞岡しを乃のところまで行くことができるのだろうか? 貞岡しを乃は、この舞台の主演女優だ。おいそれと中に入れてはくれないだろう。

「貞岡さんとは、事前に、お約束をしているのですか?」
「いえ、全く。」
「それで……お会いできるんですか?」
「さっきまで、どうしようかなぁと思っていたところですが、桜子さんに会えたので、良い手を思いつきました。」

 それはどういう意味かと問おうとした桜子に、新伍は、唐突に、

「ところで桜子さん、さっきの芝居の半券は持っていますか?」
「えっ? さっきの芝居の半券?」

 戸惑いながらも、巾着を開いて、「……これ、ですか?」と、先程、貢と見た芝居の、千切られた残りの券を渡す。

「頂戴しても、構いませんか?」
「それは、構いませんが……あの、これをどうするんですか?」

 まさか、芝居の観覧券ーーーそれも、使い終わった半券を見せて、しを乃のところまで押し通るつもりではないだろう。

 新伍は、「まぁ、見ていてください」と半券を懐に入れた。

 一体何をするつもりだろうかと首を捻っている桜子を気にすることなく、新伍は、関係者用らしき出入口にいる男のところへ近寄っていった。

「すみません。貞岡しを乃さんに、お会いしたいのですが。」

 案の定、男は不審げな顔で、

「しを乃さんに? 失礼だが、あんたは……?」
、と伝えていただければ、分かるかと。」

 桜子は、思わず、「えっ!」と声を上げそうになったが、なんとか、すんでのところで飲み込んだ。

 男が奥の方へと引っ込むと、

「何で、あんな嘘を……?」

 小声で新伍に尋ねる。

「別に、嘘じゃありません。ただの方便です。……あっ、ホラ、戻ってきましたよ。」

 新伍が、「シッ」と人差し指を立てた。

 男が、桜子たちに、「ついてこい。」と言って、中へと誘う。

 芝居小屋の奥は、想像していたよりも、ずっと雑然としていて、全体的に暗かった。その暗がりを、たくさんの人たちが忙しなく、行ったり来たりしている。

 先導していた男が、扉の前で足を止めた。

「ここだ。」

 話は通してあるから、入ってもいいと言って、男は来た道を戻っていった。

 新伍が、扉を2度ほどコンコンと叩くと、「どうぞー?」と、気だるそうな返事。

「失礼します。」

 新伍の後ろについて、桜子も部屋の中へ入った。

 中には派手な化粧の女が一人、鏡の前に座っていた。二人の来訪に、女は、細長い指で構えた煙管きせるを口から離し、ぷぅッと派手に煙を吹いた。

「……誰だい、あんたたち?」
「初めまして。貞岡しを乃さんですね! いつも拝見しています。」

 白々しいほど愛想よく近づいて言った新伍は、懐から先程の半券を取り出し、

「お会いできた記念に、ぜひ、こちらに貞岡さんの署名をいただきたいと思いまして。」
「署名?」

 相手は、新伍の妙な調子に飲まれていた。

「そうです。貞岡さんのお名前を、チャチャッと、ここに。」

 差し出された半券を見て、

「あぁ、………サインだね?」

 新伍が、無害そうな顔でニコッと笑う。

「欧米のスタア役者たちは、皆、書くんだろ? サインってのは、ただ名前を書くのとは全然違うって、有朋が言ってたよ。」

 しを乃は、机上から派手な羽飾りのついたペンをとって、新伍から受け取った半券の裏に、さらさらと何かを書きつけた。

「うーん……なるほど。」

 横から、それを見ていた新伍は、

「僕の名前は、五島新伍というのですが、横に、『五島新伍さんゑ』と入れてもらえますか? 数字の五に、日本列島の島です。新伍は、平仮名で構いません。」

 しを乃は、言われるがままに、何かを書いて、「はいよ」と新伍に渡した。

「有朋の関係者だって言うから、あたしは、てっきり、手切れ金か口止め料でも持ってきたのかと思ったんだけどねぇ?」

 書き終わると、再び煙管を咥え、新伍と桜子を何者かと推し量るように、ジロジロと眺めた。

「あぁ、そうでした。紹介します。こちら、園枝有朋さんの婚約者です。」
「有朋の婚約者?」

 桜子は、慌てて、「婚約者候補、です!!」と、訂正したが、二人とも、そんな些細な違いなど、どうでもいいようで、

