御簾の向こうの事件帖

里見りんか

文字の大きさ
上 下
20 / 36
第3章 あやし陰陽師とアサガオ

8 顔の見えない男の、その後

しおりを挟む

 翌日のこと。

狐笛丸こてきまるを捕まえることは……できませんでした。」

 土筆の部屋にやってきた時峰が、悔しさを滲ませた顔で、頭を下げた。

「検非違使庁にも協力を仰いで、市中隈なく捜索させたのですが……」

 ただの市民相手の詐欺ではない。権大納言の花房家と中平家の者に手を出し、命をおびやかした。事は、それなりに大きい。

 あの晩、花房邸に戻ってきた時峰は、土筆の話を聞くやいなや、すぐに宮中に出仕して検非違使庁に掛け合った。

 近衛中将の権威は、それなりに使えたようだが、それでも、実際に検非違使たちを動かして市中探索させるまでには、それなりの時間を要した。

 その頃には、おそらく狐笛丸はーーー橘 貴匁たちばな たかめは、とうに都から姿を消していたのだろう。


 土筆は、時峰から、あの日の中平邸での出来事について、詳しく教えてもらった。

 中平邸に現れた貴匁は、通り名の「狐笛丸」を名乗り、中平殿と北の方に面会したという。

 狐笛丸は、病に伏せる北の方を見るなり、これは酷い悪霊だと、すぐに祓いのようなものを始めた。

 まず、皆を部屋の外に追い出すと、北の方の口を開かせ、丸薬のようなものを飲ませた。
 それから、狐の面を僅かにずらし、耳元に口を寄せて、何かを囁いた。

 と、北の方は、突然、大きく目を見開き、ブルブルと震えだしたのだ。

 家族たちの耳には、何度も「ごめんなさい…」と繰り返し謝る北の方の声が聞こえたという。

 そして、意識を失った。

 狐笛丸は、その北の方を、再び横たわらせて、立ち上がると、祓いが終わった旨を告げ、さっさと出ていってしまった。

 だが、終わったと言われても、北の方は明らかに失神しているし、家人たちは、何が何やらわかぬまま。

 それでも、祓いが終わったのなら、そのうち目を覚ますだろうと信じて待っていた。

 時峰がやって来て、狐笛丸が毒物を飲ませた可能性があると言った頃には、すでに狐笛丸が去って一刻以上が経っていた。

 その頃、狐笛丸は、花房邸の庭の橘の木の上。

 土筆と話をしていたところ、引き返してきた時峰が花房邸に到着する直前に、颯爽と姿を消した。

 時峰が、ため息をつきながら、

「せめて、あの男の人相が分かればと思うのですが……」

 あの出で立ちでは、狐面を外して、着物を変えられれたら、捕まえようがない。

 仮面を外した素顔を見ているのは、土筆と菫だけ。
 土筆が上手く伝えることができれば良いのだが……狐笛丸の素顔ーーー橘貴匁は、非常に印象に残りにくい、伝えづらい人相だった。