「そこの、お嬢さんが……有朋の婚約者………?」
「えぇ、そうです。確かに、園枝有朋さんの関係者でしょう?」

 新伍は、いけしゃあしゃあと、「嘘は言ってませんよ」と言う。

 しを乃が、目を細めて、無遠慮な視線を桜子によこしてきた。

「ふぅん?……そういやぁ、有朋から聞いたことがあるわ。どこかの財閥のお嬢さんだって。」
「ということは、ご存知でしたか? 有朋氏の婚約のこと。」
「そうね。近々、婚約しそうだって、聞いた気がする。」

 しを乃が、細長い煙管の先っぽ口から離し、気だるそうに羽織っていた肩掛けを直した。
 桜子は、新伍の後ろから思い切って訊ねた。

「あ……あの、それって、別れ話があったってことですか?」
「別れ話ィ?」
 
 プッと嘲笑う。赤い唇から煙が吹き出た。

「そんなわけないでしょう?」

 肩を震わせ、クツクツ笑う。

「何で有朋が結婚するからって、私が別れなきゃいけないのよ?」

 しを乃の指の動きにあわせて、煙管の火皿から登る紫煙が、ユラユラ揺れる。桜子は、慣れない煙臭さを嫌って横を向いた。と、新伍が、

「では、有朋さんに婚約の話があったにも関わらず、貴方と園枝有朋さんの間には、何の問題もなかった、と?」
「当たり前だろ? 他の女たちは、いざ知らず、有朋が、私と別れるはずないさ。」
「他の女? 有朋さんに、他にも関係を持っている女性がいたって言うことですか?」

 勝川警部補から聞いて知っていることを、まるで初めて聞いたみたいに、驚いてみせる。新伍の、この手の演技は、いつも大したものだ。

「有朋は、気に入った女なら、それこそ自分とこの女中だろうと、何だろうと、誰にでも手を出すような男だよ。一夜限りの女も含めたら、とんでもない数になるだろうね。」

 しを乃は、わざと桜子の方を見た。桜子の反応を試そうとしているように。勝川が向けた下世話な好奇心とは、少し違う。たぶん、女としての威嚇。
 しかし、新伍は、それには全く無頓着なようで、

「だけど、貴女は、その数多の女たちとは、違う?」

 しを乃が、フンッと鼻息を吐いた。

「あたしは、この小屋の看板女優、貞岡しを乃だよ? そこいらの女たちと一緒なわけがないだろう?」

 しを乃の荒い鼻息からでさえ、煙草の毒々しい甘い香りが匂い立っているように感じる。

「近頃じゃ、川上貞奴かわかみ さだやっこなんて女が海の向こうの亜米利加アメリカで公演打って、持て囃されてるって、有朋はひどく関心持ってたみたいだけど、あんなんは、ただ物珍しがられているだけ。あたしに比べりゃ、大したことないのよ。」

 自分は、有朋と関係した他の多くの女のたちとは違う。特別だ。という強い自負。

「有朋さんが亡くなったのは、いつ知りましたか?」

 新伍が、話題を変えた。

「……翌日の夕刻、だね。昼の公演を終えた後、夜の公演までの間に、警察が来た。」
「初めて聞いたとき、どう思いましたか?」

 淡々と聞く新伍。しを乃は、螺鈿細工を施した煙管の筒を右手の人差し指で、しごくように弄んでいたが、やがて、

「…………酷い話だ……と思ったね。」

 ポツリと言った。

「警察には、どんなことを聞かれましたか?」
「別に……。有朋との関係やら、殺された時分に何していたのか、やら……」
「なるほど。で、何していたんですか?」

 しを乃は、ごく当たり前ことのように尋ねる新伍に、少し面食らったようだが、すぐに、

「別に、何もしてなかったね。その日は公演が休みだったから、家で寝ていただけだ。」
「お一人で……ですか?」

 しを乃は、「クッ」と笑った。

「いっそ、男と寝てれば、疑いも、さっさと晴れただろうに、残念だわ。」
「でも、それなら、貞岡さんは疑われたままでは? 警察は、何と?」
「そうさねぇ……」

 しを乃は、少し考え込むように一服吸い込み。

「疑ってるだろうね。でも、特別強く疑っている……とは、感じなかったわね。」
「と、言うと?」
「あたしみたいな女は、他にも、わんさといるんだろうさ。あたしは、たまたま名が知れてるってだけで、中には、有朋から金を恵んでもらっているような女もいる。」