 目も鼻も口も、なんとも地味で、『ありふれた顔立ち』としか言いようがない。菫に至っては、どれだけ思い出そうとしても、顔が浮かばないと言っていた。

「仕方ありません。時峰さまのせいではないのですから……」

 油断したのは、むしろ土筆。

 時峰から忠告され、自分も胡散臭いと思っていたにも関わらず、屋敷に招き入れて、まんまと利用されてしまった。

「それにしても、あの男の目的が、中平家だったとは……。」

 時峰は呟いてから、ふと、思い出したように、

「そういえば、狐笛丸は、北の方に何かを飲ませる際、懐から包みを開いて丸薬を選んだそうですが、その際、少し迷うような仕草をしていたようです。」

 土筆は、あの日の貴匁との会話を思い出しながら、

「多分……いくつかの毒薬の中から、どれを与えるか、その場で選んだのでしょう。」

 貴匁は思案し、そして決めたのだ。

 殺さぬことを。

「貴匁が飲ませたのは、何らかの幻覚作用のあるものだと思います。」

 あの晩、貴匁は、「殺してはいない。壊しただけです。」と言っていた。

 貴匁は、もともと、親に対する関心も強い恨みもなかったという。ただ、復讐なるものが遂げられれば良いと。

 貴匁にとって、北の方を殺す必然性はなく、だから殺さなかったーーーということになるのだろうが………果たして、本当にそうか。

 土筆は、やはり貴匁が自ら進んで、『母を殺さないこと』を選んだのだ、と思っていた。

 北の方が病を患ったのは、中平殿との間に子が生まれてからだという。立て続けに、男女3人の子を産んだ。

 お産はいずれも、大過なく終えたにも関わらず、その頃から、少しずつ、少しずつ、気分が沈みがちになる日が増えた。

 しかも、子が育つにつれ、北の方の病は酷くなり、やがて屋敷に塞ぎ込むようになったという。

 何不自由なく大きくなる子らをみていて、自分が置いてきた子のことを思ったのではないか。
 その子に対する贖罪の気持ちが、北の方を蝕む病の原因だったのではないか。

 貴匁も、それに気がついた。

 だから、関心はなくても、ほんの少しの憐憫の情が湧いた。
 彼の中の、その僅かな情が、北の方の命を奪うことを躊躇わせたのだ。

 全ては土筆の推測にすぎない。
 やはり狐笛丸も人の子であった……と、思いたい土筆の、希望的な推測。

「貴匁は、毒物に対する知識を相当、深く学んだようでした。」

 多分、幻覚作用のある何らかの薬を飲ませ、耳元で酷い恨み言の一つでもいったのだろう。

「北の方は、目を覚ますでしょうか?」
「……分かりません。」

 殺してはないといった。あとは、貴匁が何を与えたのか、そして、北の方がその薬効に抗い、自分を取り戻せるか。

 時峰がブルリと身を震わせ

「本当に……とんでもない男がいたものです。」

 と、ため息をついたかと思うと、何かを思い出したようで、一転、安堵に緩んだ顔で、「ただ……」と、話題を変えた。

槿あさがおの君が貴女を呪った犯人ではないとハッキリしたので、その点だけは、ホッといたしました。」

 時峰は、槿の君を心底、案じていた。

「あの日以来、槿の君もずっと苦しい思いをして、床に臥せっていたようですが、これで元気を取り戻すでしょう。」

 土筆は時峰に、あの晩の貴匁との会話の全てを、伝えてはいない。

 だから時峰は、本当に槿の君が土筆を恨んでいたことも、呪い殺すために、狐笛丸に依頼したことも知らないままだ。

 言おうと思えば、言うこともできた。

 だが、土筆は、言わなかった。
 それは、槿の君を庇ったーーーというほど、単純な話ではなかった。

 槿の君は、狐笛丸が依頼通り土筆を呪い殺さなかったことに、気が付いたはずだ。それどころか、呪いをかけたはずの当人が土筆を助けたと知り、裏切られたと思ったかもしれない。

 だが、仮に土筆が狐笛丸の正体を暴かなかったとしてーーー狐笛丸が、あのまま、まるで英雄ヒーローのように扱われたとしても、槿の君は、あの男の自作自演を糾弾することは出来ない。

 なぜなら、声を上げることは、自分が土筆を呪い殺そうとしたことを明かすことだから。

 だから槿の君は、どんなに疑われても、ただひたすら否定し、口を噤むより仕方がなかった。

 そして、それは、狐笛丸の本性が知れ渡った今でも、変わらない。

 狐笛丸は、生きている。

 いつ、自分が本当に、土筆を呪い、狐笛丸を頼ったことが露見するか。
 下手したら、自分が狐笛丸に呪い殺され……毒殺されることさえ有り得る。

 狐笛丸のこと。それくらいの脅しは、しているはずだ。

 あの男に直に会っていれば、あの男の身に纏う、情のない冷え冷えとした空気に気づいただろう。あの男が、いとも簡単に、人の命に手をかけるであろうことも。

 槿の君は、これからもずっと、狐笛丸の影に震える。

 土筆が話して、公に非難されるのと、一人抱えて怯え続けるのと、どちらが辛いだろう。

 槿の君は、十分な罰を受けている。そして、これからも人知れず、受け続ける。

 結局、人を呪ったツケは自分に戻ってくる、ということなのかもしれない。

 だから土筆は、そのことを自らの胸の内に留めておこうと決めた。

 ……のだが、なぜだか、槿の君を信じていたと嬉しそうに笑う時峰を見ていると、心の奥底に少しだけ、モヤモヤとした灰色の気持ちが湧いて出た。

 土筆は、慌てて首をふると、思い切って、話題を変えた。

「そういえば……どうして、あの時、時峰さまは、アサガオの花を送ってきたのですか?」

 事態がこんなことになったことで、槿の君と同じ名前の花を送ってしまった失態に気付いた時峰は、バツの悪そうな顔をして、

「……他意はなかったのです。」

 本当に、早咲きのアサガオを見つけて、珍しいから土筆に見せてやりたいと、純粋に思ったらしい。

「貴女は、珍しいものが好きだから、喜ぶかと……」

 槿の君のことなど、全く頭になかった。何なら、槿の君が自分の本命のように噂されていたことすら知らなかった、と言い訳がましく謝った。

 すると、横に控えていたタマが、堪えきれず、「あの……」と、口を挟んだ。

「中将さま。恐れながら……あの歌は、どういう意図で送られたのですか?」

 中将の送ってくれた万葉集の歌のことを尋ねた。

  ことに出でて 言はばゆゆしみ 朝顔(あさがほ)の
   穂には咲き出ぬ 恋もするかも

 (口に出して言ったら不吉な事が起こるといけないので、朝顔の花のように秘めた恋をしています)


「あぁ、あれは……」

 時峰は、ポリと頭をかいて、

「土筆姫なら、万葉仮名を読めるのだろうと思いまして。」
「でも、秘めた恋…というのは……? 中将さまの恋は、その……十分、皆さんに伝わっているかと……。」

 タマの指摘に、時峰は、「いえいえ、全然。」と、今度は少し照れくさそうに笑った。

「私はまだ、私の心の奥底に抱えた姫への気持ちの、ほんの一端しか表に出していませんから。」

 だから、胸の内に、もっと多くの恋心を秘めていのだと言って、土筆の方を見た。

「それほどまでに、貴女を愛しく思っている、と伝えたかったのですよ。」

「なッ………?!」

 また、とんでもないことを言い出したものだ。

 さすが中将、時峰。これくらいのこと、言い慣れているに違いない。
 けれど、この手の経験の浅い土筆にとっては、誂われているだけだと分かっていても、動揺してしまう。

 いや、もしかして、誂っているわけではないのかしら………?