 言っとくけど、あたしは有朋からは、一銭も貰ってないよと付け足した。

「あぁ、そういえば、変わったことを聞かれたね。」
「変わったこと?」

 しを乃は、艶めかしく首を傾げて、

「あたしのために、人を殺せる男はいるか………って」

 桜子は、その生々しい質問に、驚いて、小さく「エッ」と悲鳴をあげた。

「それで? 貞岡さんは、なんと答えたのですか?」
「あたしのためなら、命を投げ出す男だって、五万といるだろうよって、答えてやったわ。でも、あたしは、そんなこと、頼んだりしないってね。」

 本当に、そんな男たちが多数いるなら、やっぱり疑われてもおかしくないと思うのだが、それでも大して疑われていないというのは、おちょくられたと思ったからだろうか。

「ねぇ、あんた、この質問、どういう意味だと思う?」

 しを乃は、謎掛けでもしているみたいに、新伍に問う。

「………警察は、有朋さんの殺害は、女性には難しいと考えている………って、ところでしょうか?」

 新伍の答えに、それなりに満足したようで、

「半分は、正解。」
「半分? 残り半分は?」

 自分だけが知っている何かがあるのだろう。ふふと優越感に浸るように笑い、「知りたい?」と挑発的に聞いた。

「えぇ、是非知りたいですね。」

 まぁ、勿体ぶるものでもないから、教えてあげるわと言った。

「あの時、屋敷にいた人間の中で、身元が分からない男がいるって話があるそうだよ。」
「男?! それは、本当ですか?」

 そんな話、勝川警部補からは、聞いていない。
 新伍は知っていたのだろうか? 少なくとも、表面上は、桜子と同じように驚いているように見える。

「それは、どんな男ですか? 背格好は?」

 しを乃は、「さあねぇ」と首を捻った。

「あたしが聞いたのは、洒落た洋服に、帽子を目深に被った男だったってことぐらいだね。」
「だとすると、顔は分からない……ってことか。」

 新伍が呟く。
 しを乃は、「だから、警察は、その男を追うのに必死で、自分は大して疑われてはいないんだろう」と言った。

「ひょっとしたら、あたしの周りの男でも探っているのかもね。まぁ、好きにしたらいいわ。そんな男、絶対に出てきやしないから。」

 新伍は、やや思案しているように黙っていたが、やがて、しを乃に、

「警察とは、他にどんな話を?」
「あとは、有朋が菊の鉢植えで殴られたってことを聞いたくらいだね。」
「そのことで、何か思い当たることはありましたか?」

 しを乃は、新伍の質問に、不思議そうな顔をした。

「別に何も?」

 そう答えてから、「強いて言うなら……」と、言い直す。

「菊なんて、有朋に似合わないってことぐらいだね……。あいつなら、洋ランだったろうに。」

 菊は古くから日本にある花だ。確かに、有朋には菊より、華やかで物珍しい洋ランのほうが似合う。
 だが、新伍のこの質問に、何の意味があるのだろう。桜子には、さっぱり分からなかった。