 御簾のうちで、土筆が、慣れぬ色恋事に慌てふためいていることなど知る由もなく、一転、中将が暗い顔をして、

「だけど……」

 と、俯いた。

「秘めているつもりでも、十分、言葉と態度に表れ出てしまっているのでしょう。私のせいで、本当に、貴女にとって、良くないことが起こってしまいました。」

 なるほど、一応、態度に表れ出ている自覚はあるらしい。

 時峰は、目鼻立ちの整った顔をシュンと萎ませた。

「貴女に不幸が降りかかるのは、私の本意ではありません。このようなことなら、貴女の元に来るのは、少し控えたほうが………」

「そんな……そんな事はありません。」

 土筆は、思わず口をついて出た言葉に、自分で驚いていた。

 御簾の向こうの時峰も、「え?」と顔をあげる。

「あっ……えっと……」

 土筆は、コホンと小さな咳払いを一つして、

「中将さまが、こうしてお話くださることは、いつも本ばかり読んで過ごしていた私にとって、どれもとても興味深いことばかりです。」

「………そう…ですか?」
「はい。」

 それは、本心。

 それまで家の中に籠もっていた土筆の世界を、外に広げてくれたのは、時峰だ。

「だから……これからも、どうぞ、時々、こちらにいらして、私の話し相手になってください。」

 確かに、あの件は、中将に思いを寄せる槿の君がいたから、起こったことをかもしれない。

 それでも、中将自身に落ち度はないのだ。

 だから、そんなことで、交流が途絶えてしまうのは、嫌だった。

 そう。嫌だったのだ……ーーー

 言ってしまってから、改めて、自分は、中将のことを、そんなにまで良き友と認めていたのだなと驚く。

「来て……よろしいのですか?」
「はい。是非お越しください。」

 中将が、パッと花開いたように笑った。

「よかった………」

 女なら、誰でも心動かされてしまいそうな笑顔に、思わずつられて「フフフ」と、笑う。

 和やかな花房邸の午後だった。


◇  ◇  ◇


 その日の晩。

 花房邸、土筆の部屋よりさらに奥。三女、菫の部屋に面した小さな庭の桃の木に、一人の男が座っていた。

 男は、大きな扇で顔を隠して、部屋の主に声をかけた。

「こんばんは、お姫さま。」

 半分開けてあった御格子の向こうから呼びかける声に、菫はあわてて扉の掛け金を開けて、部屋の外側に出た。

「……こんばんは! 桃の精さん。」

 簀子にちょこんと座った菫は、小首を傾げて男に挨拶をした。

 菫と男の間には、几帳も何もない。
 二人の間にあるのは、男の持つ扇一つのみ。

「最近、来てくれなかったのね。」
「こちらの家は、随分と騒がしかったようだからね。」

 扇の向こうから、よく通る、耳障りの良い声。

「お姉さまの体調が優れなかったの。」
「そのようだね。ボクも噂で聞きました。」

 男と会ったのは、ちょうど一月ひとつき前。
 ふいに聞こえた笛の音に驚いて、恐る恐る部屋の外を覗くと、この人が桃の木の上に座っていた。

 その時も、男は扇で顔を隠していた。その扇を少しだけずらして、瞳を覗かせ、

「やぁ、はじめまして。貴女が、有名な菫姫だね?」

 と、挨拶をしたのだ。

「……あなたは………誰?」
「ボク? ボクはまぁ……通りすがりの公達……とでも、しておこうかな。」
「通りすがりの……公達…?」

 それが、菫と桃の精との出会いだった。

 桃の精というのは、名前を教えてくれないこの人に、菫がつけた名だ。

 それから男は、時々、こんなふうにして、菫の庭の桃の木の上に、忍んで訪れる。

 顔を見せない、この人のことを、聡明な姉の土筆に相談したこともある。
 けれど姉は、あからさまに怪訝な顔をした。

 その反応に、菫は怖くなった。

 もし、この人のことが知れたら、こうして会うことに、反対されるかもしれない。菫の部屋に見張りをつけたり、以前みたいに、自分と部屋を変わるように言われるもしれない。

 それで菫は、これ以上、この人のことを話さないと決めた。

 誰にも話さない。
 二人だけの秘密の逢瀬。

 大丈夫。
 だって、こんなに素敵な人が危険であるはずないんだもの。

 菫は、木の上で、扇をひらめかせている桃の精を改めて、見つめた。

 桃の精は、指先の先まで、人を引き付けるような上品で優美な動きをする。本当に天上の楽園から、舞い降りてきたのではないかと思うほどに美しい。

 眺めているだけで、菫の口元は自然に綻び、頬が緩んでしまう。

「桃の精さん。今日は、菫とゆっくりお話してくださるの?」
「そうだね。」

 桃の精が頷いた。
 菫の心が小さく跳ねた。

 桃の精が言う。

「それでは、貴女のお姉様の身の上に起こったことでも、教えてもらおうかな。」

 あの、陰陽師を名乗る男の騒動と、姉が鮮やかに見抜いた真相のことだ。

「ボクに語ってくれるかい?」
「えぇ。勿論いいわ。」

 それなら、話すことはたくさんある。
 なんせ、自慢の姉なのだ。でも………

「長くなってもいいの?」
「勿論。今日は、時間はたっぷりあります。」

 その言葉に、菫の心はふわりと浮き立った。

 二人で話す時間は、たっぷりある!!
 なんて幸せなことだろう!!

 男が枝の上で姿勢を変えた。
 その動きに合わせて、男の薫香がほのかに香り、菫の鼻先をくすぐった。
 静やかで、凛とした独特の香りが、菫の心を満たしていった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

九竜家の秘密

しまおか
ミステリー
【第6回ホラー・ミステリー小説大賞・奨励賞受賞作品】資産家の九竜久宗六十歳が何者かに滅多刺しで殺された。現場はある会社の旧事務所。入室する為に必要なカードキーを持つ三人が容疑者として浮上。その内アリバイが曖昧な女性も三郷を、障害者で特殊能力を持つ強面な県警刑事課の松ヶ根とチャラキャラを演じる所轄刑事の吉良が事情聴取を行う。三郷は五十一歳だがアラサーに見紛う異形の主。さらに訳ありの才女で言葉巧みに何かを隠す彼女に吉良達は翻弄される。密室とも呼ぶべき場所で殺されたこと等から捜査は難航。多額の遺産を相続する人物達やカードキーを持つ人物による共犯が疑われる。やがて次期社長に就任した五十八歳の敏子夫人が海外から戻らないまま、久宗の葬儀が行われた。そうして徐々に九竜家における秘密が明らかになり、松ヶ根達は真実に辿り着く。だがその結末は意外なものだった。

九龍城寨図書館と見習い司書の事件簿~忘れられたページと願いの言葉~

長谷川ひぐま
ミステリー
「あらゆる本が集まる」と言われる無許可の図書館都市、『九龍城寨図書館』。 ここには、お酒の本だけを集めた図書バーや、宗教的な禁書のみを扱う六畳一間のアパート、届かなかった手紙だけを収集している秘密の巨大書庫……など、普通では考えられないような図書館が一万六千館以上も乱立し、常識では想像もつかない蔵書で満ち溢れている。 そんな図書館都市で、ひょんなことから『見習い司書』として働くことになった主人公の『リリカ』は、驚異的な記憶力と推理力を持つ先輩司書の『ナナイ』と共に、様々な利用者の思い出が詰まった本や資料を図書調査(レファレンス)していくことになる。 「数十年前のラブレターへの返事を見つけたいの」、「一説の文章しかわからない作者不明の小説を探したいんだ」、「数十年前に書いた新人賞への応募原稿を取り戻したいんです」……等々、奇妙で難解な依頼を解決するため、リリカとナナイは広大な図書館都市を奔走する。

リモート刑事 笹本翔

雨垂 一滴
ミステリー
 『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。  主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。  それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。  物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。  翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?  翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!

幻想×現実の一話完結ミステリー短編集

緑川 つきあかり
ミステリー
全て一話完結です。 黒猫と白猫と?神の願い キャッチコピー 「ニャァー」「何度も言うようだけれど、私は大きな猫じゃないよ」 あらすじ  不変なき日常を生きる三つの存在。 白猫と黒猫と?神だけが在る空間。 其々の持つ願望が世界を変える。 岐天駅 キャッチコピー 大抵の日本人が此処へ来る あらすじ 人はその選択に後悔する。駅に着けば誰であろうと有無を言わさず絶望させ、どの道を選んだとしても決して正解は無いと示した。そう、絶対に間違いへと進むのが人間なのだから。 気付け社 キャッチコピー ふと、通った寄り道が俺を変えた。 あらすじ 田舎町で平穏を貪る青年が夏休みの真夜中の買い物帰りにふと通り道の神社を訪れ、不思議な巫女と出会う。だが、妙に会話が合わず、夜明けを迎えて。

伏線回収の夏

影山姫子
ミステリー
ある年の夏。俺は15年ぶりにT県N市にある古い屋敷を訪れた。大学時代のクラスメイトだった岡滝利奈の招きだった。屋敷では不審な事件が頻発しているのだという。かつての同級生の事故死。密室から消えた犯人。アトリエにナイフで刻まれた無数のXの傷。利奈はそのなぞを、ミステリー作家であるこの俺に推理してほしいというのだ。俺、利奈、桐山優也、十文字省吾、新山亜沙美、須藤真利亜の6人は大学時代、この屋敷でともに芸術の創作に打ち込んだ仲間だった。6人の中に犯人はいるのか? 脳裏によみがえる青春時代の熱気、裏切り、そして別れ。懐かしくも苦い思い出をたどりながら事件の真相に近づく俺に、衝撃のラストが待ち受けていた。 《あなたはすべての伏線を回収することができますか?》

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...