 新伍が、

「ありがとうございました。とても、参考になりました。」

 しを乃に礼を言った。桜子に、「行きましょうか?」と声をかける。しかし、桜子は、

「ま……待ってください。」

 新伍を止めた。桜子には、どうしても聞きたいことがあった。

「しを乃さんは、有朋さんのことを……好いていたのですか。」

 その瞬間、しを乃の煙管を弄ぶ手が、ピタリと止まった。

 有朋の婚約者候補という立場の桜子が尋ねるべきことではない、というのは分かっている。それでも、聞いたのは、どこか引っかかったから。

 桜子には、しを乃の気持ちが分からなかった。

 自分がいかに有朋にとって、特別な存在だったかを強調し、桜子を牽制する。その割にーーー

「も……申し訳ありません。で……でも、有朋さんが亡くなったことを、悲しんでいるようには、見えなくて……」

 しを乃の言葉の端々からは、有朋の死に対する悲しみや悼みが感じられない。

「小娘ぇ。」

 地の底から響くようなーーーゾッとするほど、低い声だった。

「あたしは、女優だよ?」
「も……申し訳ありません。」

 しを乃は、無言のまま、灰皿に煙管の雁首を打ちつけ、灰を落とした。カンと高い音が響く。
 煙管を置くと、その指先をくいっと折って、

「ちょっと、こっちへ来な。」
「えっ……?」
「ちょっと、こっちへ来て、あたしに顔を見せてみなって言ってるのよ。」

 新伍を見ると、頷いた。大丈夫だ。何かあれば、新伍が助けてくれるだろう。

 桜子は、そろそろと、しを乃の側へ。と、その途端、腕を掴まれ、引き寄せられる。

 気づいたときには、桜子の顎は、しを乃の長い指にわし掴まれていた。

 すぐ目の前には、しを乃の顔がある。

 白いドーラン。瞳の周りに、黒と茶色の濃い隈取。よく見ると、小鼻の間にも影となる色を差している。

 しを乃の方も、桜子の顔をまじまじと観察している。と、突然、「フンッ」と嗤った。

「あんた、全然、有朋の好みじゃないね。」
「…………」
「有朋はね、派手で、肉感的な女が好きなの。あんたみたいな、貧相なちんちくりんを有朋が相手にしているの、たとえ一夜限りの相手だとしたって、見たことないわ。」

 侮辱されたのだ、と思った。でも違った。
 本当の侮辱は、このあとだった。

「でも、あんたは、有朋の好みじゃなくても、園枝のお坊ちゃんの好みだね。」
「……どういう…意味ですか?」

 しを乃の言葉は、矛盾している。が、しを乃は、お構いなしに、

「あんたの財閥って、そこそこデカいんだって? どおりで、その髪も、肌も、指先まで、殆ど化粧もしていないのに、綺麗に磨かれている。立ち姿だって、舞台女優みたいに派手じゃないけど、洗練されている。」

 しを乃が、桜子の顎を乱暴に離した。

「あんたは、園枝財閥の跡取り息子にとって、父親の持つ財力や人脈も、令嬢としての上品な顔立ちや立ち振る舞いも、全部が望むとおりだったってわけ。」

「それは……有朋さんが、私ではなく、湖城の令嬢に興味があった……ということですか?」
「何を今更? 当たり前だろう?」

 しを乃が、「おぼこいねぇ」と嘲笑った。

「園枝有朋と言う男が欲するのは、私みたいな女。でも、有朋は、園枝の跡継ぎだから、そのために結婚したいのは、あんただった。そんなの、あんたたち、金持ち連中には、ゴロゴロあることだろう?」

 しを乃が長い指の先で、桜子の胸をトンとつく。

「心が欲する相手ヒトと、立場で選ぶ相手ヒトってのは、違うだろう? 単にそれだけのことだ。」

 しを乃は「最も、あんたには、分からないでしょうけれど。」と言って、煙管の先に新しい煙草を詰めた。
 マッチを擦って、火を入れると、もう出ていけと、空いているほうの手で、追い払う仕草をした。

 新伍が、「行きましょう」と目で合図したので、桜子も頷く。新伍の後ろについて、部屋を出ようとした瞬間、 

「まぁ、案外あんたも、分かっていて、気づかないフリしているのかもね。」

 しを乃の言葉に振り向くと、じっとりとした瞳で、こちらを見つめる しを乃と目があった。しを乃の視線がほんの一瞬、新伍に向けられ、また桜子を見る。

 桜子は、慌てて部屋を出て、扉を閉めた。


ーーー心が欲する相手ヒトと、立場で選ぶ相手ヒトってのは、違うだろう?


 しを乃の放った言葉が、桜子の頭の中で、ぐるぐると回っていた。

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